レベル125-1 先を見据えた話が出来るのはそれだけの力がついてきたからでしょう
「それでも土地は欲しいと」
いつものトオルの無茶ぶりに、トモノリはいつものように呆れて驚いた。
回収した素材の運搬で領主の村へと赴いたトオルはそのままトモノリに謁見。
考えを伝え、どうすれば良いのかを聞こうとしていた。
とりあえずは土地である。
「無いとどうにもなりませんから。
とりあえず、値段があるならいくらなのかと」
「いや、値段と言ってもな」
トモノリも色々困ってしまう。
「そもそも土地の売買なんてのもな。
ほとんどが代々受け継いできた所領を守ってるだけだし」
それは貴族の事だろう。
「村とかはどうなんです。
あそこに住んでる場合とかは」
「基本的には、領主の許可を得て領内に住んでるはずだ。
まあ、これも代々権利を相続してる事になる」
土地の売買によってそこに住んでる、とういわけではないらしい。
「そうなると、開墾した田畑とかはどうなるんです。
あのあたりって、トモノリ様の領地なんですか?」
「このあたりは辺境だからな。
開拓した土地は開拓した者の物になる」
「てことは、俺達が開拓とかしたら、俺達の物になるんですか?」
「陛下が認めればな」
そのあたりは少し特殊というか、色々あるという。
開拓したという証明を国王に届け、それが認められれば確かに土地を手に入れる事が出来るという。
実際には役所に届ける、そこで認可がおりるかどうかになる。
ただ、自力でそんな事をするような者は滅多にいない。
必要になる資金が結構なものになるので、何らかの有力者が人を使って行う事がほとんどだという。
たいていの場合は、有力な貴族などがそれになる。
土地の所有に関わる事なので、どうしても貴族の名前も必要な場面が出て来る。
該当する地域の貴族などが横やりを入れ、あれこれ難癖をつけて所領にする事もあるとか。
数える程だが、実際にそういった事態も起こってるという。
「認可は陛下の仕事なのだが、それを分担して受け持ってる領主の権限がどうしても強くてな」
ここでいう領主とは、トモノリより上の地位の者達を指す。
トモノリは市町村の首長で、その上の知事などにあたる貴族などが土地所有の裁可に関わってくるという。
金銭よりもそういった権利問題の方が面倒そうに思えてきた。
「俺らは、住める場所があればいいんですけどね」
ただそれだけなのに、面倒そうなお役所仕事と貴族の思惑が絡んでくるとは思わなかった。
「でも、そうすると土地の値段とかって無いんですか?」
「君らが切り開くつもりなら、多分大丈夫だろう。
土地の代金というか、土地の所有で支払いが生じるとしたら…………。
多分、証明のための印紙代くらいだと思うぞ」
国が認める正式な書類の代金、という事である。
あるいは、判子代とも言う。
役所に登録・登記するための、正式な書類である事を認める判子を押してもらうための代金だけという事だ。
「土地の所有だからそれなりに値はあるだろうが。
とりあえず一銀貨くらいと思っておけば良いと思うぞ」
土地の値段としてはべらぼうな安さだ。
誰の手もついてないからなのだろうが。
「必要なのは、貴族の後ろ盾ですか」
「そうなるな」
余計な口を出してあれこれと文句を言ってくる奴をどうにかして遮りたいところである。
「それって、既に別の貴族の下で開拓してれば問題はないんですよね」
「だいたいはな。
貴族同士でつまらないいざこざを起こそうなんて者は滅多にいない」
「なるほど」
トオルは、じっとトモノリを見つめる。
トモノリも、そんなトオルの視線を受け止める。
暫く、不毛な沈黙が訪れた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………なんだ?」
「いえ、その時にはお願いしようかと」
トモノリは苦笑するしかなかった。
だが、拒否はしなかった。
「問題は、いつ頃それをやるんだって事になるな」
「そこなんですよねえ……」
目下、一番の悩みはそこだった。
「頭数が揃わないとどうしようもないんじゃない?」
「お前もそう思うか」
トモノリに会ったついでにサトシ達にも声をかけていく。
出て来る答えはトモノリの考えと同じだった。
「妖犬も、五人くらいでやるときついでしょ。
もっと人数増やさないと」
「まあなあ」
問題はその人数をどうやって揃えるかである。
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