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第32話【マルシェ女王の使い魔】



 クラスメイトとダリウスの指導は意外にも楽なものであった。全て本城と高城で経験した事をそのまま伝えれば良いからだ。

 

 やはり戦士職でも適正のない武器を使っていた者はスキルの習得が出来ていなかった。全員が全員剣を扱えるわけでないと武器を色々と揃えて貰っておいてよかった。特に西城はレイピア。東条は大剣を使うことで力が発揮した。

 

「んで、魔法だが一般的な四属性以外にも味方のステータス値をあげる方法がある。桃華の場合は詠唱が覚えられなかったからイメージで魔法を使用して貰っている」

 

「草加も魔法が使えるんだろ?」

 

「ああ、風魔法と土魔法が使えるが俺は魔力が少なく魔力軽減のスキルがない。使えるのは二~三発が限界だ。だからなるべく使わないで鎌での戦闘スタイルを磨いた…」

 

「つーか、めちゃくちゃ大変だったんだな。本城さんと高城さんの成績の悪さは知ってたけど…」

 

 実際問題、この依頼を受けた時に二人も教える側であったがあまりにも酷くて俺に泣きついてきた。その為、斥候、戦士、魔法使いに戦い方のコツなどを教えていた。

 

 僧侶の方は九条は魔法を獲得している為に詠唱を覚えさせたりメイスで鈍器攻撃など自身で身を護る術を教えてくれていた。

 

 ダリウスは個人は強いが集団を指揮するだけの広い視野がなかった。その為ドルダムに指揮官の心得を習っている。

 

「あの、マルシェ女王? 俺達の訓練見ていても意味がないのでは?」

 

「大丈夫です。メイスンがそっちの仕事はやってくれますし、メイスンの部下を新たに大臣に任命しました」

 

「そうなんですね?何か御用でも?」

 

「その…私のスキルを見て欲しいのだけど…」

 

 マルシェ女王は人には見せたくない為に俺だけに見せてきた。職業が魔物使いとなっていただけで他のスキルはない。

 

 魔物使いのスキルとなると、やはり魔物を従わせる力があるという事なのだろうか。


「マルシェ女王、今までに王家の人間が魔物使いだったという事はありますか?」

 

「いえ、聞いた事はありません。この王冠もマリアス様から頂いた物ですし…」

 

「うぅん?つーことはマリアスの迷宮に秘密がある?お前ら、マリアスの迷宮にちょっと行くぞ?」

 

 俺がそう言うとクラスメイト達とダリウスもやってきた。ドルダムとコレットも冒険者ギルドから指導官として来ていた為に興味があるようだ。

 

 おそらくはマリアスもそれを待っているのだろう。

 

 ◇◆◇

 

 マリアスの迷宮の前に着くと何故か扉が一つしかなかったダリウスとドルダムがどういう事なのか訪ねて来たが、マルシェ女王を見た。

 

 そして、自分の職業が魔物使いである事を正直に話し始めたのだ。ドルダムも魔物使いの噂は聞いたことが、あるガラハット王国に一人いるだけで後は知らないという。

 

「マルシェ女王。王冠を着けたまま扉を開けてくれますか?」

 

「え、ええ…解りましたわ」

 

 マルシェはいわれた通りに扉に触れると音を立てて地下に続く階段が現れた。ダリウスに許可を取りマルシェ女王を抱き抱えて階段を下っていくと不思議な場所にたどり着いた。

 

 ダンジョン内であるにも関わらず草原が広がっていた。ドルダムとコレットはフィールドダンジョンと言い、地形そのものがダンジョンになり行く手を阻む造りになっているらしい。

 

 だが、ここはちょっと違うようだ。安全を確認してマルシェ女王を下ろすとマリアスが現れた。


『いや~まさかこんなに早く来るなんて予想してなかったよ。よく気がついたね?』

 

「えっ?ど、どういう事ですか?」

 

『イヤね?王位継承は王に忠誠を誓える部下の武力を示す役割りがあるんだけど稀にちょっと変わった職業の時があるんだよねぇ。それがマルシェ女王だったんだ。けど、5年位は掛かるって予想してたけど意外だったなー』

 

「ウソつけ。レイドリス王国のマリアスの迷宮は他の迷宮とは違って色々と役割りがある。レイドリス王国の発展とその王に力を与える役目とかあるんだろ?」

 

 腕組みをしてため息をするとマリアスにその通りと悪びれる訳でもなくケラケラと笑った。そして、そんなマルシェ女王にはとっておきの使い魔を用意していると微笑んだ。

 

 そして、指をパチンとならすと魔法陣を二つ出現させた。




片方の魔法陣からは背中まで伸びた白髪の筋肉質な大男・ガイセイともう一人は黒紫色をした長い髪をした猫耳と人耳を持った美女・バネッサと名乗った。

 

「ったく、何百年も待たせやがったのに小娘が主か?」

 

「何いってんの?可愛い子がいいってマリアスに頼んだのはあんただろ?」

 

『そうだよ。マルシェちゃんなら仕えも良いって言ったの君だよ?』

 

「あー、そうだったか?細かい事はイイから取りあえずテメェら座れ。異世界人だろ?ならついでに話しといてやろう」

 

 ガイセイは胡座をかいて地面にドスンッと座った。マルシェが座ろうとするとバネッサがお姫様抱っこしてガイセイの膝の上に乗せて頭を撫でた。

 

  バネッサもガイセイの隣に座り込み俺達もそれぞれ楽な体制で座った。するも、ガイセイは「日本人か?」と訊ねてきた。

 

 クラスメイト達はそうですと頷いたが、ガイセイは難しそうな顔をした。元の世界に帰れる可能性は低いだろうなと難しい顔をしてしたのだ。

 


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