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そして ハジマル 物語  作者: vlinder-蝶-
第一章 ~始まりの日~
7/12

過去編 ~動き出すもう一つの現実 1 ~

 ーーーー時は少し前にさかのぼる。


「“輝大盾シールドシャイン”、帰還しました」


 少年の様なシルエット。声や身長などを見るからにこのシルエットの正体は、月影つきかげだ。学校に行っていない間、月影つきかげは大きな施設のような所に居た。両開きの自動ドアを開け、一つの小さな部屋で待機していた。


 カツンッ……。カツンッ……。


 しばらくして、ハイヒールで歩く音が聞こえ出した。月影つきかげはその足音がする方向に目を向ける。廊下の向こうから、女性が月影つきかげに近付いてきていた。足音の犯人はこの女性だ。その女性が月影つきかげの目の前に立つと、その女性は静かに口を開いた。

「遅い。何をしていた」

その質問に、月影つきかげは答える。


「ーー少し、寄り道をしていました」




 女性は、月影つきかげに背面の腰に装備している“平らで円状の形をした物”を渡すように命じた。月影つきかげは、背面の腰に装備している物を女性に渡す。すると、女性は渡された物をカチャカチャといじり始めた。

「少し展開速度が低下しているな。それと、“戦闘形態アタックフォルム”時の発砲速度も低下している。多少の改善と修理が必要になる」

月影つきかげは少し悩み、遅れて口を開いた。


「どのくらいの時間が掛かりますか?」

「そうだな、遅くても3時間くらいだろう。“ハイナ”ならもっと早く終わらせられると思うだろうがな」

「分かりました。では、ハイナさんに渡しときます」

そう言い残し、月影つきかげは女性を通りすぎる。そして、そのまま廊下の方に歩き出す。

「あぁ、お疲れ様」

女性は月影つきかげに言う。すると、歩く足がその場で立ち止まった。

「お疲れ様です」

月影つきかげは女性に背を向けながら返事をした後、再び廊下を歩き始めた。



 施設内を歩き、月影つきかげは“ハイナのお部屋”と書かれた扉の前に立っていた。

「“輝大盾シールドシャイン”です。装備の事で来ました」

「むむ、もう来たのね~。良いよ~、入って入って~」

軽い返事を聞くと、月影つきかげは扉を開き、中に入っていった。

「失礼します。さっそくですが、装備の修理のお願いをしに来ました」

「うんうん、話は聞いてるよ~。じゃあパパッと直しちゃおうね~」

月影つきかげはハイナという人物に“お願いします”と言って装備を渡す。

「まっかせてよ~! あ、3時間程度で終わるから3時間後にはここに戻ってくるように!」

「わかりました。では、失礼しました」

そういうと月影つきかげはその部屋を後にする。月影つきかげは自室でご飯を済ませ、休息を取った。


 ーー先程言われた時間に月影つきかげは“ハイナ”という人物の所に行った。

「これで修理はバッチリ!起動速度の改善、重量も軽くして更に強くなりました!」


渡していた平らで円状の物を返してもらい、再び背面の腰に装備した。

「ありがとうございました」

「礼には及ばないさっ! 使った時にビックリすると思うよ~」

「では、この後に訓練場に行って試してきます」

「それは名案だ。いってらっしゃ~い」

ハイナの部屋を出た後、性能向上を確かめる為に月影つきかげはエレベーターで地下にある訓練場に向かった。



 訓練場に着き、早速平らで円状の物を手に持ち、月影つきかげは口を開く。

「起動、“輝大盾シールドシャイン”」

すると当然、平らで円状の物が大きく、分厚く、そして透明で輝く大きな壁の様な盾に姿を変えた。

「よし、シールドの展開速度は早くなっている。大きさも分厚さも前とは全然違う。それなのに重さは前よりも更に軽い……。流石ハイナさんだ……」

月影つきかげは感心し、次にシールドの姿を拳銃の様な物に変えた。訓練場には勿論の事、的もある。月影つきかげは的に狙いを定めて拳銃を撃った。

「発砲速度が速い。それに、反動もかなり軽減されている。これなら負荷無く戦えそうだ。よし、このまま戦闘訓練もしてしまおう」

月影つきかげが戦闘訓練をしようとした、その時だ。


『16番市街に“ターゲット”出現。すみやかに急行し、殲滅して下さい。繰り返します。

16番市街に“ターゲット”が出現。すみやかにーー』

施設内警報が突然鳴り出し、アナウンスが流れ始めた。


「16番市街って確か学校の帰り道のはず、今の時間は……!?」

月影つきかげは近くの時計を見る。

「まずい。急いで向かわないと、手遅れになる……!」

そう言うと、武器を背面の腰に装備し、急いでエレベーターに向かった。




 ーー16番市街は、戦場と化していた。


 辺りには鳴り響く銃声。そんな激戦の中、細い身体で刀の様な物を振り回す男が居た。物凄い速さで間合いを詰め、素速い動きで相手を斬り倒して行く。風の様に速く、そして雷の様に激しく。その姿はまるで疾風雷神の如く。


「増援はまだなのかよ……ッ!!」

その男は、増援が来るのを待ちながらひたすらに敵を斬り倒して行く。


 男はそんな戦いの最中さなか、ある事に気付く。戦っているこの場から、そう遠くない道端を歩いている3人組みを見付けた。

「何でこんな所に一般人が居るんだ……? いや、待てよ。それよりも“ターゲット”が近付いているな……。面倒臭めんどうくせぇ仕事を増やしやがって……」

男は3人組みの所に走った。


 向かっていると、その中に居る一人の男が怒鳴る。その声が響き、近くに居た“ターゲット”が3人組みに気付き、武器を構える。


「そ、それはそうだけど……、でも……!」

その三人の中の一人の女が話そうとした瞬間、その場に着いたと同時に男は刀の様な物を拳銃に姿を変え、3人組みの近くに現れた“ターゲット”に狙いを定め、男は口を開く。


「随分とご立派な仲間想いの奴だなァ?」


“パァンッッ!!”


男はそう言いながら“ターゲット”を拳銃で撃った。

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