第一話
「はぁ、疲れた……今日も残業させやがって。給料も残業代も低い、なんで俺はあんな会社に勤めているんだか」
両親死亡済みで友人無しの独身という、あまり欲しくないであろう属性がもりもりの、二十二歳男性。
彼は都会にしてはとても静かな時間帯に、残業をすることになった元凶の上司とその会社に悪態をつきながら帰宅していた。
「真面目に転職、考えないと……」
決して裕福ではない暮らし。両親は高校生の頃に他界。その後叔母に引き取られたが叔母も長くは生きず。
就職活動も上手くいかなく、やっとの思いで入った会社は想像以上にブラックだった。
そんな人生だが、彼はいつか転機が訪れ、晴れ晴れとした人生を送れる日が来ると信じて、今日も生きている。
そしてこの日、彼に人生の転機は訪れた、だがそれは彼の破滅への転機。
「ん?……な、なんッ……だ――」
「気絶させることに成功した。持ち帰るぞ」
路地裏近くを歩いていた彼は、突如何者かに薬を打たれ気絶させられた。
その後気絶した者の仲間と思われる者達が現れ、彼をどこかへと連れ去っていった。
「ここ、は……」
次に彼が目覚めた時、視界には白だらけ。どうやらそういう部屋のようだ。
「ふ、服が……!」
そんな部屋に彼は全裸で横たわっていた。
何が何だかと困惑していたその時、部屋の扉が開き、そこから数人の白衣を着た者達が入ってきた。
「実験番号0番、来い」
一人の男が彼をそう呼ぶ。それと同時に数人の者達が彼を強制的に立たせ、歩かせる。
「え、ちょッ……ここはどこだよ、お前らはなんなんだ!」
突然の出来事に困惑し、自分をどこかへ連れて行こうとする彼らに抵抗しながら彼はそう声を上げる。
「いいから来い」
「ちょっと、やめろって!」
白衣を着た者達は聞く耳を持たず、彼をどこかへ連れて行く。抵抗は無駄のようだ。
「問題なく動けます、検査はいかがしますか?」
「動けるならば必要ない」
「おい、これはなんだ!」
彼はまるで手術でもするのかという台に拘束されていた。周りには何やら不穏な機械も沢山ある。
白衣を着た謎の人物たちはよくわからない話をしているだけで、彼の言葉に耳を貸さない。
「実験の計画は再確認したな」
「はい、懸念点であった痛みに関しても、理論上では問題がないことも確実です」
「実験? 痛み……?」
白衣の者達から聞こえてきた、『実験』、『痛み』という言葉に彼は反応する。
その言葉から、何か恐ろしいことが自分の身に起こるのかもしれないと思い、彼は恐怖で身を竦ませた。
「さて、口枷を付けろ。絶叫なんて聞きたくないからな」
「だ、だから……ん――んん!」
何も分からないまま彼は意思疎通の武器を封じられた。
ここで彼は、これが人体実験的なものだと悟った。
「まず、身体を強化する改造から行う。始めるぞ」
一人の白衣の男がそう言うと、彼らは動き出し、更に拘束されている彼の周りにあった機械も稼働を始めた。
機械のアームには注射器や電極など様々。それらが彼に向かって行き。
「う゛、う゛うううぅぅぅッ――!」
彼はその後、痛みに呻き声を上げることとなった。




