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そして ハジマル 物語  作者: vlinder-蝶-
第一章 ~始まりの日~
8/12

過去編 ~動き出す現実 3 ~

 銃声が鳴り響いた後、その場に倒れる神崎《かんざき》。


「神崎《かんざき》ッ!」


 桐生《きりゅう》は銃声を聞いた後、髪の長い男を警戒しながらすぐさま倒れた神崎《かんざき》が無事なのかを確かめた。すると新城《しんじょう》が何かに気付く。

「あれ……。桐生《きりゅう》さん……?」

新城《しんじょう》は神崎《かんざき》の近くに寄り、脈拍を調べた。

「やっぱり……、大丈夫ですよ桐生《きりゅう》さん。神崎《かんざき》さんは気を失っているだけです」

「そうなのか……。良かった……」


神崎《かんざき》が無事だということに桐生《きりゅう》は安心する。そしてそのまま桐生《きりゅう》はその場に立ち、拳銃のような物を持った長い髪の男を見た。


「おい、アンタ。神崎《かんざき》を狙った訳じゃないな? なら多分、敵じゃない。だからこそ聞くが、今ここで何が起きている? アンタが持っているその変な物。俺の知り合いが似た様な物を持っていた。つまり、今ここで何かが起こっているんだろ?そうなんだろ!?」

勢いに任せてどんどん質問をする桐生《きりゅう》。気に触ったのか、髪の長い男を包んでいたオーラはどんより重くなる。

「あー、少し黙ってくれ。”五月蝿《うるさ》い”のは、嫌いなんだよなァ…」


髪の長い男のあまりにも殺意に満ちた鋭い眼光と言葉に、桐生《きりゅう》は圧倒されぐっと思い止まる。すると長い髪の男は、鋭い眼光をどこか明後日の方向に向けると同時に口を開いた。

「……おめェの今、想像している事は多分当たっているだろうなァ……。だがーー」

その先を言い掛けると、髪の長い男は拳銃のような物を刀に変形させ、桐生《きりゅう》に刀身の刃を向けた。

「ーーそれを知ったところでどうする?」

 それはまるで威嚇《いかく》の様にも思える程、低い声だった。


 すると、桐生《きりゅう》は何かの意を決したかの様に口を開いた。

「ーーも、ーーーーいーー」

「あァん?なんつった……?」

次は口を大きく開いて空気を思いっきり吸い、怒鳴る様な声で言った。

「俺も戦いたい!! 何が起こってんのか、わっかんねぇよ! だけどよ、何も分からないまま仲間も助けられず、無力なままで居たくないんだ、教えてくれ! その“力《ちから》”はどこで手に入れる事が出来るんだッ!!」


 桐生《きりゅう》の答えに対し、髪の長い男は無言で桐生《きりゅう》を睨んだ。

「ふん、無力なままで……、か」

 少しの間、無言で睨んでいた顔が緩み、桐生《きりゅう》に向けていた刃を下げて長い男は桐生《きりゅう》に近付いてきた。

「……お前、命の保証はねぇぞ。それでも良いんだな?」

 桐生《きりゅう》はその言葉を聞き、髪の長い男に真剣な眼差しを向けた。

「一体何が起こっているのかもわからねぇし、仲間も助けられねぇ……。でも、ただただ無力なままじゃ収まりがつかねぇ……。だから、俺は仲間の為になるなら、自分を犠牲にしたって構わないぜ」

その返事に男は頬が少し緩む。

「……なら、決まりだな。お前の覚悟とやらを俺に見せてみろ。……これから場所を移動する。俺に着いて来い」


「き、桐生《きりゅう》さん…!?」

 今まで無言で聞いていた新城《しんじょう》が急に桐生《きりゅう》の発言する。

「ちょっと待って下さい! 私達はこの後どうすれば……? それに、危ないですよ桐生《きりゅう》さん!」

「悪い、新城《しんじょう》。勝手に決めちまって……。必ず俺は戻ってくる。それまで神崎《かんざき》の事を頼んだぜ」

桐生《きりゅう》は満面の笑顔を新城《しんじょう》に向けながら無責任に言った。


 髪の長い男は会話が終わるのを確認し、口を開く。

「用は済んだか? ならば行くぞ、ついてこい」

「あぁ……!」


 突然現れた謎の長い髪の男と共に、桐生《きりゅう》はどこかに行ってしまったーー。



 ーーそれからしばらくすると、少年の様なシルエットが走ってきた。

「あっ……! あれは、新城《しんじょう》と……。神崎《かんざき》さん……!」

こちらに走ってくるシルエットが誰なのか、新城《しんじょう》はすぐに分かった。

「月影《つきかげ》……、さん!? 今までどちらへ……?」

「話は後だ。とにかく僕に着いてきて! ここはもうじき更に激しい争いの場所になる」


 神崎《かんざき》を新城《しんじょう》と月影《つきかげ》の二人で支えながら建物の中に隠れた。安全を確保した事を確認すると、新城《しんじょう》は月影《つきかげ》を呼んだ。

「月影《つきかげ》さん。あなた、もしかして何か私達に隠し事をしていませんか?」

月影《つきかげ》は驚く。言い訳をしようとするが、新城《しんじょう》には全てを見透かされている事に気付く。月影《つきかげ》はその質問に対しして返事をする。


「……どうやら、話さなきゃだね……」


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