レベル128-1 いきなりそんな話をされたら驚きますよ、奇襲としては正しいですが
(こういうのも考えておかないといけないよな)
素材を荷馬車で運びながら思う。
他の村で活動してると、行商人がやってくる領主の村への運搬が必要になってくる。
その為に荷馬車が必要になるが、これをどうするかも考えていかねばならない。
今はまだ量が少ないから良いが、人を増やす事が出来たら今の台数では足りなくなるかもしれない。
荷馬車を使う回数を増やすか、荷馬車を自分達で用意する必要が出て来る。
村で活動するとなると、その分の手間も増えてしまう。
村に駐留してる兵士の分もあるし、いずれこのままではいられなくなるのは目に見えている。
荷馬車を新たに用意するならその分の費用も用意しなくてはならない。
(出費がどんどん増えていくな)
どれだけ稼ぎを増やしても追いつかないんじゃないかと思えてくる。
(倉庫も用意しないとまずいだろうし)
運搬手段だけではなく、素材の置き場所も足りなくなってきている。
村の倉庫や納屋を借りてはいるが、それだけでは不足している。。
やはり、自分達でそういったものも用意せねばならなくなりそうだった。
領主の村と、現在活動中の場所の二つで。
(まいったな)
いずれ人数を増やすなら、今以上に素材が増える。
それを考えると、住居より先にこちらを用意する必要がありそうだった。
素材の数が増えてから入れる場所を作り始めても間に合わない。
そうなる前に必要な準備はしておかねばならない。
決まってもいない事ではあるが、『もしそうなったら』という想定をする事が多くなっている。
先々の事を考えるというのは、想像力をたくましくしないとやってられない。
それが上手くいくのかどうかも分からないが、考えもしなければ予想も出来ない。
空想であろうと想像しないと、何も考える事も出来なくなる。
頭で考えるのではなく、胸に思い浮かんでくるものに正直に。
考えるなんてそれより後で十分だった。
考えながら素材を運び、行商人に渡していく。
数は今までより若干増えてるとはいえ、一人当たりの手取りはさほど変わらない。
一人あたり十銀貨から十二銀貨あたりがせいぜいである。
住居費と食費を除いてこれだけ手に入るのだから、町にいた頃よりは手元に残る分が増えている。
それでもやはり、まだまだ足りないと感じた。
(月収三十万は欲しいよな)
年収にして四百万円。
前世の頃の記憶を元に考えてしまう。
この世界において同等の収入となると、銀貨にして三百枚から五百枚になるだろうか。
物価などが同一でないので何とも言えないが、だいたいそれ位だろうと考えていた。
そうすると、現在の三倍から五倍ほど稼がないといけない。
道はまだまだ遠い。
(やっぱり、あと二年はかかるな)
その最初の一年は今こなしている。
レベルアップのために費やす一年として。
来年は、妖犬を相手にして稼ぎを増やす。
手に入る素材の数は、おそらく今と大して変わらないだろう。
だが、単価が上がる。
その分だけ収入が増える。
レベルが上がる事で目指せるその段階を狙っていた。
(でも、そこからなんだよなあ……)
そこで終わるわけではないから気が滅入りそうになる。
やっていくしかないのだが。
そんなトオルに更に難題が襲ってくる。
「ところで、結婚とか考えてないのか?」
「は?」
トモノリの言葉に、呆然としてそんな言葉が出た。
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