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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その5 そりゃまあ冒険者だからこういうのも仕事だけど

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レベル108-2 もう策をどうこうする段階でも無いようです

 拠点に戻り、柵を越える。

 見張りをしていた解体組の者達と言葉を交わし、短くおびき寄せの失敗を告げる。

 その言葉に見張りをしてた者が、残念そうでありながらも安心してる気配を漂わせる。

 上手くいっていればここで戦闘になるところだったから、それも当然だろう。

 特に責めるような事ではない。

 むしろ、彼らには同情をしてしまう。

 非戦闘員でありながら、トオル達が帰ってくるこの夜中までその心配をしただろうから。

 そんな彼らに「ご苦労様」と声をかけて寝床に入っていく。

 さすがに疲れていた。

 既に横になってるサトシ達の中に潜り込み、隙間を見つけて寝転ぶ。

 こうして寝ている間に襲われるかもしれないが、疲れ切った今の状態ではろくろく何も出来ない。

 後先の事など考える事もできない。

 見張りを信じて、今は休む事にした。



 目を開けたときに何も起こってなかったのは幸運と言うべきか。

 まだ暗いうちに起こされ、周囲が至って静かな事に安心する。

「何かあったか?」

 問いかけに、

「何も」

と見張りからの答えをもらう。

 小鬼達がこちらに来てないのはありがたかった。

 だからといって喜んでもいられない。

 脅威は村に向かったままなのだろうから。

 それを止める術は無い。

 残り一日もあれば、小鬼達は村にたどり着くだろう。

(準備が出来てればいいけど)

 簡単な防備でも出来てれば、戦闘に突入しても勝利の可能性は高くなる。

 それ以前に、味方の損害が格段に減る。

 もとより村には簡易な備えはある。

 常にモンスターの脅威(大体は妖ネズミくらいであるが)にさらされてる世界だ。

 城壁は無理でも、柵や堀くらいは用意されている。

 それを更に増強できてれば遅れをとる事はそうそうないはずである。

 それでも、大量に存在する小鬼を防ぎきれるかどうか。

(他の村から応援があればいいけど)

 他の領内からも。

 ただ、刈り入れの時期である。

 そちらが忙しくて、他の所を助けてる余裕は無いだろう。

 動員できるのは、トモノリの領内からだけと考えておいた方が無難だった。

(だとして、何をするべきか……)

 今の自分達に出来る事は何かをあらためて考える。

 それほど多くはないとは思いつつも。



「やれるだけはやろう」

 起きてきた他の皆に、トオルはそう告げた。

 幾分早めに起きてから、見張りを交代し、全員が目を覚ますまで考えた結果である。

「少しでも足止めをしよう。

 数も、出来れば減らそう」

 今まで通りと言えばそれまでだ。

 他に思いつかないのだから仕方ない。

「芸が無いよ、兄貴」

 サトシが苦笑する。

「駄目か?」

「全然」

 異論は無いようだった。

「やるだけやるよ」

「きついけどね」

 アツシがため息を漏らす。

 他の者も気持ちは同じである。

 苦労が多いと。

 だが、反対する者はいない。

「じゃ、行くか」



 解体組は拠点に残り、トオル達は外に出る。

 ただ、今日一日が終わったら、拠点から出て村に帰る事にはした。

 食料の残りも少ないし、それ以上残留しても意味が無い。

 村が残ってるかどうかも分からないが、居残っても仕方がない。

 村の様子を見て無事だったらそのまま帰還。

 もし制圧されていたら、回り道をして領主の所へ向かう事も決めた。



 トオル達は、小鬼の群れを追って襲撃。

 今まで通りにやっていく。

 ただ、村が襲われていたら背後から攻撃を仕掛けていく。

 村がどれだけ持ちこたえるか分からないが、少なくとも小鬼達は前後の二手に分かれる事になる。

 そうなれば村の方に向かう圧力も幾分やわらぐ。

 トオル達の負担は大きいが、群れに単独で挑むほどではない。

 もちろん、それで相手を壊滅出来るとは思ってない。

 ただ、撃退が出来ればよい。

 田畑への被害が出なければよい。

 その為に、やれる事をやらねばならなかった。



 なのだが。

 森を出て小鬼を追ったトオル達は、予想外の場面に直面する。



「なんだ?」

 妙な喧噪が聞こえてきた。

 村まではまだ少し距離がある。

 昨日、小鬼がいたあたりよりは随分と村の近くだが、それでも村には届かない場所だった。

 にも関わらず。

「……これって」

「……まさか」

 ここ何日かで聞き慣れてきた音がトオル達の耳に届いた。

 騒ぎ声と、足音。

 何かがぶつかる音(のように感じられる気配というべきか?)。

「────戦ってる?」

 レンが感じた事をそのままに口にした。

 そう、五人が聞いた、肌で感じたのは戦闘のものだった。

 誰が、などと考えるまでもない。

「もう始まってるのか?」

 だとしても、まだ早い気がした。

 村まではまだ距離があるはずだった。

(村の外に出てる?)

 おそらくそうなのだろう。

 無謀に思えた。

 防備で敵を防ぎ、安全地帯から攻撃を仕掛けるならともかく。

 外に出て、野戦に突入したとなると、純粋に数と技量、そして技術の差だけで戦う事になる。

 相手を大きく上回ってるならともかく、ほぼ同等ならば損害を避けられない。

 結果として勝つにしても、損害を少なく抑えられてもだ。

 誰かが必ず怪我を負う。

 誰かが死ぬかもしれない。

 そこまでの危険を冒して、どうして外に出たのか?

「…………急ごう」

 仲間を促して先へと進む。

 何がどうなってるのか分からなかったが、だからこそ前に向かっていった。

 続きを19:00に投稿予定。

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