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レベル142-1 相手の真意を確かめるのにも都合がよいかもしれません

「それでしたら、皆様のお考え通りになさってくだされば」

 話しを聞いたご婦人はすぐにそう返答した。

 話しを持ちかけたトモノリも、現場の責任者としてついていったトオルもこれには驚いた。

「よろしいのですかな?」

「ええ、かまいません。

 私にはよく分かりませんが、そうするしかないのでしょう?

 でしたら、そちらに全てをお任せします」

 鷹揚というか、穏やかにそう言ってくるのに唖然としてしまう。

 多少は文句をつけて言い分を通そうとするだろうと思っていただけに。

 まさか素直にトモノリやトオルの言い分を受け取るとは思わなかった。

「では、それを明文化してもらいたいのだが。

 それもかまいませんか?」

「必要なんでしょうか?

 そうであるなら否やはもうしませんが」

 あとで「そんな事言ってない」と言わせないために書面にあらわしておく事すら拒否しない。

 普通、なんだかんだでこれを避けようとするものであるので、更に驚いた。

 トモノリもトオルも、相手の真意がどこにあるのか分からず考えこみそうになる。

(まさか、本当にこちらの言い分を受け入れるつもりか?)

(いや、それはないだろ。

 こうやって俺らを油断させるつもりかもなあ……)

 人生に色々あったおかげで二人とも疑い深くなっている。

 なのでこのご婦人の素直な反応に戸惑ってしまった。



 あらためて明文化された取り決めによって、見習い達の教育は進んでいく。

 それを決める際に、教える内容についてはトモノリ側で決める事がまず決められた。

 でないと、一々伺いを立てることになって何も進まなくなる。

 また、結果がどうであろうと一切の責任が送りつけた側や監督者であるご婦人にある事も明記させた。

 さすがに反発するかと思われたが、何とこれにすら同意を得られた。

 口に出しはしなかったが、これで良いのかとトモノリもトオルも思ってしまった。

 いい加減な事をするつもりはなかったが、相手を信用しすぎではないかと思ってしまう。

 このご婦人が何を考えてるのかと、トモノリとトオルは顔を見合わせてしまった。



 おかげで見習い達の教育は好きなように進めていく事ができた。

 あらためて戦闘と解体に分けて作業をすすめていく。

 その中で細々とした事も教えていく。

 声の掛け合いに全体を見て指示を出す事もやっていかねばならない。

 総勢二十人が上手く動く為に何が必要なのかを伝えていく。

 一度はトオル達だけで作業をして、成果の違いも見せたりもした。

 レベルの差も大きいが、効率よく動けばどれだけ違ってくるのかを知ってもらうために。

 ある程度慣れた所で、妖犬退治にも連れていった。

 危険が無いように注意をしながら、より強いモンスターを実体験させていく。

 相手が強いとどれほど仕事が困難になるのかを身をもって知るために。

 そんなモンスター相手にするには準備がどれだけ大切かも体感してもらう。

 また、ある程度レベルが上がったらこれすらも相手に出来るようになる事も理解してもった。

 そこまで行くのに、早くて一年はかかることも。

 ただ、レベルの表示を見るには登録証が必要なので、一年経ったとしても迂闊に相手にしないよう注意はした。

 レベルを確認する方法は他にあるかもしれないが、それはトオル達も知らないのでどうしようもなかった。

 トオル達に出来るのは、知ってる事を伝えるだけである。

 そこから先は受取手がどうにかするしかない。

 自分達に出来る事とすべき事で手は抜かないが、そこから先はどうにも出来ない。

 その事も含めて教えていった。



 付き添いのような教育はそれなりに進んでいく。

 十人で分けた二つの見習い達は割合おぼえが早く、一ヶ月もする頃にはそれほど手がかからなくなった。

 トオル達も手が空くようになり、彼らと別れて近隣で妖ネズミを倒す事とした。

 ただ、レベルが格段に高くなったので、それほど大勢であたる必要もなくなっている。

 戦闘・解体含めて五人や六人という数で作業を進めていった。

 意外な事にこれが結構効率が良い。

 倒すのも解体するのもそれほど手間がかからない。

 少人数でも広範囲に展開する事が出来る事が分かってきた。

 休みや交代などを考えれば、それでもある程度の人数は必要である。

 しかし、一時的にであれば広範囲に展開する事も出来る。

 ここまで出来るようになった事にトオルは驚きを隠せなかった。

 レベルが上がってるのは分かっていたのだが。

(これだけ差が出るとはなあ)

 危険性を下げる為に大人数で事にあたっていた頃とは違ってきてるのを実感した。

 続きを20:00に投稿予定

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