24 護衛の報酬
「美味しく頂きましたよ。あと2年すれば、息子の手料理が毎日食べられるのね。期待しているわ。」
後片付けはメイドさん達に頼んだ。
「で、何から話しましょうかしらね。太郎ちゃんには護衛の報酬と、娘を助けてもらった御礼をしなくてはいけないのよね。ミミリィとの契約は個人的なものだから、伯爵家として御礼をさせて頂くわ。 太郎ちゃんは店を始めるのよね。」
いつのまにか「貴方」が「太郎ちゃん」になっているぞ。何か怖い。
「はい、食物屋をやろうかと、空いた時間は冒険者をしたいなと考えています。」
「フェリシアが卒業するまでは自活してもらわないと困るわね。では、王都に伯爵家の別邸があるからそれを安価で譲るわ。そうね、御礼を引いて大金貨20枚でどうかしら。」
「別邸って、そんな高価なものを頂くのはちょっと。」
「なあに? フェリシアの命にその価値が無いとでも言うの?」
「いえ、はい。頂きます。 ちなみに、どのくらいの大きさなんですか。」
「大通りとは二つ通りが離れていけど、土地が70m四方位、4階建てで20室くらいが2棟かしらね。」
「それ、大きすぎませんか。」
「夫が伯爵家を叙爵する前の本宅だったから、ちょっと大きいかもね。手入れはして有るから、直ぐにでも大丈夫よ。一応、後で問題が起きないように不動産屋を仲介に入れて契約しましょうね。」
アンナリーナ様は、執事さんを呼び何やら指示をしている。
「使用人も必要よね。貴方には子飼いの家臣がいないから、手っ取り早いところだと奴隷で揃えるのがいいかもね。性奴隷でもいいわよ。」
「性奴隷ですか。」
「女性だと性奴隷の方が可愛い子がいるわよ。」
「はぁ、でも、大金が必要ですよね。」
「資金なら大丈夫、貸すわよ2年後払いで。今日はお客としてこの屋敷に泊まって、明日不動産屋へ行って契約しましょう。太郎ちゃんは、その後奴隷商会に行って奴隷を買って来なさい。」
「はぁ。 よ、よろしくお願いします。資金はありますからお借りしなくても大丈夫ですよ。「2年後借金の形に」というのは避けたいですから。」
「そう。じゃあ、夕飯までに時間があるから、ミミリィと別宅を見てきたら?」
「わかりました。ミミリィさんお願いします。」
「では、馬車の準備をしますので、少々お待ち下さい。」
ミミリィさんは部屋を出て行った。
「後の話は、夕食後にしましょうね。それから、帰って来たら一緒にお風呂に入って私の髪も洗ってね。期待しているわよ。」
「え? いえいえ。そんなことしたら伯爵様に殺されちゃいませんか。」
「大丈夫。ちゃんとフェリシアみたいにバスタオルを巻くし、義理の息子に洗ってもらうのは問題ないわよ。それに、義理でも息子に裸を見られたって何の問題もないから。」
「いえいえ、やり方はミミリィさんが知ってますから、ミミリィさんにお願いします。済みません、お許しを願います。」
「じゃ、下着の方は貴方が全部するのよ。測るのもフィッティングとかというのも。 よろしくね。」
「もっと、遠慮させて頂きます。それに、義母(仮)様に合うサイズが残っているか分かりませんので、過度な期待はされない方が良ろしいかと思います。」
「そんなことは、言わないの。もう息子なんだから。」
「不肖の身なれど本日初めて伯爵夫人様のご尊顔を拝し恐悦至極であり、貴族様に対し大変申し上げにくいことですが、「お断りします。」」
ビシッと言ってやったぞ。後が怖いが・・・。
「では行って参ります。」ふぅ~ 何なんだろう。
玄関まで行くと、ミミリィさんが馬車を乗り付けたところだった。
「では、よろしくお願いします。で、隣でいいですか?」
「何か不都合でも。」
「空の馬車を走らせる事になりますが。」
「私が御者をするのに、太郎様が隣に居ないなどということは有り得ません。」
「そうですよね。第二夫人(仮)ですものね。」
「当然です。」
馬車はゆっくり走り出し、南に向かう。
「別邸ってどの辺にあるのですか。」
「別邸は、貴族街に近い平民街にあります。大手門から王宮に向かう大通りから、2本入った通りですね。元々は先代様が武勲により下賜された、子爵用の邸宅ですが、鍛錬用にと広い敷地がありました。元々の建物は敷地の奥まった所に今もあるのですが、先代が元々平民の出身であまり貴族的な事を好まず、通りに面した所にも別館を作り、この辺の商家とあまり変わらない作りにしたとのことです。
ですから、通りに面して建物があり、裏は馬小屋等になっています。太郎様が商売を始めるには、良い作りになっていると思いますよ。」
「そうなんですか、貴族様だと、安全の面からも門の奥まったところに建物があった方が良いと思うですが違うのですね。」
「先代も当代も、武の方ですから、あまり危険は感じていなかったので、そのような作りになったようですね。」
「そうなんですか。」
そんな事を話しているうちに別邸に到着した。別邸は石造りの4階建で、通りから直ぐに玄関となっていた。貴族の家としてはやっぱり不用心ではないのか。建物の中央に玄関があり、左右に部屋があるみたいだ。
ミミリィさんと裏に回る。東側に正門があり、そこから敷地に入ると、南側に先ほどの別館。北側にはいかにも貴族の館という感じのする本館があった。
本館の東側が車止めになっていたので、馬車を駐め別館に入ことにした。
北側は裏口になるのだけど入ってみた。1階は正面玄関を入ると、広いエントランスと真ん中に階段。左側はフロアぶち抜きの大きな部屋で、右側は応接室が並び奥に小さな厨房。2階は右側に食堂。左側に客間と風呂。3階が寝室と執務室。4階が使用人部屋といった構成。トイレは各階にあり、洗面台や湯沸室の様な水回りも各階にあった。
「うん。商売を始めるとすれば、1階は右と左で2通りの品を売れるね。右側で食べ物を売って、左側は品物を売ることのなるのかな。エントランスと階段は少し考えないといけないね。」
建物を廻りながらふと気づく。
「水周りはどうなっているの? 各階に洗面台とか有るみたいだけど。」
「屋上に水槽があり井戸水を持ち上げて貯めています。今は手動のポンプですが。水魔法師が居たときは魔法で水を作ってもらいました。」
などなど、ミミリィさんと話しながら館内を廻る。
「で、ここがミミリィさんと僕の愛の巣になるのですかね?」
「いいえ、フェシリア様との愛の巣ですよ。私は4階に部屋を頂ければ良いです。」
「やっぱり、第二夫人扱いされていること怒ってます? 僕がちゃんとスヴェアさんを拒絶して、ミミリィさんに疑念を抱かせるようことをしなければ、ミミリィさんは唯一の夫人だっただものね。」
「怒ってはいません。その時の感情に流されたことは否めませんが、太郎様は独り占め出来る方ではないのがよく分かりましたから。」
「あ、ごめんね。唯一にしてあげられなくて。」
「過ぎた事です。もう少し時間があれば、他の女に目を向ける事の無いようにできて唯一になれたのかも知れませんけれども。口惜しいですがもう仕方ない事です。」
「ありがとう。では、契約も破棄ということでいいですか?」
「それはダメです。破棄したいのですか? 酷いです。絶対に認めません。例えお嬢様であったとしても許しません。」
「僕の初めては確保されてますね。了解いたしました。 では帰りましょうか。館の構造が分かりましたので改造は買い取った後から始めます。」
「私だって初めてです。太郎様のバカ」




