レベル115-3 下手な考えとは思いますが、無い知恵絞ってるんです
より強力なモンスターを倒そうと思ったら、なおのことである。
一体当たりの値段も高くなるので、可能なら狙ってみたいとは思う。
そこまでいけるとは思わないが、もしそうなるならだ。
それがかなったら、必然的に危険な地域に入っていく事になる。
強力なモンスターは、人里から離れた所に生息する事が多い。
当然ながらそこまで移動する必要がある。
その移動だけで十分危険な冒険になる。
対処できる人間がどうしても必要となる。
ここでも、やはり人数が必要になってくる。
長期間の移動と、その間の危険をしのぐ事が出来るレベルの者達が。
それらを増やすには、より多くの参加が必要になる。
レベルの低い新人を集めて、高レベル冒険者に育てねばならないだろう。
全員がそこまで行くわけでもないだろう。
適度なレベルのモンスター退治で落ち着く者が大半とは思う。
ならばこそ、より多くの者を育て、高レベルを目指す者を見いだしていかねばならなかった。
上を目指す者は確率的に少数かもしれない。
だからこそ、母体となる人数を増やして、そういう者に巡り会う可能性を高めるしかない。
結局は人数なのかもしれなかった。
どれだけレベルが高くても、それが一人か二人では意味がない。
また、より多くの可能性に巡り会うには、そもそもの数を増やさねばならない。
(それしかないのかな……)
結論を出す気はないが、それも考えの一つとしておぼえておこうと思った。
また、人数が増えれば、その管理に専用の人間が欲しくなる。
今だって、素材管理の人間を専門で欲しいと思ってるくらいだ。
この先人数が更に増えるなら、そちらの需要も大きくなるだろう。
となれば、一団としての稼ぎも考えねばならなくなる。
高いレベルの人間が求められるのは、そういう専属の人間を雇う余裕を生み出すためでもある。
そんな、より強い人間を育てるためにはどうすれば良いか?
新人を育てていくしかない。
他に打開策がない以上、それを考えていくしかなくなる。
結果として、一団の規模をかなり大きくしていく事になりそうだった。
(何人くらい必要になるのかな?)
戦闘する人間だけでも結構な数になりそうだった。
そこに解体の人間を入れ、更に素材の運搬の人間も必要になるだろう。
持ち帰った素材の管理をする人間も必要になる。
素材の管理をする者達には、商人への売却なども受け持ってもらう事になるかもしれない。
そう考えていくと、相当な人数になってしまう。
「うわ……」
思わず声が出た。
自分がやろうとしてる事が、実はとんでもなく大きな事だと気づいた。
今になってようやく。
答えが出たと思って色々考えていたら、思いもしない方向に進んでいった。
本当に実現出来るのかと不安になるようなものである。
だが、何かしらやっていかねばならないというのはわかっている。
なにはなくとも、『稼がねばならない』という基本は変わってない。
ならばやるしかなかった。
(…………いつまでにやればいいんだろう)
忘れてはいけない事である。
実際に活動できるのがあとせいぜい二十年としたら。
いつの時期までにこれらを達成すれば良いのか。
それもまた悩む所だった。
ただ、不思議とこういう事を考えていると気持ちが弾む。
頭も働き、苦痛を感じない。
夜も更けているというのに、トオルはいつまでも自分の考えを書き出していった。
途中で悩み、もだえ、首をかしげ、上手くいくのかと不安になりながら。
それでも、苦痛に感じたり不安を抱いたりはしなかった。
翌日の仕事には思い切り響いていく事になるが。




