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現人女神 アナスタシア


「じゃからな……愛しの勇者どの……

 妾はの?くっ!唇同士で……くくく!

 キッスをするとかの……

 い、言った覚えなどないんじゃがのう

 プククク……

 

 や、やっぱり勇者どのはいっつもスケベな事ばかり考えておったんじゃな?!」


「グハッ!」

 

 腹を抱えクックックッ!と、ひきつりながら俺にそう言う駄女神が恨めしい……人の()()を弄びやがって!


 くっそ〜……いつか仕返してやるからな……駄女神め!

 

「おお? 剣呑な顔じゃのう」


 まだ、クスクスと笑っているアナスタシア。


「せっかく妾が大サービスしてやったというのに……

 これ!そろそろ機嫌を直してくれんかのう?

 なんじゃ、もっと褒美が欲しいとでも言うのかえ?

 欲張りさんじゃのう?勇者どのは」


 ご褒美たっぷり貰ったのはお前の方だろ?!

 むしろ、欲張りはおまえだろ!

 女神の存在を支えるだけの魔力量を一気に持っていきやがって!

 普通の人間がそんなに吸われたら、とっくに干からびて生きちゃいねぇ量だぞ?

 

 流石、元々は女神専用の魔力供給炉……「ブレイブハート」。

 危機的な感覚どころか、譲渡中も何も感じなかった。

 

 フンフンフーンとご機嫌で鼻唄歌いながら、ドラッグストアへの道を先に歩くアナスタシア。


 時折こちらを振り返っては、どこか嬉しそうに笑っている。


 ……なんだよ、その顔。


 まるで悪戯が成功した子供みたいじゃないか。

 

 コイツの様子を見ていると、俺が一人でドギマギしたり、悶々とするのがだんだん馬鹿馬鹿しくなってきた……ちぇ


 まぁ、アナスタシアの消滅の危機はとりあえずは脱したんだ、今はそれで良しとするさ!

 

 ドラッグストアに着くと、アナスタシアは店で見る全てのものが珍しいらしく、これはなんだ?あれはなんだ?と、うるさいったらない。


 更に、女の人専用コーナーから、

 

「のうのう?勇者どの?このコットン100%?と書いてあるこれは何じゃ?かわゆい女子の絵も描いてあるんじゃが?」


 あー、まじそれ?

 はぁ……俺にそれを説明できるスキルは生えてないんだよね。


 え〜と、


「あー、それはさ、俺じゃなくてそこの女性店員さんに聞いてきてくれ」

 

 俺にそう言われたアナスタシアが俺の様子に怪訝そうな顔をしてから、女性店員さんへ現物を手に聞きに行った。

しばらくして……

 

「何と?!」

 

 アナスタシアはそんな声を発したあと、こっちを見て、つぎに手に持ったコットン100%を見て、次にそれを背中の後ろに隠して、そして……あ、ソッポを向いた。

 

 へー、女神も顔が赤くなるんだな。


 次元喰いとの戦いの最中、ブレイブハートを俺に譲渡したアナスタシアは、神的霊的なアストラルボディを失い、物質的な肉体へと受肉した。

 つまり今のアイツは他の異世界人達と同じ、女の子なんだよなぁ……

 おれが教えてやれる事じゃないから、ドラッグストアに連れてきて正解だったよ……


 もっとも、人と同じ肉体を持ったクセに、魔力的な器は女神の頃とあまり変わらないようなんだけどな……

 正直言って生みの身体でそんな超高容量をどうやって維持するんだって話だよ?

 言ってみりゃ太陽を身体に呑み込んでるみたいなモノだからな……

 流石、元女神、腐っても鯛!

 いや、腐っても駄女神だな!


「ははは」


「む?勇者どのは今、凄く失礼な事を考えておらなんだか?」


「……いえ!気のせいですよ……」


お読みいただきありがとうございます。


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