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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その6 たぶん、次への一歩だと思われる何か
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レベル138-1 相手がいれば考えますよと言い逃れてみたい

 少しずつ形になっていく宿舎の小屋を見ながら妖犬退治に向かっていく。

 日ごとにやり方を少しずつ変え、改善出来る所も見つけていった。

 人数がいる事もあって作業効率はどんどん上がり、倒せる数も増加していく。

 一人当たりの手取りも、一団の活動費の方も増えていった。

 一ヶ月もする頃には、陣地構築で雇った村人達の費用を大分穴埋め出来た。

 そうこうする間に年も明け、新年に突入する。

 小屋が完成するまであと数ヶ月。

 それまでにある程度稼いでおきたかった。

 今後の展開のために。



 二十人の兵士見習いと、十人ほどを予定している冒険者の新人。

 それらの教育を考えると、妖犬退治をしてる時間はなくなる。

 稼げる時に稼いでおきたかった。

 新たにやってくる者達がレベル2に上がるまで。

 それまではどうにもならない。



 予定では、六ヶ月もあればそこにたどり着けるはずである。

 おそらく年末にはそうなってるだろう。

 そこまで行けば手もかからなくなる。

 そうなれば妖犬退治に戻る事が出来る。

 だが、半年ほど遅れてしまうのは確実だ。

 その間に成長しているであろう新人達がいるのが救いである。

 彼らが開拓開墾の方に出向いてる者達と交代してくれれば、妖犬退治も更にはかどる。

 時間はかかるが、それを期待するしかなかった。



 また、兵士の教育が終わったら、空いてしまう事になる宿舎を借りる事を考えていた。

 三十人ほどを収容できる宿舎があれば、人をそれだけ増やす事が出来る。

 それだけの人数がいれば稼ぎを相当増やす事が出来る。

 自分達の拠点を持つのが早くなる。

 この機会を上手く追い風にしたかった。



「かまわんよ」

 あっさりと承諾が得られれた。

「訓練が終われば空いてしまうからな。

 使うというなら別に問題は無い」

「助かります」

「ただ、他からもまだ打診が来ててな。

 すぐにというわけにもいかん。

 それは分かってくれ」

「まあ、仕方ないですね」

 妖犬退治も遠のいてしまうが、それは諦める事にした。

 少しずつでも冒険者を増やし、レベルを上げていければ問題はない。

「まあ、そっちは良いのだが。

 別の面倒が全然片付かなくてな」

「なんです?」

「再婚の方だ。

 どうも本気で考えてる所もあるようでな」

「ああ、なるほど」

 貴族の中での評価は分からないが、トモノリがやはりそれなりに魅力的にうつるのだろう。

「開墾の方も順調ですしね」

「小さな畑で栽培が始まるというだけなんだがね」

 それでも新規の田畑が出来たというのは大きい。

 水路も完成し、土を耕し始める事が出来る。

 春先ではまだ一部しか栽培は出来ないが、裏作が始まる頃には大部分で栽培が開始される予定である。

 新規に開拓した者達の結婚話も進んでいる。

 予断を許さないが、先行きは明るい。

 他の村からも人手を募り、新たな田畑の開拓も考えられている。

 全てが上手くいけば、村がもう一つ誕生するくらいには発展するはずだった。

 そこまで十年ほどはかかるにしても。

 それだけの事をやってるのだから、よしみを持ちたいと思う者が出るのは当然だろう。

 おまけにトモノリの領地は辺境に位置してる。

 モンスターの脅威に最もさらされるのは確かだが、他の領地と接してるわけではない。

 その分開拓の余地がある。

 モンスターを退ける事が出来れば将来性はある。

 そして、小さいながらも兵士を抱えてる。

 放っておく理由がない。

「まあ、ご縁があったということで。

 素敵な方を迎えてあげてください」

 トオルとしてはそう言うしかない。

「君も他人事ではないがね」

「はい?」

 不穏な言葉であった。

「元はといえば、君の結婚相手の話だったからね。

 そちらに興味を示す者もいるんだよ。

 最近はちらほらと話しが来ててな。

『どういう奴なのか教えろ』と言われるから、分かる範囲で色々伝えている」

 余計な事をするなと言いたくなった。

「それで、もし良ければうちの娘を紹介してくれないかと言われて。

 断る理由もないから、釣書は受け取ってきた」

「遠慮する事無く断ってください!」

 声が大きくなった。

「そんな余裕、俺にはありません」

「なに、そのうちどうにかなるだろうさ」

 トモノリは一向に怯まなかった。

「妖犬退治に移ってるんだろ?

 大分稼ぎが増えてるようじゃないか。

 人数も増やすようだし。

 君の将来性を考えれば、余裕は十分にあるだろうさ」

 笑顔を浮かべるトモノリは、そう言ってトオルを追い込んでいく。

 続きを20:00に投稿予定

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