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清川家の日常  作者: planet
14/21

ラブレターの悲劇…… by智花


そういや気付いたんですよ


人気のある携帯小説は


1、なんか理不尽な程、ハーレム


2、なんか主人公TUEEEE!!


3、なんからぶえっち




…………。



日常にそんなの求めないで!!



「大変なんだ!!」


「美代ねぇ……。いったいどうしたんだよ」


そんな肩を掴んで振り回さないで……。

……うぇっぷ。

吐きそうだ……。


「智花ちゃんが……。智花ちゃんが……」


今にも崩れ落ちそうな美代ねぇ。


「おい、智花がどうしたんだよ!!」


まさか、事件に巻き込まれたとか……!!


「ラブレターもらって来ちゃったって!!」


「なんだよわりとどうでもい……よくない!!」


そりゃあ、大事件だろ!!


「というわけで、家族会議を開きます」


「どーゆーわけで!?」


さっそく突っ込む智花。

机を囲んでいる俺たち三人。

いつの間にやらセッティングされていた。


「さて、今回の会議を開いた理由は言わずとも分かるだろう」


重々しい口調の美代ねぇ。

なんか空気がヘビーです。


「清川家の次女、我らが智花がラブレター、いや、love letterを貰ってきたのだ!!」


「恥ずかしいから大きい声出さないで!!」


顔を真っ赤にしている智花。

なんか鮮血の赤って言っても遜色ないくらい赤いです。


「ところで、そのラブレター……、いやlove letterは?」


「お兄ちゃんまで!! っていうか、二人とも地味に発音うまいし!!」


じたばたと落ち着かない我が妹。ああ、愛は人を狂わせるんだな……。


「……これ?」


美代ねぇはそのlove letterをつまみ上げる。

手紙は意外とお洒落な感じだった。


「開けてみるか……」


俺はそのlove letterを開こうと……。


「待って!!」


智花が俺たちの間に割り込んできた。

そして、うっかり手放してしまったlove letterは今、智花の手中にある。


「まだ私が読んでない!!」


「まあまあ、一緒にお姉ちゃんと読もうよ」


「俺も気になる」


「…………うぅ」


観念したのか、美代ねぇに例のlove letterを渡した。

そろそろ、love letter言うのがめんどくさくなった。


「えー、では。秀明くん、読み上げたまえ」


「御意のままに」


「何でそうなってるの!?」


智花の突っ込みを軽くスルーし、俺はラブレターの内容を読み上げる。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



清川智花へ


いつも目立ってるお前が凄く気になっている。


明日の放課後、お前の教室で待っている。


ゆっくり語り合おう。


……逃げんじゃねーぞ。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「果たし状じゃん!!」


読んでた俺はたまらず突っ込んだ!!

love letterじゃないじゃん!!

誰からの手紙かわかんないし!!


「それにしても智花ちゃん……。果たし状を貰っちゃう年頃になっちゃって……!!」


美代ねぇが涙ぐんでいる。


「いや、年頃関係ないから!!」


智花、俺もそう思うぞ。

とりあえず、智花をいじることにする。


「智花、お前やばいぞ。ヤキいれられるぞ……」


「ひっ」


ビクッと震える妹。

もうちょっとからかってやる。


「スケ番に根性焼きされるぞ」


「うぅ……」


「もしかしたら他校の番長たちがお前を……ああ恐ろしい」


「いったい、何をされるの!?」


「…………死ぬなよ?」


「命に関わるの!?」


「もしかしたら……。湾に沈められるかもよ?」


「なんで!?」


「……悟ってください」


「そんなにヤバいの!?」


「………………グッバイ、智花」


「……も、もう止めてぇ!!」


手紙を鷲掴みした智花は、部屋に逃げ込んでしまった。

あーあ……。


「残念そーな顔をしない」


美代ねぇに頭を叩かれた。

ゴリッとイヤな音がする。


「……俺なんかラブレター貰ったことないな」


果たし状ならあるが。

……主に恋から。

あれはもうラブレターではない。あれは愛ではない。

恐怖だ。



「あたしもないな……」


「そりゃ、見た目が良くても中身が終わっ」


その時、俺はどうなってしまったのか?

そんなの知らない。

美代ねぇの竜巻旋風脚により意識が魂とともに召されたからである。

グッバイ、現世。

コンニチハ、天国。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



晩御飯の時間にて


「で、どうする? 智花ちゃん」


美代は肉じゃがを頬張りながら言った。

……お行儀がちょいとばかし悪いです、お姉様。


「どうするって言われても……」


まあ、困惑するだろうな。

初めてのラブレ……いや果たし状だからな。

そしてさっきから智花は俺の方をチラチラと見ている。


「とりあえず、なんかあったら俺が助けるから。放課後、急いで向かうからさ」


誰だか分からない奴が、襲う可能性があるからな。


「うん、お願い」


「……でもさ。これがもしラブレターだったらどうすんの? 秀明くんは」


「そりゃ……」


…………。

……。

………………………。


「その男をぶっ殺す」


「ダメ!!」


我が妹に止められた。


「え、ダメなの?」


「当たり前だよ!!」


「じゃあ……。半殺しで」


「ダメ!!」


これでも駄目か……!!


「じゃあ……、四分の一殺し」


「ダメ!!」


「えー……」


じゃあどう殺せばいいんだよ……?


「ならば……。二分の四殺し!!」


「二回死ねと!?」


まあ、そういうことになります。


「……とにかく!!」


智花は机をバンと叩いた。

智花さん、行儀がちょいとばかし悪いです。



「明日……、お願いね。お兄ちゃん」


「……分かった」


ま、結果は明日、分かるだろう。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



こっそり智花の学校に忍び込んだ俺。

智花は昇降口のところで、待っていた。


「お兄ちゃん、お願いね」


「ああ」


……それにしても、なぁ。

智花にも恋人ができるのか……。なんか、嬉しいような、悲しいような。

……しっかし、いったいどんな男なんだろうな。

……チャラ男だったら絶対ぬっ殺す。

ぶっ殺すのさらに上の、『ぬっ殺す』。

……意味は聞かないで欲しい。

だって、心臓に悪いし。


「ここにいて」


「ああ」


教室の前についた。

どうやら、教室にいた誰かが智花に気づいたようだ。


「……東海林(しょうじ)くん?」


智花はそう呼んだ。

誰かは知らんがやっぱり、男。

おい、東海林。

妹に手を出したらぬっ殺すからな……。


「よかった……。来てくれたんだ」


あれ、なんか番長みたいなのを予想してたんだけどな……。

いかにも草食系な……。


「あの手紙って……、東海林くんがくれたの?」


「……うん。驚いた?」


「ま、まあ……」


果たし状だったもんな……。


「えーと、さ」


うつむき気味に話す東海林。

本当に番長かよ……。


「ぼ、僕とつきあってください!!」


「ラブレターかよ!!」


「ラブレターだったの!?」


同時に突っ込んでしまった俺たち兄妹。


「……え、なんか変なところでもあった?」


「いや、これどうみても果たし状だし!!」


「え……、これが正しいラブレターの書き方って教わったのに……」


激しく間違ってるし!!

てか、東海林お前も気付け!!

どー考えでもおかしいじゃん!!

てか手紙だと態度悪っ!!


「……話を戻そうか」


「う、うん」


再度、緊迫した空気が流れる。

……なんか、いちゃマズいよね。ちょっと離れた所にいようっと。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「……どうだった?」


「……断ってきちゃった」


「どうして?」


「他に、好きな人がいるから」


「それは……誰?」


「……教えない」


「教えろよ」


「…………乙女の秘密ということで」


「はいはい分かったよ」


誰だかは知らないけれど、そいつはきっと幸せ者だな。

何だか、そいつが羨ましいな。



東海林くんについて……。


……え、と。



特にないで(ry

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