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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その6 たぶん、次への一歩だと思われる何か

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レベル117 条件に合わないからといって切り捨てるのもなんですし

「とりあえずこんだけだ」

 周旋屋で渡された名簿には、十二人の希望者が記載されていた。

 さすがに二十人は集められなかったようである。

「こんなもんか」

「一ヶ月じゃな。

 何なら他の町の店にも声をかけるが。

 どうする?」

「こっちの条件をしっかり伝えてくれるなら。

 あと、事前の面談とかもするけど、それはこの町で。

 こっちに来るまでの旅費とかはもてないけど。

 それと、採用しない場合には自力で元の町に戻る事になるから。

 そこら辺を言い含めておいて」

「はいはい。

 まあ、そう伝えておくわ」

 そう言ってオッサンは肩をすくめた。

 町から町の移動には時間も金もかかる。

 そこまでしてモンスター退治に出向こうなんて者はそうはいない。

 オッサンからすれば、体よく断ってるのだろうと思えた。

 トオルはそんな事を考えず、ただ自分に出せる条件を出しただけであるが。

 さすがに旅費などを払う余裕は無い。

「なんだったらさ、村とかに声をかけて、人を出せる所をあたってみてよ。

 サトシ達のみたいに、余ってる人手もあるかもしれないし」

「やってはみるが。

 上手くいくかわからんぞ」

「だろうね。

 でもまあ、期待しないで待ってみるよ」

 実際、何の期待も出来なかった。

 ただ、サトシ達の例もある。

 もしかしたら、という可能性はあった。

「まずはこいつらの面談からだけど」

 言いながら名簿に目をおとす。

 そこに書かれた名前や経歴、技術とレベルを見ていく。

 戦闘技術がなくてもかまわないと言ったとおり、そういった能力の無い者がほとんどだった。

 また、年齢も低い者が多い。

 技術らしい技術がないだけに、仕事がろくろく回ってこないような者達なのだろう。

 トオルが示したような、技術にこだわらないという仕事にありつくしかない者に見えた。

(まあ、こんなもんか)

 名簿を見た感想はそんなものだった。

 絶望はしないが期待もしない。

「じゃ、面談をしてくから。

 一週間ばかり厄介になるよ」

「ああ。ベッドは空いてるから」

 久しぶりの周旋屋のベッドだ。

 少しばかり懐かしく思う。

 そんなトオルにオッサンが、

「ああ、それとな」

と声をかける。

「それとは別に、興味があるなら見てもらいたい連中もいるんだ。

 そう言って、名簿とは別の紙を見せてくる。



「何これ?」

「そっちの名簿にのせてない連中だ。

 まあ、ちょっと癖があるかもしれんが」

 そういって渡された名簿には、備考・注釈欄に書き込みがある者ばかりだった。

「…………?」

「まあ、ちょっと訳ありっていうか。

 色々あってな」

 歯切れの悪いオッサンの言葉に訝しく思いながらも、書き込みに目を通していく。

 読んでいくうちに、言いたい事が分かってきた。

「なるほどねえ」

 いわゆる問題児という連中であろう。

 ただ、その理由を見ればなるほどと思えるところもある。

 業務事態は真面目にやっているが、依頼主と衝突した事があったり。

 周旋屋の仲間とも打ち解けてなかったり。

 作業そのものには問題がないし、悪評というほどの評価もついてない。

 だが、何かしら問題のありそうな者達であった。

 かといって、省いてしまうほど面倒かというと悩ましい連中である。

「もし良ければ、そいつらも会うだけ会ってくれないか。

 駄目ならいいけど」

「うーん」

 悩むところだった。

 わざわざ名簿から外れている者をすすめてどうするのか、と思う。

 そうである一方で、もしかしたら使えるのか、とも思う。

「なんでわざわざ?」

 思惑をはかりかねて直接訊ねる。

 分からない事は聞くしかない。

 正直に全てを話してるわけではないかもしれないが。

「なに、衝突の理由とか色々みていくとな。

 こいつらの言い分や考えも分からんではないから」

 つまりは、相応の扱いをされて反発したといったところなのだろうか。

 だとすれば、無碍に切り捨てるのもかわいそうである。

 とはいえ、これらを受け入れてよいものかと考えてしまう。

 想定していた人数に足りないのだから、受け入れる余裕はある。

 だからと言って、予定していた人数に合わせる必要もない。

 二十人とは言ったが、それだけの人間を一気に受け入れてやっていけるかどうかも分からない。

 ある程度の人数は欲しいが、限界ギリギリでなくてもかまわない。

 むしろ、十二人という人数は程よいものと言える。

 だが、その全てをつれていくというわけにもいかないだろう。

 なかには、どうしても駄目だと思える者もいるかもしれない。

 それを考慮に入れれば、名簿外の者達とも、会うだけ会ってみても良いのかもしれない。

「まあ、とりあえず面談につれてきてよ。

 駄目なら弾くから」

「頼む」

 オッサンの声にトオルはため息を漏らす。

(なんか、ため息ばっかだな)

 前世よりも今世での方が多いんじゃないかと思うほどに。

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