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レベル143-2 予定の変更もやむをえないものです

「例の小屋だけど」

 開拓開墾の方に出向いていた者達も、素材売却で戻ってきた日。

 集まった全員はトオルの言葉に耳を傾けた。

「予定を少し変える」

 少しばかりざわめきが起こった。

 自分達の場所を作るのはトオルが以前から言っていた事である。

 それが変更になるのだから気になってしまう。

「小屋は建てるけど、村から離れた所じゃない。

 まずはこの辺りに建てようと思う」

「この辺りって、この村の近く?」

「そういう事」

 領主の村に場所を設置するという事になる。

「どうして?」

「色々足りないからだ」

 手にした紙に一度目を落とし、ため息が漏れる。

 そこに何が書かれてるのか、誰もが気になった。



「まず、俺達の持ってる金じゃ小屋を建てるだけで終わりだ。

 他のものは作れない」

 防備に倉庫に炊事場などなど。

 それらを作る所まで手が回らない。

「職人を頼まなくちゃいけないけど、そんな遠くまで連れていく事も出来ない。

 ここにいる間の世話だって無理だ」

 護衛をしながら建設するなんて事は絶対に無理である。

「出来たとしても、そこからこっちに素材を持ってくるのも難しい。

 たぶん、作っても維持出来ない」

 人里離れた場所にて活動する負担は果てしなく大きい。

 モンスターがいなくても、かなり厳しい事になる。

 距離というのはそれだけで大きな負担をもたらしてしまう。

「だから今は無理だ」

 紙に書かれてるであろう事を耳にしながら、一同はトオルの言いたい事を理解した。

「それで、ここに作る事に?」

「そうだ」

 一同の代表のように訊ねるサトシに、トオルは頷いた。



「ここなら色々揃ってる。

 改めて設置する必要がある物はない」

 一番大きな理由がこれだった。

「モンスターもいるしな。

 ここで当分は頑張る事にする」

「他の村じゃ駄目なの?」

「それでも良いんだけどね。

 でも、トモノリ様と離れると色々手間だし」

 この一団の存在は大きいらしく、トモノリも活動についてあれこれと要望などを出している。

 トオルとしても統治してるトモノリとすぐに接触できるのは大きな利点だった。

「行商人も来るし、町に行くのだってここからの方が早い。

 なんだかんだで便利なんだよね」

「だからここに?」

「ああ。

 人を増やして稼ぎを増やして。

 当分ここで頑張らないと」

 それがトオルの考えだった。

「とにかく基盤を作らないとどうしようもない。

 まだまだ全然足りないんだよ」

 人もレベルも装備も設備も。

 より強力で稼げるモンスターを求めようとも、今のままでは全然手が届かない。

 はっきりとそれが浮き彫りになった。



「私としてはありがたいがね」

 穏やかな笑みと共にそんな言葉が出てきた。

「君らがここで作業をしてくれるなら」

「そういうもんですか?」

「モンスターを倒してくれるのは、それだけありがたいんだよ。

 それに、今後も暫くはあちこちから兵士がやってくる。

 彼らへの訓練もしてくれると助かるしね」

 トモノリとしてはそれもありがたいようだった。

「そちらにだって兵士はいるでしょうに」

「人手不足だよ。

 他の誰かを教えてる余裕は無い」

 それもそうかと納得してしまう。

 トモノリが各村に配置してる兵士は、モンスター退治が出来るギリギリの人数である。

 教育の為に人数を割く余裕はない。

「だからよろしく頼むよ」

「まあ、頑張りますよ」

 負担は大きいが、その分便宜も図ってくれる。

 断る理由はなかった。

「でも、まだ来るんですか?

 あれで終わりって事は無いんでしょうけど」

「結構あちこちから話しが来てるんだ。

 まだまだいるよ」

「自分達で教育すれば良いと思うんですけどね。

 やり方は教えますけど。

 末端の方々はともかく、それなりの地位の方ならそれ位の余裕はあるんじゃ?」

「それがそうでもなくてね。

 こっちで教育してくれるならその方が安上がりらしい」

 そこまで切羽詰まってるのかと思うと泣けてくる。

 宿舎として小屋を建てる事が安上がりだというのはうらやましいが。

「余計な介入だけはしないよう釘を刺しておいてくださいね」

「分かってる」

 トモノリもそれは十分に理解していた。

「ただ、あの方はどうしたものか」

「あのご婦人ですか?

 本当にどうしたらいいんですかね」

 いまだにそれは解決の目処が立たない問題だった。

 続きを明日の17:00に投稿予定

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