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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その6 たぶん、次への一歩だと思われる何か
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レベル123-2 あれもこれもと欲しい物が増えていく

 その第一歩として、おびき寄せるための穴を掘っていく。

 いつもやってる通りに、いつもと変わらずに。

 これを始めの一歩として、今後に続く二つ目三つ目と増やしていく事を願って。

(二年か……)

 それだけ続けば、それなりのレベルの人間をそれなりに増やす事が出来る。

 人が増える事による問題も増えるだろうが、それでも今のままで終わらせたくはない。

 結局の所、自分の今後の安定のためではある。

 ただ、それが他の誰かを助ける事でなされるのであれば、それも悪くはないと信じたかった。

 言い訳でしかなくても。



「じゃ、やるか」

 村に移動してからの作業開始初日。

 トオルは、連れてきた仲間と共にモンスター退治を開始する。

 いつもの仲間と新人が頷く。

 穴に餌をまいて、やってくるのを待つ。

 レベルもあがり、もっと強いモンスターとやりあえるようになってる。

 それでも、まだまだ妖ネズミとの付き合いは続いてる。

 今後も新人が入ってくる度に繰り返されるだろう。

(ネズミから離れられないのかねえ……)

 我ながら呆れるが、これが最も確実なのだからどうにもならない。

 何かが劇的に変わるまではこの調子でいくことだろう。

 そう思ってる間に、妖ネズミが穴に向かってきた。

(とりあず、目標二千匹)

 作業が始まる前に言った言葉を思い出しながら、穴の方へと向かっていった。



「目標、二千だ」

 始まる前のこの宣言に、仲間は目を丸くした。

「二千って……」

「今日一日で倒すネズミの数だ」

 アツシの質問に、トオルははっきりと答えた。

 全員の目が丸くなる。

「本気ですか?」

「ああ。

 俺達のレベルならそれくらいいけるだろ」

 戦闘においてはサトシとレンという主力がいない。

 それでもアツシとタカユキとシンザブロウがいて、サツキもいる。

 レベルも小鬼襲撃の頃より上がっている。

 二千はきついだろうが、一千は確実にこなせる。

 ならば、ある程度高めの目標を狙ってみようと考えた。

「さすがに『出来たらいいな』って数だけど。

 でもな、目指してみようとは思う。

 俺達の今のレベルじゃ、これくらいは狙えると思うんだ」

「けど、かなり厳しいですよね」

 不安そうなサツキに他の者も頷く。

 確かに厳しい数である。

 簡単にできるとは思えない。

 ただ、彼らも全くの新人というわけではない。

 レベルも上がっている。

 そのレベルを考えれば、より高い目標を狙っても良い。

 どのみち、稼がねばならない。

 ならば、数多く倒して素材を得るしかない。

 だが、果たして出来るかどうか。

 人数がいればともかく、今ここには戦闘五人に解体五人しかいない。

 上手くやらなければすぐに何かが詰まってしまう。

 今まで以上に手際の良さが求められた。



 一応、その為に落とし穴は多めに作ってある。

 間を開けずに可能な限り倒すため、妖ネズミを多く引き込めるように。

 問題は、それだけの数が集まるかどうかだった。

 倒しても倒してもあらわれるモンスターだが、一度にどれだけあらわれるかは分からない。

 穴の数は全部で三十に及ぶが、それら全てが使われるかどうか。

 しかも五人で妖ネズミを倒し、五人でそれらを処理していかねばならない。

 人手も時間も足りるとは思えなかった。



 ありがたい事に、落とし穴の稼働率の方は、餌をまいて三十分もすれば解決した。

 半分以上の穴に妖ネズミが入り込み、それらの相手でトオル達はすぐに忙しくなった。

 何せどんどんやってくる。

 それらを倒していくだけで時間が過ぎていく。

 倒して穴の外に出し、次の穴に移っていく。

 数十匹がすぐに一百匹になり、その次がすぐにやってくる。

 餌を放り込んでから一時間で、倒した妖ネズミの数は二百に到達しようとしていた。



 とにかく数が多い。

 トオルも、倒すだけでなく、死骸を穴から取り出してから次に向かう。

 でないと回収が間に合わない。

 見れば解体の方も、回収と解体で分かれて行動している。

 回収は回収だけで忙しく、解体も解体以外に手をつけられてない。

 穴の中からの死骸を取り出すなんて、やってる余裕がない。

 手が空いてるわけではないが、トオル達戦闘をやってる者が死骸を取り出していかねば後ろの作業がつまってしまう。

 戦闘だけに集中したいがそうも言ってられなかった。



「これなら、二千に届きそうだな」

 呟き声はうんざりしたものになっていた。

 運び込まれていく死骸を見送り、積み上げられた死骸の山を見てるとそう思えてくる。

 昼になる幾らか前のこの時間、一千近くの妖ネズミを倒していた。

 たまった死骸は適度に捨てに行ってるが、それでもすぐに山になってしまう。

(回収と死骸処理で人をつけるしかないな)

 戦闘以外での手間がどんどん増えていってしまってる。

 倒すだけなら困難は何もなくなってきたが、それ以外の部分の面倒が増えていく。

 前からそうだったが、人数を増やさねばやっていけなくなっている。

 回収に二人、素材を抜き取ったあとの廃棄に二人。

 廃棄には護衛をつけるとして、それが二人。

(あと六人か)

 それでも十分な数ではない。

 これが最低線である。

 戦闘と解体をやってる者達を本来の仕事に専念させるにはそれだけ必要になりそうだった。

 それでレベルを上げて、妖犬あたりを狙う。

 手応えからして、レベル4くらいになればかなり楽に倒せるようになる。

 そこまで行けば、稼ぎは格段に増える。

 早くて一年。

 遅くても二年目の半ば頃には到達出来るはずである。

 その流れを作らなくてはならない。

 でなければ、稼ぎを増やす事は出来ない。

 妖ネズミだけではどうしても出て来てしまう限界があった。



 稼ぎを増やすには強いモンスターを倒すしかない。

 一匹当たりの単価の高いものを倒せれば、当然収入は上がる。

 負担は大きいが、レベルを上げる事で乗り切るしかない。

 レベルを上げれば倒せるようになる。

 チートは無くても、積み上げた努力はそれを補ってくれる。

 積み上げた経験値を信じて上を目指さねばならない。

 出世や名声などのためではない。

 大きな稼ぎを得て、老後の不安を無くすためだった。

 そこまで行くのに、あと三年は必要になりそうだった。

 今日出した一日の目標とは別の目指すべき場所。

 レベル10までにかかる時間。

 それを越えれば、単価の高いモンスターを倒せるようになるという。

 ならば、そこに行くしかなかった。

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