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清川家の日常  作者: planet
13/21

守りたい…… by秀明


ぐああっ!!


復活してみたよ〜


〜秀明視点〜


「俺は決めた。家族を守れるような人間になる」


なんか、今の俺、かっこよくね?


「童貞も守れないような人間がそんなことを言うなんて……、先輩おこがましいですよ」


ズバッと恋に返された。

見事なツバメ返し、ありがとうございます。


「いやいや、俺はまだ純粋な童貞だから!!」


「…………ププッ」


「笑うなよ!!」


女の後輩に笑われた……。

なんかショック!!


「え〜、マジぃ!? 童貞!? キモ〜イ」


元ネタは分かってる。

しかも、淫乱魔女、恋が言ってるんだ。

でも、なんかやっぱりショック…。


「童貞が許されるのは、小学せ」


「ストォォォォップ!!」


やっぱりこの後輩ヤダ!!


「何ですか、先輩?」


「……もういい、なにも言うまい」


何でこうなったんだっけか?

ああ、もう訳わかんねぇ……!!




☆ ☆ ☆ ☆ ☆

(今から1時間前)



「もしもし?」


「あ、先輩ですか? わたしです」


ガチャン!!

俺は即座に電話を切った。

電話番号教えてないのに、何で知ってんだよ……アイツ。

やっぱり、ストーカーなのか!?


「どうしたの、お兄ちゃん?」


「ああ、智花か……。恋がさ……」


「恋さんかどうかしたんですか?」


「電話番号教えてないのに電話かけてきた……」


「そ、それはまた……」


俺は大きくため息をついた。


「ちょっと、俺隠れる。アイツが来たら俺のこと出かけてるって言っといて」


「う、うん。分かった」


とりあえず、クローゼットの中に隠れた。


ピンポーン。


やはり、来たか……。


「あれ、先輩は?」


恋の声だ。


「今、お兄ちゃんはコンビニに……」


ナイス!!

我が妹よ!!


「そんなことよりわたしといいことしない?」


妖艶な声をし、なんかヤバそうな恋……。


「え……、たっ、助けて!!」


悲痛な智花の声……。


「なぁにしとるんじゃあああ!!」


耐えきれない!!

妹が後輩に犯されるなんて!!


「あ、先輩」


「……あ」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



と、言うわけで今に至る。


「って言うか、なんでお前が……」


「デートしたかったんですよ、先輩と」


「……ったく」


恋は凄い勢いでパフェを食している。

バキューム・恋と名付けよう。


「お前、これで八杯目だぞ……。お金大丈夫か?」


「えぇ、大丈夫ですよ。だって先輩の奢りですから」


「おい、待てぃ!!」


やっぱり、そういうことなのか……!!

ああ、貴重な小遣いが……!!

うなだれていると、恋が。


チュッ。


俺の頬にキスしてきた。

ちなみに、恋は性格こそアレな感じだが、見た目は美少女だ。

周りから見るとバカップルにしか思われない。

でも、そんなに良いもんじゃないですよ、皆さん……。

非リア充の方々、そんな目で見ないで……。


「えへへ」


いたずらっぽく笑う恋。

そんな恋に、俺は一言。


「俺がパフェ奢って、お前が俺にキスして、まるで援交だな……」


「あはは。確かにそうですね」


そんなにおかしいですか、恋さん。

俺がムスッとしてると。


「もしかして、ほっぺたじゃ飽き足りませんか? 先輩」


「……んなこと……ない」


すんません、ちょっとだけ期待していた自分がいました。

ああ、死にたい。


「じゃあ……、今度は膝裏にします」


「待てぃ!! 何かアブノーマルだ!!却下!!」


「じゃあ、おへそ……」


「お前はそのまま勢いで下の方にまでキスしそうだ!! 却下!!」


「それだったら、水着の早着替えなんていかがですか?」


「キスですら無くなった!! てか誰得!! 却下!! ってか、何だよ!! この流れ!!」


「だって先輩。膝裏、おへそときたら水着早着替が定石じゃないですか!!」


「そうか。じゃあ、そのお前のふざけた幻想をブチ殺す」


「や、優しくしてくださいね……」


「安心しろ。カミクダイテてやる」


「そこはアマガミでしょう!! 先輩!!」


皆さん、お分かりでしょう?

こんな美少女、付き合いきれますか?

察したのか、周囲の攻撃的な視線が同情的な視線に変化した。

てか、同情するなら金をくれ。

こんなの、奢れるわけがない。


「……はぁ」


「ため息すると、幸せが逃げますよ?」


「るせー、お前のせいだよ」


午後三時のファミレス。

流れてくるのはオーケストラの曲。

なんか恋の相手をしてると無駄に疲れるな……。

眠たくなってきた。


「なあ、恋」


あー、眠い。

変なこと言いそうなくらい、眠いぞ……。


「俺は家族を守れるかな?」


「……先輩ならできますよ」


頭に何かが当たった。

多分、撫でられてる。


「頑張って、先輩」


「……ありがとう」


優しい言葉をかけてくれた人よ、ありがとう。

恋とは大違いだな……。

今度はなんか股間の辺りが……。


「恋!?」


「チッ、起きたか……」


「またお前は!!」


「まあ、よいではないか。よいではないか」


「あ〜れ〜」


とことん、色々吸われました。

サヨナラ、現世。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「ただいま〜……」


「おかえり、秀明くん……って」


出迎えてくれたのは、美代ねぇだった。


「ん、どうした……?」


「なんか、……精力が無いね」


「ああ、恋に色々吸われた……」


「そ、そう……。すっかり紳士モードだね……」


「ははは……、ちょっと休む」


俺は体を無理やり動かし、部屋に入り、ベッドに倒れるように飛び込んだ。

本当に家族を守れるだろうか?

両親と交わした約束を、守れるだろうか?

父、茂樹の言葉と、母、優花の言葉がずしりとのしかかる。

今、二人は仕事の関係で出張中。しばらくは、俺が面倒を見ないといけない。


「がんばらないと、な」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「お兄ちゃん、起きてよ。お兄ちゃん」


「ん……、智花?」


どうやら、眠っていたようだな。


「もう七時だよ……、お腹空いたよ……」


「マジ……。ごめん、今作るよ」


俺は急いでキッチンに向かった。すると、そこには美代ねぇがいた。


「あたしも手伝うよ」


「……ありがと、美代ねぇ」


「……なんか、元気ないなぁ。どうかした?」


「ううん、なんでもない」


……父さん、母さん。

俺、頑張るよ。

家族を守れるように。

……しかし、だ。

なんか、焦げ臭い。

すぐ隣から、凄い臭いがする。

まさか、ね。


「やっちゃった」


テヘッ、と言わんばかりの美代ねぇ。


「『やっちゃった』じゃねぇよ!!」


台所クライシス、再来。

もう止めて!!

台所のライフはとっくにゼロよ!!


☆ ☆ ☆ ☆ ☆



……最終的には、近くのコンビニ弁当に、昨日作ったサラダが、夕食になった。

南無、台所。

これで、五十六代目だね……。

そんな遠い目をしていると。


「本当に大丈夫? 秀明くん」


美代ねぇが覗きこんできた。


「……ん、大丈夫だよ」


「嘘。お姉ちゃんに嘘をつくなんて悪い子だね」


「うう……、ごめん」


やっぱり、かなわないな。

美代ねぇには。


「俺、みんなを守っていけるかな?」


うつむく俺。


「大丈夫だよ。君ならできる」


「美代ねぇ……」


「もし、ダメだったとしても、あたしが……、ううん、あたしたちが助けてあげるから。ね?」


「美代ねぇ……」


「一人じゃ、出来ないかもしれないけど、三人でやればいいじゃん。あたしと秀明くんと智花ちゃんで」


「そう……だな」


家族は、支え合うもんだからな。


「ありがと、美代ねぇ」


「どういたしまして」


さて、と。


「まずは、キッチンの後片付けでもするか!!」


「「はーい!!」」


頑張ろう。

俺たち三人で。

支え合うんだ。

みんなで家族を守り合うんだ。

だから、……みんな、これからもよろしくな。

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