3.ルイン 2歳
「ルインー?ルイン~?どこにいるの~?」
母さんが俺を探しているようだ。
俺が孵ってから2年がたった。
卵から孵るとすぐによちよちと歩くことができたので今ではこうして母さんの目から逃れられるくらいには素早く動けるようになった。
この2年で解ったことといえば俺が正真正銘この両親の子であるということだ。両親が人の姿をしていたことには驚いたが、どうやら龍は人の姿になれるらしい。
さしずめ龍人といったところか。
大人の龍になるとその身体のサイズから燃費が悪いらしく、普段はこうして人の姿で生活しているようだ。
人の姿をとると龍の角やしっぽが人サイズになりそのまま残るが、人化がうまくなるとそれも隠すことができるようになるみたいだ。
ちなみに俺のような子供だと燃費も変わらないし、そもそも人化がうまくいかなくて良くてトカゲ男というような外見にしかなれない。
龍の姿も楽しいが俺の心は人族なので、はやくきちんと人化できるようになるのが当面の目標だ。
そういえばこの2年暮らしてきて2人の…2匹の友だちができた。
透き通るような透明感を持つ銀色の鱗。色鮮やかなルビーのような瞳でおとなしい女の子がシルヴィア。みんなシルって呼んでる。
もう1匹がこれでもかという程金色に輝く鱗と瞳。身体はガッチリとし、その堂々たる態度はもうすでに王者の貫禄を漂わせている女の子がクリスだ。
どうやらクリスは偉い身分らしく仰々しく豪華な龍箱(龍が人やものを運ぶために使う空飛ぶ移動手段の箱)に乗ってくる。
すごく気になるが俺にはクリスがどんな身分なのかまだわからない。
ちなみに俺の鱗も真っ赤っかーだ。それなりに綺麗な色をしている。瞳は自分で見ることができないのでまだわからないが多分赤だろう。
2匹ともまだ意識がはっきりしていないのか、遊んであげてと言われてもじゃれることしかできないのでいつももみくちゃにされるのだが、クリスは見た目からもそうだが力が強くじゃれてくると結構痛い。
シルはどうやら身体を動かすときに無意識に魔力を纏っているようで俺の身体に当たったときにダメージが内側へ直接くるので鱗が意味をなさずすごく痛い…。
はやく意識がはっきりしてくれないとそのうち俺の身はぐちゃぐちゃにされてしまうだろう。
シルのじゃれつきに魔力を纏っているといったが俺のいるこの世界では魔力というものが存在している。
魔力には属性というものがあり基本的に火風水土の4種類だ。この魔力を使って魔法を操ることができる。
人族だと身体的特徴からこの魔法適正がわかることはないが、龍族においてはだいたいわかる。一般的な龍族は瞳と鱗が赤、緑、青、黄の4色であることが多く、例外として金色や銀色、他には黒い龍もいたりする、らしい。絵本に載っていた。
得意な属性は赤龍が火、緑龍が風、青龍が水、黄龍が土だ。
ただ、龍族は根本的に魔力が高いので使う使わないは別として、実際誰もがみんなある程度全属性を扱うことができる。
と、まあ、こんなことがわかってきた。
俺は真っ赤っかーな赤龍なので火属性が得意なのだろうがイマイチよくわからないんだよね。母さんから隠れて最下級魔法を4属性とも使ってみたが全部すんなりとできた。
シルはまだ瞳が赤だから多少は火属性よりなのかなってわかるけどクリスはどうなるんだろ。
やっぱなんでもできるのかな?すげえや。
毎日のようにこうして母さんから隠れて魔力操作に慣れる活動をしているのだがなぜか母さんから絶大な信頼をされているらしく、「私のルインちゃんは悪いことなんてしないわ!」とかいいながらごはんの時以外は好きにさせてくれる。
孵った瞬間から俺が話すことを理解していたから俺のせいなのかもしれないが。
そのあとごはんの時になるとなぜか一瞬で見つかって連れてかれちゃうんだよね…なんでかな。
母さんの放任主義のおかげで俺は着実に魔力の操作になれることができていた。前世では魔法は生命を振り絞って発動させるような感覚だったが、今は全く違う。魔力との距離が近いようで、身体の一部のように扱うことができる。龍族すごい。
他の同年代の子達よりも明らかに魔力操作に慣れていっているので、普通の子達はだいたい10歳程度で人化を取得することができるようなのでこのまま行けば5歳くらいになれば人化できるようになるんじゃないかと思っている。4足歩行も楽しいけど2足歩行での動きっていうのが脳に染み付いてるみたいで、跳び跳ねたり腕を回したりはしゃぎたい!
……。
精神が肉体に引っ張られているのかこのように年相応に遊びたくなるのが最近の悩みだ。
身体を目一杯動かして遊ぶのも身体が強化されるし、トレーニングを楽しみながらできると思えばいいことなのかもしれない。ポジティブに生きよう。
今のところまだ外に連れ出してもらえないので龍族がどんな風に成長していくのかわからないけども鍛えることが無駄になることもないだろうし魔力トレーニングを中心にこのあまりある時間で鍛えていくことにする。
この時はまだ、平和にトレーニングできていた…。
ここからどうなっていくんだろう?
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モチベーションへと変換されるかとおもいます!




