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27コマ目 指数関数

黒い本と上位存在さんが確信しているのは、大剣が弱体化してしまったということ。

岩などと混ぜられたとしたら弱体化は必須である。

実際、本当に混ぜられたものがただの岩であれば、多少特別でもただ特別なだけでそうなったのだろう。が、


「ん?増えた?」


不思議な現象が起きた。

伊奈野の目の前で、その短剣が増えたのだ。


『む?分裂か?……いやしかし、全く感じる力は変化しておらん。もしかすると、その短剣には増殖の効果がついておるのか!?』


2つに増えた短剣。

今ここに、絶対的とまでは言えないものの確実に邪神に特効を持つ勝手に増える武器が誕生した。


そこまではよかった。

大剣が無駄に消費されてしまったわけではなくなり、同程度といえるかどうかはわからないものの邪神に対して有効な手段であり続けてくれたのだから。


だが、残念ながらこれはいいことだけでは終わる話ではなかった。

伊奈野はすぐに気が付いたのだが、これはいわゆる、


「バイ〇インってこと?」


青いロボットが少年を助ける某有名作品に出てくるシークレットアイテム(ただ英語にしただけで雰囲気がかなり変わる)の1つ。

某作品ではお菓子が同じ現象を引き起こしていたのだが、


「これ、増えたものがさらに自分のコピーを作ったりとかしだしたらとんでもないことになりませんか?」


『む?数が増えることは邪神対策としては悪いことはないと思うが……いや、確かにまずいかもしれんのじゃ』


伊奈野の発言を聞いた直後には危険性に思い至らなったが、上位存在さんも少し考えてみて気づいたらしい。

1つが2つに。2つが4つに。4つが8つに、そんな指数関数的な増加の仕方をすれば、10回目の増殖の時には1024個などというとんでもない数になってしまう、とてもではないがそこまでの数を使うことはないだろう。


と、伊奈野は使いきれずに短剣があふれかえることを危惧していたのだが、


『逆にその増殖をうまく使えば……いや、さすがに無理か?』


「何か使い道がありそうですか?」


『いや、使い道というほどではないんじゃがな…………邪神の内部でこれを増殖させていくのはどうかと思ったのじゃ。体内で増えれば、内側から破れるじゃろ?』


「なるほど。思いつくことがかなり邪悪ですね。絵面がひどいことになりそうです」


思いついたことを口にするにしては少し時間がかかった気がする気もするが、それはそれとして上位存在さんの案は悪いものではないように思えた。

伊奈野も特に邪神に対して何かしようという気はないのだが、短剣を渡して作戦を伝える程度ならばやってもいい。


等と考えている間に、


「あっ、いつの間にかかなり増えてますね。今は32個、といったところでしょうか?」


『随分と数えるのが早いな。そなたは数える能力が高いんじゃな』


「いえ、指数関数的な増加だと考えて計算しただけですよ。ちゃんと数えたわけではないです」


伊奈野の予想では32個ある、

16以上はぱっと見でありそうだが64はなさそうだったためその数字を口にした。

伊奈野の説明に上位存在さんは納得しつつも不備があってはいけないと一応数を確認して、


『ん?24じゃな。おぬしの言う計算と合わんのじゃが』


「24?そんなはずは……いや、確かに24ですね。あっ、今増えて32になりました」


不思議な数になっていた。

2をかけ続ける増え方であれば、すべての短剣が自分のコピーを作るという増え方であればこのようなことにはならない。

ということは、この短剣の増え方はそういうものではないということになり、


「ん?黒い本?」


首をかしげていたところで伊奈野のもとに黒い本がやってきた。

そのままページを開かせて伊奈野は書かれている内容を読まされることになり、


「あぁ~。なるほど。ある程度増えるとそれ以上は増えないことになってたんだ。増えられるものには制限があるってことね」


指数関数的な増え方ではどうしても増えすぎて負荷が大きくなりすぎる。だからこそなのかは分からないが、対策として最初のほうに増えた短剣などしか増殖はできなくなっているようだった。

つまり、ある程度増殖した後に生まれた短剣からは増殖が起こらなくなっているというわけである。


『ふむ。さすがに対策は取られておったか』


「そうみたいですね。体内で溢れ返させるというのは無理かもしれないです」


『……そうじゃな』


少し間をおいてからの返答。

それを、何かできないか考えているのだろうか程度に考えつつ伊奈野はいい加減勉強へと移行し始める。

元邪神の拠点へと移動していく伊奈野や黒い本には、


『これを増殖させ続ければここの封印も耐えきれるかと思ったんじゃがな。そううまくはいかぬか』


上位存在さんのつぶやきなど聞こえようもなかった。


なお、勉強を続けて数時間後。

休憩に入った伊奈野がいったん戻ってくるとそこには、


「8個ずつしか増えないとはいえ、さすがに量が多いですね。さらにこれをたまに吸収させたりとかしないと邪魔になりそう」


増殖のペースがそれなりに早いため、すでに山のようになっている短剣を見上げることになるのであった。


《称号『邪神特攻大量保持者』を獲得しました》

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― 新着の感想 ―
最後 増え続けるどら焼きロケットでとばしたなぁ その先でのことを考えずに ド○えもんてヤバイ回 結構あったな・・ 
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