23 遅い昼食
「では、太郎様、「つみっこ」をお願いします。」一連の話を黙って聞いていたフェリシアちゃんが自分を急かす。
「厨房をお借りできますか。調理道具もよろしいでしょうか。 それから材料はどうしましょうか。」
「いいわよ自由に使ってちょうだい。材料は厨房にある物を自由に使ってもらって構わないわ。」
ミミリィさんの案内で厨房に行く。
「ミミリィさん、面倒なことになっちゃいましたね。」
「私の短慮です。太郎様を信じていれば良かっただけです。しっかり握りしめたつもりでいた幸せをつまらない見栄を張った結果第二夫人に格下げです。でも、太郎様は大好きで愛してます。それは負けません。」
「負けないはミミリィさんが前にも言ってた言葉だもんね。」
「はい、ちょっと後悔してます。」
厨房に着くとミミリィさんが使用人(料理長?)と話をして厨房の使用許可をもらってくれた。
さぁてと、どうしよう。出汁の素と醤油、みりんはアイテムボックスに残っているけど野菜がないぞ。食材保管庫を見せてもらう。タマネギとかニンジンと言った洋野菜の類いは色々あるが大根や白菜は無かった。仕方ないので、ネット通販かアイテムボックスの冷凍食品か。
ミミリィさんが料理長と話をしている間に、影に隠れてスマホでネット通販をポチる。
大根、ゴボウ、生いもこんにゃく、原木シイタケ、里芋、長ネギ。白菜、厚揚げもいいな。日本酒も必要だよね。肉も欲しいな赤城○や麦○鶏とかあるかな。上州○豚もいいな。
水も今回は「尾瀬のおい○い水ぐんまちゃん付き」をポチっておこう。
野菜も時間があれば、グンマー産をゆっくり探すのだけど、時間がないから手当たり次第にポチる。
ミミリィさんの話が終わったので、ニンジンをもらい後は自分で用意すると告げ厨房に戻る。
あ、出汁昆布と鰹節忘れた。 仕方ないから、また出汁の素で済まそう。一応言っておくけど、この「かつお風味だし○素(粉末)」だってグンマー産なんだぞ。海は無いけど。
「ミミリィさん。何人分作ればいいのかな?」
「ご主人様達でしたら、伯爵と奥様、お嬢様ですが・・・。多分、この匂いは使用人にとっては拷問になるので、50人分位は作って頂けると嬉しいですが。」
「そういうのは先に言ってくれると嬉しい。材料足りるかな。」
昨日は冷凍食品で済ませたから、今日はちゃんと作ろう。ミミリィさんが手伝ってくれるだろうから大丈夫だろう。
先ほどポチった野菜をアイテムボックスから取り出す時にコピーして倍量にする。全く同じものがでてきているのだけど、見なかった事にしてもらおう。
里芋は皮むき、生いもこんにゃくは切って(手でちぎりたいがめんどくさい)を下ゆでする。ミミリィさんに手伝ってもらい野菜を切りそろえ、水を入れ大きな寸胴に入れて火を付ける。
2L×12本が軽々入るが、沸騰するまでにどのくらい掛かるのだろう。時間が掛かりそうだから、昆布も投入。
煮ている間に、小麦粉と水を十分混ぜ合わせて「つみっこ」を作る。
ちょっと、沸騰までに時間が掛かっている感じがするが、それでも火力が強いみたいでそれほど気にしなくていいみたい。
沸騰したので少し火を弱める。ミミリィさんにアク取りをお願いして、赤城○の胸肉を切る。
と、アルヴァちゃんがミミリィさんを呼びに来たので、お手伝いをアルヴァちゃんに変わってもらい、アク取りを頼む。
醤油、みりんを入れ味見をして火を強め鶏肉を入れ、アルヴァちゃんにアク取りをお願いして「つみっこ」をちぎりながら鍋に急いで投入。 出汁の素も投入。
大量だから時間を掛ける過ぎると具の煮え具合がめちゃめちゃになっちゃうかな。
一人分作っている時は全然気にしなかったのに。給食のおばさん達は大変なんだろうなと思う。
投入後、くっつかないようにゆっくりかき混ぜ、長ネギを入れる。混ぜすぎると「つみっこ」が崩れるので程々に混ぜて5分ほど煮込めば完成。
できあがるちょっと前に、ミミリィさんが戻ってきた。
「できあがりましたよ。」
後を願いします。時間が経つと「つみっこ」が蕩けちゃうから素早く小鍋に移して食堂に移動する。この辺はミミリィさんがやってくれた。
「お待たせいたしました。「つみっこ」ですよ。」
テーブルの上で、小鍋からボウルに移す。お椀がないので、深めのサラダボール(木製)で代用。
木製フォーク・スプーンセットも出した。
テーブルにはアンナリーナ様のほか、スヴェアさんを始め護衛メンバーも既に着席して待っている。
アンナリーナ様はあまり熱いものは食べた事がないと思うので、金属フォークやスプーンでは火傷しそうだから木製を用意したが、皆には、「自分が持ってるフォーク使ってね」と告げてはみたが、「荷物と一緒に部屋に置いて来ちゃった。」としれっと言われ、結局人数分を出すことになった。
「これがフェリシア絶賛の「つみっこ」なのね。」
「冷めるとおいしくありませんから、温かいうちにどうぞ。」
「そう、早速頂くわ。」アンナリーナ様が食べようとすると。
「母上様、ちょっとお待ち下さい。私が毒味します。」とフェリシアちゃんが横取りする。
「え、え。 えー。」
「では、頂きます。 あ、太郎様、フーフーはして下さいませんか。」
上目遣いでフェリシアさんが差し出す。
「・・・・・。 そうですよね、毒味が必要でした。フーフーは自分でして下さい。」
「あのぅ、私達は毒味不要ですので、早速頂きます。」ミミリィさん、スヴェアさん達はとっととよそって食べ始める。アンナリーナ様ちょっと涙目。
「あ、お母様とってもおいしかったです。毒は入っていないようです。 あ、もうなくなっちゃいましたけど。てへ。」
「新しいのをよそりますので、すみませんちょっとお待ちを。」
「改めて、どうぞお召し上がり下さい。」
新しいボウルで、アンナリーナ様に「つみっこ」を勧める。
「おいしいわ。ほっとする味ね。貴方みたいな感じがするわね。」
アンナリーナ様はやはり、熱いものはあまり食べた事が無いようで、フーフーしながら少しずつ口に運んでいた。
「お代わりもありますから、ゆっくりどうぞ、って、鍋、空だけど。」
「「「「はい、私達がお代わりしました。」」」」
「確かにこれがお昼ご飯ですけど、何やっているんですか! 伯爵さまの分は? 昨日も食べたのにそんなにがっつかなくてもいいと思うのですが。ミミリィさん、早く厨房から持って来て!」
「だって、昨日食べたのよりも、おいしいのですよ。これならいくらでもお代わりできます。」
「いや、塩分高いし、あまり食べると太りますよ。」と、釘をさす。
「あ、伯爵様は、どちらにいらっしゃるのですか。冷めてしまうとつみっこが堅くなったりして味が落ちるのですが。」
「夫のことは、後にしましょう。先ずは、おいしいものを頂くわ。お代わりお願いできるかしら。」
「少々お待ち下さい。では伯爵様の分は取っておくことにして、鍋ごとアイテムボックスに仕舞っておきます。」
「お待たせしました。お代わりお持ちしました。」
ミミリィさんが鍋に移した「つみっこ」を持って来たので、アイテムボックスから自分の鍋を出し、「伯爵様の分を残しておくので、これに入れて来て下さい」と頼む
ふふ、アイテムボックスに入れるときにコピーしておこう。あ、材料もコピーしてから作ればよかった。まぁいいや、済んだことは気にしない。
ボウルによそり、アンナリーナ様に食べもらう。
ほっとする感じで幸せそうな顔をしているように見えた。あれ、アンナリーナ様はお昼ご飯食べたんじゃないのか? 早いおやつ代わりか?
ぼけ~としていると、直ぐに鍋は空になった。 しまった、自分が食べてないぞ。
主人公はペットボトルの水を使っていますが、水源県グンマーは豊富なわき水があり、水道の水でも伏流水を使っているところも多く美味しく飲めます。(勿論塩素の匂いはしますよ。南部は表流水取水がほとんどなので、他と同じですけど。)
それに、前橋や高崎は古くからの「井戸+緩速濾過」の施設も現役でありますから、そういった所はおいしいです。
山が多いグンマーは「グンマー名水百選」と言われる位、綺麗な水がわき出ている所があるんです。ただし、全てが飲料が適当というわけではないのでご注意を。飲用は自己責任で。




