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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その6 たぶん、次への一歩だと思われる何か
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レベル131 ひとまずどうにかなったかもしれない、けどまだ解決はしてません

「…………」

 頭の中にある考えを書き出してからずっと無言である。

 やりたい事とやるべき事と足りない物とそれを補ったり調達する方法を考えていた。

 口に出さずとも頭は動いていたし、血流も流れていたし、解決出来ない事へのストレスも溜まっている。

 体はモンスター退治で疲労した上でこれである。

 全てを投げ出し、どこか別の場所に飛び出していきたくなった。

「どーすっかな」

 当面は何も考えずに済むだろうが、状況が変わったわけではない。

 場所はないし、レベルは足りないし、人も欲しいし、金も十分ではない。

 トモノリや村長達からの申し出も解決したわけではない。

 先送りには出来たと思うが、問題はまだ残っている。

 今は兵士達に注意をそらしていられるが、そちらが一段落ついたら再び同じ話が持ち上がる可能性がある。

 その場合の対処を考えていた。



 問題はもう一つある。

 嫁やら一団への加入者やらなどが必要なくなった場合である。

 兵士にしろ、内務関係にしろ、トモノリが自分でどうにでも出来るようになる可能性がある。

 順調にレベルアップしていけば確実にそうなるだろう。

 それでもトオル達がいれば便利な状態は続くかもしれない。

 ただ、重要性は確実に下がる。

 そうなった場合にどうしていくかも考えねばならない。

 契約が切られる可能性もある。

 干渉される恐れを排除するために、関係が緊密になるのを拒んだ。

 しかし、今後はより関係の深い者達が出てくるだろう。

 そうなったら、トオル達の優先順位は下がる。

 トオル達がいなくてもどうにかなるというなら尚更だ。

 そうなる前に、ある程度の力をつけておかねばならなかった。

 ただ、すぐにというわけではないだろう。

 こちらの問題はそうそう早くは訪れないとも思えた。



 開拓開墾がある。

 それの護衛が必要だ。

 今の人数ではギリギリなので、すぐにトオル達が切られる事は無い。

 どれほど時間があるのか分からないが、兵士が増えるまではトオル達も必要となる。

(まあ、すぐには無理だろうけど)

 理由は単純で、人がいない。

 トモノリがどう考えるか分からないが、領内の人間で固めるならば増員は不可能に近い。

 村から出せる人間はもう限界に来ている。

 これ以上兵士などにとると、畑仕事をはじめとした村の作業に影響が出る。

 ただでさえ開拓開墾して田畑を拡げようとしてる最中だ。

 人手は全然足りてない。

 そこに、兵隊として人を取っていったら、開拓開墾が滞ってしまう。

 今いる人数でやりくりするしかない。

 余所から人を集める可能性もあるが、その可能性はとてつもなく低い。

 一時的に作業の補助として人を入れるにしても、開拓開墾となると作った田畑の権利も絡んでくる。

 この段階で人を外から連れてきたら、その者達に田畑を分ける事になりかねない。

 金銭を支払うのと、権利を手に入れるのでは重みが全く違う。

 どれほど大金であっても、金の支払いは一時的な関係で終わらせる事が出来る。

 しかし、権利となると今後何年何十年と関わってくる。

 それこそ、何代にもわたって世代を超えて受け継がれていく。

 一代限りといった制限がきき難い。

 おいそれと人を連れてくるわけにはいかない。

 下手すれば代々の住人と新しい住人の間で摩擦を産み、衝突になり、禍根を残す。

 それがあるから農村などは余所者への警戒が強い。

 排他的と簡単に言えない程面倒な問題が発生してしまうのだ。

 時間はかかるが、新しく作った田畑を部屋住の者達に与え、そういった者達が結婚して子供をなすのを待った方が面倒は少ない。

 元々の村人の中であっても様々な面倒は発生するだろう。

 それでも、新たな面倒を加えるよりは良い。

 田畑を作り、生活の糧を手に入れ、結婚し、子供が生まれて育っていく。

 そうやって拡大していくのを待った方が、余計な面倒を抱えずに済む。

 二十年から三十年かかる事業になるが、それが最も穏便な手段だった。



 トオル達の必要性も、とりあえずはその間は確保される可能性は高い。

 何がどうなるかは分からないが、当分の間は冒険者の需要が下がる事はないはずだった。

 いずれ村人が増え、田畑の作業と兵士や内務に関わる者達も領内で賄える日が来るかもしれない。

 それまでトオル達が不要になる事はないと思えた。

 むしろ、田畑に人を割く事になるから、防衛などは他の者達に頼るしかなくなる。

 冒険者の需要がそこに発生する。

 最低でも十数年は必要とされるはずである。

 その間つなぎ止めておくために、様々な手段を用いてくるのも予想できた。

 結婚にしろ、一団への加入者にしろ、問題が片付いてないというのにはこういった理由がある。



 うまく避ける方法があれば良いが、なかなか思い浮かばない。

 トオル以外の誰かを推挙して、そいつを結婚させるというのも考えた。

 しかし、それはそれで面倒な事になる。

 後ろ盾を得た者が、一団の主導権を握りかねない。

 それも避けたい事だった。



(やっぱ、俺が結婚しなくちゃなんないの?)

 上手いこと逃げ道を思いつかない以上、それを覚悟するしかなかった。

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