61 私できません。
片付けが終わったら、全員で1階大部屋に降りてもらう。
「写真撮るよ。」
「写真とはなんですか。」
「魔道具で書く絵のことだよ。」
「そんなものがあるのですか。」
「あるよ、他言無用。これは命令です。」
「はい。」と、気のない返事がしたが、奴隷でいる間は大丈夫だろう。
「じゃ、エディットから、此所に立って。はい、笑って(カシャ) いいよ、次ぎマルギット。」
全員の写真を撮り終わった後は、エイラさんに館内の案内と業務内容を説明してもらう。
その間に私室に戻り、ノートPCを取り出しカメラの写真を整理して、写真付き名簿を作成し印刷する。 プリンタはポチったよ。何枚か印刷して各夫人部屋と自分の部屋と廊下に貼っておく。後で、エイラさんにも渡しておこう。
名前と顔が一致しないときは、これが一番だよね。
配布が終わったら、一階に降りて、改めて甘太○焼き販売の設備を考える。
鉄板は6×10個を一枚にして、焼き上がりは前に置くと販売用のストックとなるような配置にする。左側にある○太郎焼きを前で箱にいれて、そのまま販売っていうのでどうかな。白あんや緑あん、ジャム太郎(紅茶入り生地にジャム)や抹茶太郎(抹茶入り生地)も作りたいから、左右で作る様にしたい、売り子は熱いかも。やってみて考えよう。
可愛い女の子が作っているのを可愛い女の子が売る。 売れる筈。
鉄板は精錬魔法で作り、チャッキリなどはポチっておく。ガスも電気も使えないので魔道具か火魔法でしか熱源確保できないから、元世界の鉄板はそのままじゃポチっても使えないんだよ。
薄力粉だけでもいいけど、やっぱりふんわりしたいな。最初はホットケーキミックスで試作してみるけど、徐々にドライイーストとかブドウ酵母とか考えよう。
彼女達が説明を受けている間に試作してみる。「あんこ」は今からじゃ間に合わないから出来合の「あんこ」でいいや。粒あん、こしあん、ずんだあん、紫いもあん、黒ごまあんもいいな。色々ポチる。
火魔法熱源のコンロに鉄板を乗せ十分暖め、油を塗りタネを入れてあんこを乗せる。
反対側にタネだけ入れて、あんこ付きを千枚通しで取り出し乗せ焼く。
一連の動作確認をして、不具合を確認して調整を繰り返す。 ま、大体いいかな。
ふと気づくと、甘太○焼き(を自称するもの:以後甘太郎。しょうが無いじゃん、厩橋名物のオリジナルには勝てないんだから)が大量に出来ていた。
「太郎様、何かとってもいい匂いがするのですが。」とエイラさんが顔をだす。
「食物屋の試作品を作ってみたところ。皆で試食したいのでお茶を淹れてくれるかな。あと包丁とまな板もお願い。」
「はい、分かりました。リビングですか?食堂ですか。?」
「リビングがいいよ。まったりしたいから。」
鉄板の火を止め、出来たて甘太郎を持って2階に上がる。ミミリィ達の分はアイテムボックスにしまったよ。試食は、4等分すれば、1人あたりで2~3個分で数種類試せるでしょ。
リビングを自称するコタツの間では、僕の性奴隷達がしゃべりまくるという感じではないが「自宅で寛いでいます。」という雰囲気を醸し出していた。
「娼館に売られない」と、いうことで少しは安心できたかな。
「エディットとマルギット。厨房に行ってエイラさんがお茶を用意しているから、手伝ってきて。」
「「はい」」
美人多数とコミュ障男1人でコタツに入っていても、会話が成立しない。この疎外感はなんとも言えない。慣れるしかないか。
「ご主人様、教えて頂きたいことがあるのですが。」
「なにかな? グンネル。」
「いま、エイラさんにお屋敷の中を回って仕事の内容を教えてもらったのですが、やってみないと分からないことが多そうです。明日から直ぐに始めるのですか。」
「そうだよ、メイド仕事は君たちの仕事だからね。明日から君たちがするんだよ、最初はエイラさんが監督して少しは教えながら手伝うかも知れないけど、基本は君達だけでしてもらうことになるよ。」
「私出来ません。」
「なにが?」
「掃除や洗濯なんてしたことないし、お菓子を作るのは好きなので作った事がありますが、それ以外は包丁も握ったのもほんのすこしです。」
「これから覚えればいいよ。」
「そんなのできません。」
「やるしか選択肢がないのだけれどな。じゃあ、何が出来るかな。」
「家事はなにも。でも、でも。」
「やろうとは思ってる?」
「やりたくないです。」
「じゃあ、如何したい。」
「家に、グランフェルトの家に帰りたいです。」
「そうだね、多分他の子もそう思っていると思う。君は今の自分の立場が分かっているかな。」
「ご主人様の性奴隷です。メイドの仕事もすることになってます。」
「分かって言っているね。了解。この家の仕事はしなくていいよ。その代わりこの家にいる必要はないから、明日転売するけど行き先の希望はあるかな。」
「え、転売は嫌です。此所にいたいです。」
「何も出来ない、やろうとも思わない奴隷を置いておく家はないと思うよ。そう思わないかな。」
「思います、でも、でも。」
「今君たちがここにいるのは、使用人を雇おうとしたら性奴隷を薦められただけで、君たちでなくてはいけないことはないんだよね。
だから性奴隷か否かは関係なく、ここで働いてくれる人だけが必要なんだよ。だから、グンネルが「できない、やる気もない」と思っているならここに置いておくことは出来ないよ。」
「でも、でも。」
「では、グンネル。君に何ができるかな。」
「なにも。でも夜の仕事だけなら。」
「さっき言ったみたいに、僕は性奴隷だけの人は要らないんだよ。一緒に働いて一緒に笑ってくれる使用人・仲間かな、が欲しいのであって、性欲を満たす目的だけの人は要らないの。」
「そんなの綺麗事です。ご主人様だって私の身体が目当てで買ったんでしょ!」
「そうだね、君たちはみんな若いし美人でスタイルもいいよね。だから下卑た下心が全くないというと嘘になる。それは認めるよ。
でも、僕には正夫人が3人もいるから女性の体に飢えているわけではないよ。
出来れば性奴隷なんてもの廃止してもらいたいのが本音だしね。
僕は君たちに普通に働いて欲しいだけなんだけどな。」
「私は家事が嫌いです。」
「そうだよね、だから家事をしなくていい処に転売してあげるって言ってるの。
分かるかな。混乱もあるだろうから、今日は部屋に戻ってお休み。」
「あ、はい。」 グンネルはリビングから出て行った。
うん、今の状況を消化するのは難しいよね、つい先日まで公爵令嬢だったのだもの。「家事は使用人の仕事で自分がするものではない。」っていう貴族からすれば当たり前のことだからその感覚から抜け出るのは難しいよね。
厩橋名物の甘太○焼きは、ジャムだったり、カスタードだったり、抹茶だったりはありません。
正統派の小豆アンと白あんの2種類のみですから、くれぐれもお間違えの無いよう。




