表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その6 たぶん、次への一歩だと思われる何か
139/251

レベル116-3 周りの者達の意識も一つの方向を向いてないといけません

「確かにそんなに必要ない、って言えば必要ない。

 今の状態でもそれなりに稼げる。

 レベルが上がればもっと稼げるだろう」

 実際にはいずれ頭打ちが来ると思っているが。

「けど、この前の小鬼の襲撃を思い出してくれ。

 もっと人手がいれば楽ができた…………そう思わないか?

 俺はそう思った」

「まあ、そりゃあ確かに」

 サトシも、そして他の者達も同じ思いのようだった。

「ああいう事がまた起こるかどうかは分からない。

 でも、起こらないとは言い切れない。

 その時に、また人手が足りない、って事にはしたくない。

 そうなる前に、人数を集めておきたい。

 使える人間を増やしておきたい。

 だから、大勢を入れていきたい」

 偽らざる本音ではある。

 何か起こった時の対処として、ある程度の人数を確保しておきたかった。

 ただ、これが最も説得力がありそうだから持ち出してるのも確かである。

 将来の事よりも、実際に自分が体験した過去の方が理解しやすい。



「それと、レベルの高い奴をなるべく確保したい。

 早いうちに。

 となると、今から新人を鍛えておかないとどうにもならん。

 腕のたつ奴が俺らの所に来てくれるとは思えんし」

「でも、それじゃレベルの低い奴とかしか来ないんじゃ?」

「まあな。

 それはそうなんだ。

 でも、今から鍛えれば、来年あたりはレベル3とか4くらいにはなってるだろうさ。

 それくらいのレベルの奴に来てもらうよりは確実と思うんだ」

「ああ、そっか」

 これも実際に起こってる事である。

 新人を受け入れて鍛えてきた結果、今はだいたいレベル2くらいになっている。

 順調に成長すれば今年のうちにレベル3に、上手くいけばレベル4にはなってるだろう。

 普通、それだけの腕を持ってる者を引き入れるのは結構大変である。

 既に他の所に所属している可能性が高いからだ。

「技術を持ってる人間の引き抜きは難しいと思う。

 それなりの条件を出さなくちゃいけないし、引き抜いた所から恨まれるかもしれんしな」

「うん、まあ、そうだね」

「単独で行動してる人もいるかもしれないけど、そういうのはそんなにいないだろうし」

 一匹狼はいないわけではないが、そういう者達は一人で行動するのを自ら選んでる場合が多い。

 集団行動が苦手だったり、誰かの風下に立つのが嫌だったり。

 そういった者を引き込むのは難しい。

「あと、なまじ腕が良い連中が、俺達のやり方に従ってくれるかどうか。

 向こうが俺達のやり方に文句を言うかもしれないからな」

 今までのやり方を変えたくないのは珍しい事ではない。

 それで上手くやってきたならなおさらだ。

 そういう者達を招き入れる事で、いらない騒動を引き起こしたくはなかった。

「それなら、新人を鍛えた方が早いし安上がりだ。

 時間はかかってもな」

 そこまでついてきてくれるかは分からないが。



「でも、そいつらがレベル上がって、俺達から飛び出すなんて事になったらどうすんの?」

 あり得る話しである。

 こちらが余所から引き抜きをしなくても、他の所がそうしない理由はない。

 そうでなくても、独立してやっていこうという者も出て来るだろう。

 そうなったら、育てた苦労が水の泡である。

「そん時は……」

 トオルは苦笑しながら答えた。

「諦めるさ」

 聞いてる者達は「え?」という顔をした。

 その気持ちはトオルにもよく分かる。

 苦労して手に入れたものをあっさりと諦めるのはつらい。

 もったいないとも思う。

 だが、人の気持ちを抑えておく事はできない。

 理由の善し悪しはあるだろうが、トオル達の所にいたくないと言うなら、その気持ちを尊重したいとは思った。

 それに、

「無理して一緒にいても、無駄な負担を抱えるだけだから。

 それなら、仲良くお別れして、次に会った時にも仲良くやれるようにしておきたいよ」

 問題児が率先して出ていってくれるなら、それも歓迎したい……とはさすがに言わなかった。



「でもまあ、そうなっても困らないように、なるべく多くの人間を集めておきたい。

 何人か抜けても問題ないようにね」

 それもまた、大勢を集める理由だった。

 どうしたって何人かは抜けていく。

 また、こちらから放逐したい人間も出て来る。

 そうなっても困らないように、ある程度まとまった人数を最初に入れておきたかった。

 何人か残れば、トオルの一団は確実に戦力が向上する。

 歩留まりは良いに越したことはないが。

 どうしてもそりが合わない者や、一緒にいると面倒になる者を除き、半分以上が残れば良いと思っていた。

 二十人採用して、十人が残る。

 モンスターとやりあう中での負傷や死亡も考慮に入れて。

 これらはやむを得ない減少として受け入れるしかない。

 必ず発生するものとして。



「一気に二十人を入れるって言ったのはそういう訳だ。

 そう簡単にいくとは思わないけど、やっていかなくちゃ先々苦しい思いをするかもしれん。

 だから、今のうちに対策を立てておく」

 大半はその説明に納得をしたようだった。

 ただ、上手くやっていけるかどうか分からない事からくる不安はある。

 口にはしないが表情にあらわれていた。

「まあ、上手くやれるかは分からないけど、そうするつもりだ。

 とりあえず、俺はそう考えてるって事を知っておいてほしい」

 そう言ってトオルはこの話しを一端区切った。

「トモノリ様にもこの話はしてみる。

 返事を聞いて今後の事につなげていくつもりだ」

 それでその場をお開きにした。




 続きを16:00に投稿予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ