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勝利と共に宣言 暗殺者さんは平穏を手に入れたい!

「では始めます!薬師丸大毅対四鬼詩音ー試合開始!」



始まりの合図をアオイが言うと薬師丸は私が丸腰状態だと理解しているので構えもせずに立っている。

私はアオイに言う。



「アオイ、思いっきりジャンプして」



アオイは不思議そうにしたがジャンプをする。アオイも超越者なのでジャンプ力は凄い。



「……一発で沈まないでね」



私は20メートル位離れていた薬師丸の場に現れる。

遠目にいた私が急に目の前に現れたのだから薬師丸は目を丸めた。しかし、その丸める姿もスローモーションの中だ。

戦いの場で気持ちが高揚している私には全てが遅く感じる。

刹那に脚を上げただ振り落とすだけ。所謂かかと落としだ。

ただのかかと落としだが薬師丸を中心に衝撃が走り地面がめり込む。そして、周りの地面が陥没し、岩が衝撃で空へ飛ぶ。

その一瞬にも満たない時間でフィールドは見渡せる地面が全壊してしまった。

私は地面に腕を突き刺し埋もれた薬師丸を引きずり出し持ち上げ聞く。



「降参する?」



さすが超越者だ。全身ボロボロで身体の至る骨が曲がってはいけない方へ向いているがちゃんと身体が繋がっている。このフィールドのおかげかもしれないけどまだ力を出しても平気そうだ。

ヒューヒュー言っている薬師丸はまだ戦意喪失しているか分からないし言葉を言えない。よって私は口に出す。



「まだ降参する気が無いとはさすが超越者ランキング1位だ。私も3割の力での蹴りで仕留められず半殺しで申し訳ない。そう思ったから半分の力で次は仕留めてあげるから感謝してね?」



息をのむのが分かった。目から涙が溢れ出てくる。余程怖いのだろう。ズボンが濡れている。何か伝えようとしているが口は使えない様だ。震えだけが伝わる。



「戦闘不能や戦意喪失のコールも無いし、君が気絶するまでが決闘みたいだね。なら私は優しいから次で終わらせてあげる。守られた戦いの場で守られたまま迫る恐怖を味わうとイイよ。次は5割だよ。死ぬ事はないらしいからね」



私は地面に薬師丸を軽く放り投げ、薬師丸から叫び声が聞こえたがそのまま右手を振り上げただ下に向けて殴りつけるだけ。

薬師丸が地面にまためり込むと地面が衝撃で揺れ更に陥没すると世界にノイズが現れる。次の瞬間、戦う前の闘技場へ戻されていた。

私の目の前には惚けたアオイと全身痩身の薬師丸が横たわっていた。

周りを見渡すと沢山の人も周りも惚けていた。静寂の中私は口にする。



「アオイ、この戦いはどうする?まだやらなきゃいけない?」



私の声にアオイはハッとして動く。



「しょ、勝者四鬼詩音だぁー!魔法や血族の力の関与もない!正真正銘の己の力のみで勝利だ」



アオイの雄叫びに近い勝利宣言で周りの観客も叫ぶ。

コレで朱莉の件は片付いたね。

私はテクテクとアオイに近づきマイクを奪う。



「アオイ、これって全国中継されているんだっけ?」



そう聞くとアオイはコクコクと頷く。

確認した私はマントを取り髪留めも取り、初めて私の見た目を晒す。

アオイは更に驚愕していた。周りも息をのんだのが分かる。

すらっと出る所は出て、マダラな銀と紫の髪の絶世の美少女が現れたのだから当然の反応だろう。私ならそう反応するし。



「あー、あー、初めまして。四鬼詩音だ。全国中継らしいので少々伝えたい事がある。私は四鬼一族から追放された身だ。だから今後は平穏に過ごしたい。私に関わらなければ彼の様に痛いめに合う事もないだろう。しかし、私や私の周りに被害を与えるつもりなら四鬼の名にかけて誰だろうと容赦しない。例え、世界が崩壊しようとも世界征服をしようとも私と私の周りに何もしなければ学校が壊れて無くなっても私は傍観者でいる。この言葉は誰に向けてかは分かる者は分かるだろう。互いに平穏に暮らしたいのなら私にちょっかいかけない事だ。これは警告だ」



言いたい事を言うとアオイにマイクを渡し帰ろうとすると観客席から誰かが降りてきた。



「詩音!あ、あれ程心配させないでって言ったのに何しているの⁉︎しかも、マントまで取って」



灯華さんだった。凄い怒っている。アオイは灯華さん見て誰?と浮かべていた。



「三条灯華、私のお母さん。大切な人」



アオイは私の言葉に更にびっくりしていた。今日は沢山びっくりさせてるな。



「ここでちゃんと言いたい事を言わないと私巻き込まれるかもしれないから釘を刺した」



とりあえず、私は観客席にいるとある人物達に殺気をのせた視線を向ける。これで理解してくれるだろう。



「それにしても無茶をして!私が決闘内容を見てどれだけ心配したと思っているの⁉︎」



私は怒り続ける灯華に謝る。

もうと頬を膨らませ言っていたが謝ったらチョロい灯華は許してくた。



「詩音さん!つ、強すぎます!歌が綺麗だけでなく見た目も綺麗でカッコよくて強くて!それに私の為に戦ってくれてありがとうございます!」



顔を真っ赤にした朱莉もいつの間にか闘技場のフィールドに入っていたようだ。



「友を守るのは当然。これからも宜しくね?」



「はい!末長く宜しくお願いします!」



朱莉に元気が戻って良かった。

薬師丸は既に救護班に連れて行かれた様だ。あれだけコテンパンにしたのだから彼は私を見ると怯えてもう近寄ってこないだろう。それに五條家当主の約束までしているのだから大丈夫だろう。

これで少しは平穏に近づいたかな?




灯華や朱莉にサクラにアオイ、そして、部長と少しの間で知り合いが増えた。

私はこれからもこの世界で四鬼詩音として生きていく。

あと1年後には世界が崩壊する。この崩壊は必ず起こる。私が回避させても未来に先延ばしにしかならない。本当の問題解決じゃない。この世界であの物語に私の居場所はない。崩壊する中でこの世界を救うのは私ではないちゃんと救う主人公がいる。だから私は物語を邪魔せず傍観者になる。

だけど私は私の手が届く範囲で物語に出てこなかった私の知り合い達を守りこれからも平穏に過ごしていきたい。

だから、私はここにいる大切な人達に伝えたい。



「灯華、朱莉に会えて良かった。この世界に生まれて良かった。これからも私は皆と平穏に過ごしたい!」



表情は変わらなくても今の私は前の世界の時の様に心で笑っている。








終わり。

お読み頂きありがとうございました!

まだまだ彼女の物語は続きますがひとまず終わりです。


色々と設定を考えると沢山話しが浮かんできますので続きはありますが今回はここまでです。


また縁が合いましたらよろしくお願いします!


評価、ブックマークありがとうございます!

書く気力の励みになります!感謝です!

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