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【完結】転生したけどやっぱり底辺ぽいので冒険者をやるしかなかった  作者: よぎそーと
その5 そりゃまあ冒険者だからこういうのも仕事だけど
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レベル93 それなりに準備はしてますが、そこまでたどり着かない事には

 その危険が現実になる。

 分散してこの辺りを探っていた小鬼達は、次第に糾合しつつあった。

 何かの指示があったわけではない。

 それが合理的だったり必然性によって行われたわけでもない。

 単純に、怖かったのだ。

 一匹で行動していたらどうなるか分からない。

 だから、顔を合わせた者同士が肩を並べるようになった。

 そんな場当たり的な組み合わせに合流した者達が一匹、また一匹と集まっていく。

 やがて、散らばっていた小鬼達は、数人単位の一組になって行動をしていく。

 それだけ集まっていれば大丈夫だろうという集団心理が生まれていく。

 これだけいれば、どうにかなるだろう。

 例え敵に遭遇して被害がでるにしても、一緒にいる誰かが犠牲になるだろう。

 自分は生き残れる、あわよくば、敵を倒すことができる…………そんな事を考えながら。

 何の根拠もない夢想でしかない。

 それを、飛んできた矢が貫いていった。



 五匹一緒の小鬼達を見て、さすがにトオルも考えてしまった。

 これだけを相手にして生き残れるのかと。

 その思いを押し殺して矢を放った。

 距離はかなり近い。

 狙いを外す事もまずない。

 放った矢は小鬼の頭を横から貫通し、犠牲になった者から思考能力を破壊した。

 弓をたすき掛けに肩にかけたトオルは、地面に突き刺しておいた刀を抜き取ると、その群れに突進していく。

 襲撃に気づいた小鬼達が警戒するよりも早く飛び込んだトオルは、横薙ぎの一刀で小鬼の首を切り裂きいた。

 瞬時に二匹を倒したトオルは、あわてて横に拡がろうとする小鬼達の中央に斬りかかっていく。

 考えての行動ではない。

 斬った勢いのままに飛び出しただけだった。

 出来るなら小鬼のいる方へとだけ思いながら。

 そこにたまたま、小鬼がいた。

 それだけだった。

 だから早かった。

 意識して、何をするか考えて、目標を見つけて、動く。

 それだけの事をするだけの時間がない。

 当てずっぽうの行動であったが、他の全てを犠牲にして得た速度が得られた。

 おそらく、一秒か二秒程度の時間であるが、小鬼達が意識の切り替えをする余裕はそれで失われた。

 また、横に振り切った刀を腰留めに構えてからの振りかぶりによって、小鬼は胴体を左右に両断された。

 いわゆる脇構えと呼ばれるところからの、刃が車輪のように襲いかかっていくのだ。

 防備をろくにまとってない小鬼の体がそれをしのげるわけがない。

 開きにされた小鬼は、地面に二つに分かれて倒れていくしかなかった。

 残る二匹の小鬼は、そんな斬撃を目にして呆気にとられてしまった。

 恐れを抱く間もない。

 そんな二匹を残してトオルは、そのまま前へと進んでいく。

 後には、仲間を殺された小鬼が残された。

 やがて二匹は倒された仲間達を見渡し、呆けた顔をしながらその場にへたり込んだ。

 股間からは、体内にあった排泄するべき物が止めどなく流れ出していった。



 動き出したトオルは、ただひたすらに草の中を駆けていった。

 可能な限り身をかがめ、全速力は出さずに。

 敵の中を走り回るのだから、どうしても気がせいていく。

 身に降りかかる危険を考えれば、すぐにでも脱出したいとも思う。

 だが、全力で走って息切れを起こしては意味が無い。

 草も体にあたり、足を遮っていく。

 どれだけ急いでも、それほど早く動けるわけでもない。

 必然的に小走りや早歩き程度の速度に落ち着いていった。

 周りの小鬼達がその姿をとらえるまでさほど時間もかからなかった。

 だから小鬼達は距離を摘めようとはしなかった。

 遠巻きに追いかけはするが。

 決して一定以上の距離をつめようとはしない。

 ぬぐい去ることの出来ない恐怖が、生存本能に命じていた。

 これ以上近づくなと。

 それが確かに小鬼達の命をつなぎ止めていた。

 同時に、トオルの命をながらえさせた。

 援護が届くまで。

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