守りたい…… by秀明
ぐああっ!!
復活してみたよ〜
〜秀明視点〜
「俺は決めた。家族を守れるような人間になる」
なんか、今の俺、かっこよくね?
「童貞も守れないような人間がそんなことを言うなんて……、先輩おこがましいですよ」
ズバッと恋に返された。
見事なツバメ返し、ありがとうございます。
「いやいや、俺はまだ純粋な童貞だから!!」
「…………ププッ」
「笑うなよ!!」
女の後輩に笑われた……。
なんかショック!!
「え〜、マジぃ!? 童貞!? キモ〜イ」
元ネタは分かってる。
しかも、淫乱魔女、恋が言ってるんだ。
でも、なんかやっぱりショック…。
「童貞が許されるのは、小学せ」
「ストォォォォップ!!」
やっぱりこの後輩ヤダ!!
「何ですか、先輩?」
「……もういい、なにも言うまい」
何でこうなったんだっけか?
ああ、もう訳わかんねぇ……!!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(今から1時間前)
「もしもし?」
「あ、先輩ですか? わたしです」
ガチャン!!
俺は即座に電話を切った。
電話番号教えてないのに、何で知ってんだよ……アイツ。
やっぱり、ストーカーなのか!?
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「ああ、智花か……。恋がさ……」
「恋さんかどうかしたんですか?」
「電話番号教えてないのに電話かけてきた……」
「そ、それはまた……」
俺は大きくため息をついた。
「ちょっと、俺隠れる。アイツが来たら俺のこと出かけてるって言っといて」
「う、うん。分かった」
とりあえず、クローゼットの中に隠れた。
ピンポーン。
やはり、来たか……。
「あれ、先輩は?」
恋の声だ。
「今、お兄ちゃんはコンビニに……」
ナイス!!
我が妹よ!!
「そんなことよりわたしといいことしない?」
妖艶な声をし、なんかヤバそうな恋……。
「え……、たっ、助けて!!」
悲痛な智花の声……。
「なぁにしとるんじゃあああ!!」
耐えきれない!!
妹が後輩に犯されるなんて!!
「あ、先輩」
「……あ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
と、言うわけで今に至る。
「って言うか、なんでお前が……」
「デートしたかったんですよ、先輩と」
「……ったく」
恋は凄い勢いでパフェを食している。
バキューム・恋と名付けよう。
「お前、これで八杯目だぞ……。お金大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫ですよ。だって先輩の奢りですから」
「おい、待てぃ!!」
やっぱり、そういうことなのか……!!
ああ、貴重な小遣いが……!!
うなだれていると、恋が。
チュッ。
俺の頬にキスしてきた。
ちなみに、恋は性格こそアレな感じだが、見た目は美少女だ。
周りから見るとバカップルにしか思われない。
でも、そんなに良いもんじゃないですよ、皆さん……。
非リア充の方々、そんな目で見ないで……。
「えへへ」
いたずらっぽく笑う恋。
そんな恋に、俺は一言。
「俺がパフェ奢って、お前が俺にキスして、まるで援交だな……」
「あはは。確かにそうですね」
そんなにおかしいですか、恋さん。
俺がムスッとしてると。
「もしかして、ほっぺたじゃ飽き足りませんか? 先輩」
「……んなこと……ない」
すんません、ちょっとだけ期待していた自分がいました。
ああ、死にたい。
「じゃあ……、今度は膝裏にします」
「待てぃ!! 何かアブノーマルだ!!却下!!」
「じゃあ、おへそ……」
「お前はそのまま勢いで下の方にまでキスしそうだ!! 却下!!」
「それだったら、水着の早着替えなんていかがですか?」
「キスですら無くなった!! てか誰得!! 却下!! ってか、何だよ!! この流れ!!」
「だって先輩。膝裏、おへそときたら水着早着替が定石じゃないですか!!」
「そうか。じゃあ、そのお前のふざけた幻想をブチ殺す」
「や、優しくしてくださいね……」
「安心しろ。カミクダイテてやる」
「そこはアマガミでしょう!! 先輩!!」
皆さん、お分かりでしょう?
こんな美少女、付き合いきれますか?
察したのか、周囲の攻撃的な視線が同情的な視線に変化した。
てか、同情するなら金をくれ。
こんなの、奢れるわけがない。
「……はぁ」
「ため息すると、幸せが逃げますよ?」
「るせー、お前のせいだよ」
午後三時のファミレス。
流れてくるのはオーケストラの曲。
なんか恋の相手をしてると無駄に疲れるな……。
眠たくなってきた。
「なあ、恋」
あー、眠い。
変なこと言いそうなくらい、眠いぞ……。
「俺は家族を守れるかな?」
「……先輩ならできますよ」
頭に何かが当たった。
多分、撫でられてる。
「頑張って、先輩」
「……ありがとう」
優しい言葉をかけてくれた人よ、ありがとう。
恋とは大違いだな……。
今度はなんか股間の辺りが……。
「恋!?」
「チッ、起きたか……」
「またお前は!!」
「まあ、よいではないか。よいではないか」
「あ〜れ〜」
とことん、色々吸われました。
サヨナラ、現世。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ただいま〜……」
「おかえり、秀明くん……って」
出迎えてくれたのは、美代ねぇだった。
「ん、どうした……?」
「なんか、……精力が無いね」
「ああ、恋に色々吸われた……」
「そ、そう……。すっかり紳士モードだね……」
「ははは……、ちょっと休む」
俺は体を無理やり動かし、部屋に入り、ベッドに倒れるように飛び込んだ。
本当に家族を守れるだろうか?
両親と交わした約束を、守れるだろうか?
父、茂樹の言葉と、母、優花の言葉がずしりとのしかかる。
今、二人は仕事の関係で出張中。しばらくは、俺が面倒を見ないといけない。
「がんばらないと、な」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「お兄ちゃん、起きてよ。お兄ちゃん」
「ん……、智花?」
どうやら、眠っていたようだな。
「もう七時だよ……、お腹空いたよ……」
「マジ……。ごめん、今作るよ」
俺は急いでキッチンに向かった。すると、そこには美代ねぇがいた。
「あたしも手伝うよ」
「……ありがと、美代ねぇ」
「……なんか、元気ないなぁ。どうかした?」
「ううん、なんでもない」
……父さん、母さん。
俺、頑張るよ。
家族を守れるように。
……しかし、だ。
なんか、焦げ臭い。
すぐ隣から、凄い臭いがする。
まさか、ね。
「やっちゃった」
テヘッ、と言わんばかりの美代ねぇ。
「『やっちゃった』じゃねぇよ!!」
台所クライシス、再来。
もう止めて!!
台所のライフはとっくにゼロよ!!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
……最終的には、近くのコンビニ弁当に、昨日作ったサラダが、夕食になった。
南無、台所。
これで、五十六代目だね……。
そんな遠い目をしていると。
「本当に大丈夫? 秀明くん」
美代ねぇが覗きこんできた。
「……ん、大丈夫だよ」
「嘘。お姉ちゃんに嘘をつくなんて悪い子だね」
「うう……、ごめん」
やっぱり、かなわないな。
美代ねぇには。
「俺、みんなを守っていけるかな?」
うつむく俺。
「大丈夫だよ。君ならできる」
「美代ねぇ……」
「もし、ダメだったとしても、あたしが……、ううん、あたしたちが助けてあげるから。ね?」
「美代ねぇ……」
「一人じゃ、出来ないかもしれないけど、三人でやればいいじゃん。あたしと秀明くんと智花ちゃんで」
「そう……だな」
家族は、支え合うもんだからな。
「ありがと、美代ねぇ」
「どういたしまして」
さて、と。
「まずは、キッチンの後片付けでもするか!!」
「「はーい!!」」
頑張ろう。
俺たち三人で。
支え合うんだ。
みんなで家族を守り合うんだ。
だから、……みんな、これからもよろしくな。




