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とある青年のレベル上げ ~グラド・サーガ~  作者: あいうえおさん
第2章 各々の条件 《フィドゥーティア・ジゴケルビム》
19/110

レベル17 解放 《スーパーノヴァ》

アリナは呪文を唱えた。


「 『オーディバイン』ッ!! 」


状態異常系の呪文だ。紫色のスペルが敵の呪文耐性を一時的に弱くする。

呪文がメインのアリナにとって、これがヒットすればかなり大きい。


『お~ちっちゃいクセに使う魔法はいっちょ前かよ~おい!』


「だ、誰がちっちゃいですかッ!!」


『ん~でも、相手が悪かったね~おい!』


「ッ・・・?」


ベヒーモスは片手の上に紫色の邪悪な怨念を召喚すると、


『その呪文、効かないね~おい!』


その怨念を自分の体内に取り込んだ。

次の瞬間、ベヒーモスの前に紫色の光の壁が召喚された。


「!?まさかあれは『ケミセリド』の効果ッ!??」


『ケミセリド』とは、自分の目の前に紫色の光の壁を作ることで、敵からの呪文攻撃を跳ね返す上級呪文だ。習得している者はあまりいない、珍しい魔法だ。


「まずいわ!あれだとアリナちゃんの『オーディバイン』が全て自分に・・・!!」


「ッ!?」


『へへへ~もうおそいんだよなぁ~おい!』


口調はふざけていても、やはり強い。高位悪魔は何と上級呪文も使えるのだ。


「私の呪文は通じるッ!!だから壁なんて関係ないッ!!」


アリナはそれでも呪文を唱える。


「やめろアリナ!!それは無茶だッ!!」

「ダメよアリナちゃん!!それをやっても自分が弱くなるだけだよッ!!」


『おいおいおい~!!正気かよ~!?これでも『ケミセリド』効果なんだぜぇ~おい!』


紫色のスペルが、とうとう光の壁まで到達する。


『(ふっふっふ・・・!!これで跳ね返して弱めるだけだね~おい!)』


スペルが壁に当たる瞬間。






『スキル;「フィドゥーティア」が発動します。』






「ッッッ!!!」


パッ!!!


次の瞬間、何かの力によって突如ベヒーモスの光の壁が一瞬でただの霧に変わってしまった。


『ッ!?はぁ!?』


そしてスペルはそのままベヒーモスに直撃する。



!!!!!



『ンンッ!!!???何でだ何でだ何でだああああ????おいおいおい!!』


ベヒーモスの呪文耐性は高めの方だが、耐えるベヒーモスに次々と『オーディバイン』のスペルが直撃していく。


『!!ふ、ふざけんなッ・・・!!おいおいおいおいおいおい!!!!』


「アリナのやつ、一体なにしたんだ・・・!?うおッこっち来たッ」ギイン!!


「あれはまさかスキル・・・!?」




仲間を信頼し、そして仲間の気持ちに応えたい ―――

その強い気持ちが強く共鳴し、まれに相手の耐性や効果を全てかき消すのだ


それがスキル;『フィドゥーティア』である。



ベヒーモスは必死に抵抗するがついに抵抗はかなわず。

スペルがベヒーモスに侵入し、身体を紫色の濃い霧が包み込む。

ベヒーモスは呪文攻撃にとても弱くなってしまった。


『はあああああああ???????おい!』


「行きますッ!!」


アリナは再び杖先に意識を集中させる。


「眠りし核の粒子よ、我の前に集い現出せよ・・・!!」


『(まずいぜおい!あれはまさか・・・!!!)』


「あの呪文って・・・!!!」

「レイくんあの子があぶないッ!!」


レイは詠唱が終わる前に格子檻まで駆け上がり、剣で檻を一瞬で破壊すると


「ほら、早くおいでッ!!」ガラ・・

「う、うんッ」グスッ


レイはその子を担いでアリナの後ろまで非難する。


『なッ人質がッ・・・!!おい!』


アリナは杖の魔力を一気に解放する。


アリナは呪文を唱えた。




「 『スーパーノヴァ』ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!! 」

『お前やめッ』



!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






とてつもない爆風に、すさまじい爆発音


破壊神の如きその所業は




ベヒーモスを一瞬で消し去った。





『ベヒーモスを討伐。それぞれ経験値6200、0ゴールドを獲得。

 スキル発動;レイ=ベルディアのみ経験値24800獲得。』





「何だあの呪文は・・・!!」

「レイくん早くここから逃げないとッ!!!」


洞窟全体を大きく揺るがすほどの威力だ、今の洞窟は倒壊寸前である。


「アリナ!にげるz・・・


レイはアリナの方を振り返る。

しかしアリナは魔法を放った場所で倒れ込んでいる。


「は!?どうしたんだあいつッ!?」


「レイくん!多分あれは『オーバーリリース』状態だよッ!!今のアリナちゃんは動けないんだよ!!」


『オーバーリリース』状態とは、大量のMPを一瞬で放出することで生じる、その反動による身体の拒絶反応である。別に命に別状はないが、しばらくの間は歩くどころか立つことも出来ない。


「ッ!動けねぇってことか!」


レイはすぐにアリナをもう一方の片手に担ぐと、行き来た階段をダッシュで駆け上がっていく。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!!!!!!



「まずいッ・・!!みお姉!先に出口まで行っててくれッ!!待たなくていい!!」


「レイくんたちは!!??」


「今ダッシュでそっち行ってる!!レバーの場所ももうすぐ危ないだろ!!」


「分かったッ!!」


ベヒーモスの間が完全に倒壊、今度は地上層の倒壊が危ない。


「おおおおおやべえええええ!!!!」ダダダダッ!!


ガラガラガラ・・・・!!!!ガンッ!!ガラガラガラ・・・・!!!!


後方の岩壁が倒壊を始めた。レイの足元も崩れ出す。


「やべええええええ!!!!!」ダダダダッ!!!


レイはアリナを担いで必死に駆け抜ける。


「レイくんッ!!」


ようやく外が見えてきた。ミオンは外に避難しているようだ。


「早くこっち!!」

「おおおおお!!!」ダダダダッ!!!




ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・





暗黒洞は、完全に倒壊した。






「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・・・・!!!!!!」


「れ、レイくん大丈夫・・・?」


「そんなのだいじょ$&>*&$#“%~~~~!!!!」


「何言ってるか分からないけど大丈夫そうだね。」


「しょう、がッ!・・・ハァハァ・・ないだろッ!!ハァハァ・・・二人担いでッ・・ハア!走ったからよッ!・・・・」


「そうだね~お疲れレイくん・・・」


「みんな、ありがとう・・・!!!」グスッヒグッ・・


「お、おいおいッ・・・ハァハァ、泣く、のは・・勘弁ッ!ハァハァ・・・してくれ・・・!」


「まぁ別に泣かせてるわけじゃないし、いいんじゃない?」



「ん~・・・・」


「あ、アリナちゃんの目を覚ましたみたい。」


「・・・!あれ、ここは・・・?」


「やっと気づいたみたい。ここは暗黒洞の入口だよ。」


「そ、そうですかお姉さま・・・私、呪文撃った後、そのまま気絶して・・・」


「うん、それでレイくんが担いでここまで逃げてきたの。」


「逃げたって・・・まさかベヒーモスはまだ生きて・・・?」


「いや、ベヒーモスはちゃんと倒したよ。逃げてきたのは洞窟が倒壊したからかな?」


「えッ・・・倒壊・・・?」


「そうだこのバカッ!!お前が周り見ずに爆発呪文なんか撃つからッ・・・ハァハァ」


「!!・・・」


「どこで爆発系魔法とかいう上級魔法覚えたんだよ・・・」ヤレヤレ


「お前この女の子に当たってたらどうするつもりだったんだ全く・・・」フー


「・・・確かにそれは反省するべきかな。」


「ご、ごめんなさい・・・」


「ったく、みお姉が崩れる岩壁を『プロイ』で何とか抑えてたからまだ良かったものの・・・」


「うんうん。」


「・・・」シュン・・・


「・・・まぁ、でも・・」


「・・・?」ピクッ



「よくやった。それは褒めてやる。」



「!?・・・」


「今回のお前の貢献度はナンバーワンだ。頑張ったなアリナ。」


「・・・!!!」グスッ・・!


「おいおい・・・泣くなって・・・」ハア



初めて言われたのだ。

それはずっと誰かに言ってほしかった、ずっと待っていた、その言葉


『よくやった。』


アリナに何かがこみ上げてくるのも無理はない。


「う、うぅ・・・!!!うわ~~~~ん!!!!!!」


アリナは、なんとレイに飛び付いて泣き出した。


「おいおい勘弁してくれって・・・・」ヤレヤレ


「いいじゃないレイくん、アリナちゃんも嬉しかったんじゃない?」


「・・・やっぱまだまだ中身も子供だなコイツは。」


「レイくんもナルシストモードの時は子供っぽいけどね。」アハハ


「う、うっせ・・!」


「・・・じゃあそろそろ帰ろうか。行きに言ってたスケジュールだと、もう終わりでしょ?」


「・・・まぁな。でもこの二人、まさか俺が担いで帰るのか・・・!?」


「・・・しょうがないなぁ、女の子は私が負ぶっていくから、アリナちゃんはお願いね・・・。」


「はぁ~・・・へいへい分かったよ。」







レイ=ベルディアパーティー一行

討伐クエスト;『迷子の救出』 達成


次回投稿日;4月13日

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