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「物語の強制力」の威力、登場人物側編。

今回も物語の強制力話でございます。

 

物語の強制力。悪役令嬢物をよく読む読者さんには見慣れたワードだと思います。

このジャンルに触れてない人に、にわかものながらに簡単に解説すると、

 

悪役令嬢物のテンプレート設定で、「『主人公が今いる劇中劇』のシナリオ」が、

人物の意志や現在の関係性を無視して、主人公たちの状況を

強制的に劇中劇の流れへとシフトさせにかかって来る

 

と言う、なんともややこしい現象のことです。

 

 

さて、前回は作者としての俺が物語強制力と似たようなことに遭遇した話をしました。

今回は登場人物視点での話になります。

ここに投稿してると言うことは、サモナー領域関連の話となっております。

 

サモナー領域は、物語としてアクセスした された異世界の人達が遊びに来る以外にも、

第一回のテピアちゃんや異世界転生2D6(ツーディーシックス)のレイナなど

その時点では物語として、影も形もない人達がやって来ることなんかもあります。

 

そうやってやって来る人の中には、夢で知り合い その夢を俺が記憶している場合に、

なかなかの確率で、領域にとどまってくれる人もいます。

そんな夢から同行者の一人に、とても不思議な娘がいます。

ええ、第七回の四神娘たちはレアケースでございます。

 

 

閑話休題。この娘がどんな人なのかと言うと。

その夢の世界の、グロじゃない方の年齢制限ゲームの登場人物です。

 

夢世界の創作物のキャラが実際に人間として領域に来ることは何度かありますので、

それほどびっくりすることじゃなかったのですが、

この娘は本当に特殊な人でして。

 

自分自身がラフ画で描かれた段階で自我が発言、そのまま絵として完成するところから

ゲームができ、アニメ化されるところまで 一切を体感していたと言う女の子なんです。

 

でもこの娘は、ただの絵であり ゲームの登場人物である以上、

自分の意志を発することができなかったそうです。

おまけに、そのゲームをプレイされただけ、同じ内容を

体感させられる羽目になっていたとのことです。

 

ジャンルとしてはバカゲーの、その とてもオサカンな感じのシナリオだったそうです。

この娘は、専用ルートですら己の過去について、殆ど触れられない

と言うシナリオ内容だったらしく、自分には過去がないって言ってました。

 

内容がバカゲーだったのは不幸中の幸いだったんじゃないかなと思ってます、俺がですが。

ちなみに、自分がおかしな存在であることは、CGでイラストとして完成した辺りで気が付いたようです。

 

 

ここで物語の強制力が出て来るんですが。

悪役令嬢物の劇中劇の強制力は、主人公が入り込んでる関係上抗うことが可能で、

どう抗うかを物語の比重に裂くことは珍しくないと思われます(にわかものゆえ断定できず)。

 

しかし、この娘が体感した物語の強制力は、そんなレベルのもんではなく。

ゲーム機動中は物語上の自称以外のことは、なにをどう頑張ったところでできなかったとのこと。

 

自分の意志とは関係なく、動き 喋り 感覚を強制的にシナリオ通りにさせられていたらしいです。

本人は主人公に対してなにも思ってないのに、ゲーム上の展開では好意を抱いているために、

自分の感情と關係なく顔が赤らんでたり、

そうカンジてないのに体が熱を持つ(意味深)になったりしてるってことですね。

 

おまけに喋る言葉もシナリオに書かれてる台詞のみで、声優さんが吹き込んだ抑揚で同時に声が出ており、

メッセージを送られれば言葉は途切れてしまってたそうな。

吹きこまれてる台詞以外の言葉は、口を開くことさえ許されなかったとか。

自分の意識はあるのに、自分と言う個を発信することが一切できなかったんだそうです。

 

ただ、ゲームが動いてない状況なら、自由意志でゲーム世界の中で動き喋ることが可能だったようです。

とはいえ他のキャラが当然ながら全員プログラムでしかないので、彼女の言葉や行動には

たとえその娘が、どんな奇怪な動きをしていようと、なににどう触れていたとしても、

なにも返ってこなかったんだとか。

まるで時が止まったようだった、とのこと。

 

自分だけがプログラムに縛られる苦しみを味わい続けることになってしまい、

その結果、考えるのをやめてたらしいです。

イラスト段階で自我が芽生えて、その時点で自分の意思の表出についてはあきらめがついてたから

ゲームキャラとして世に出て後、プログラムに縛られた絶望しかない世界の仕組みを理解してから

己を殺すまでに、特に時間はかからなかったとのこと。

 

 

うちに来て少しの間は、自分の意志がそのまま反映される世界に戸惑ってました。

口癖みたいに「設定ですから」って言ってたほど、自分の存在を投げ捨ててましたね。

最終的に、本人が、プログラムから解放されたことを喜んでたので、

偶然そうなったとはいえ、よかったなぁと思ってます。

 

 

ってところで。物語の強制力の体験者から、その恐ろしさを聞きましたよっと言う話でした。

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