26 花街で見つけたもの
カーデリー町で宿を取り、なんとなくだが飲む気分でもないので町の中をブラブラと歩いていた。
そういえばこっちに来て夜の町で散策とかしたことないな、と考えていたら見るからにチンピラな3人に囲まれた。
外国じゃ普通夜は独り歩きしないだろうし、平和な日本の癖が悪い方に出たな、と思いつつチンピラ達には少し痛い目にあってもらった。
少し歩くと夜なのに明るい場所を発見する、俗にいう花街のようだった。
そういえばずいぶんご無沙汰だな、と一人ごちりながら冷やかしに覗いてみる。
日本の遊郭みたいな場所ではなく、客引きと用心棒、それに客が居るだけの通り中を覗く気もないが客引きがなかなか強引であった。
「若造でもこういうとこには興味があるんだな」
ラルたちがニヤニヤしながらこちらに近づいてきた。
散歩の途中だと言ったが
「まぁ興味が無いやつはいないだろうがな!さっきガリスも見かけたぞ」
そう言いながらガハハと笑うラル達、違うと言っても聞いてもらえない・・・
「ちょいと値が張るが良い店があるんだ、紹介してやるよ」
宿が取ってあるからとか言い訳をしてみるが引っ張られて行き見た限りでは一番大きな建物に連れていかれてしまった。
中は広めの酒場と言った感じだがひな壇のような場所に女性が並んでおり、指名をして一緒に飲みその後上にある個室に入るようだった。
ラル達は指名を済ませ女性を連れてさっさと個室に上がっていった。
「ご指名はお決まりになられましたかな?」
声をかけてきたのは落ち着いた雰囲気の執事風の老人だった。
決まっていないと伝えると
「では席でお待ちください、お飲み物はいかがされますか?」
エールとワイン位しかわからずどんな酒があるのか聞いてみると
「蜂蜜酒と酒精の強い火酒、あとは少し変わったものではラガーと呼ばれるエールがございます」
速攻でラガーを注文する、ビールだ!ビールだ!
頭の中でワクワクしながらラガーとやらを待つ。
ひな壇から女性が降り給仕から受け取り持ってくる。
「お待たせいたしました、お酌をされていただくミリアと申します」
ミリアと名乗る女性が瓶とこれは切子か?きれいにカッティングされたグラスを持ってきた。
トクトクトクトクとグラスにラガーが注がれる。
グラスを持ってびっくり、キンキンに冷やされていたのだ。
まずはひと口ぐび・・・グビグビグビプハー・・・一息で飲んでしまった。
前世で飲んだビールに似たのど越し、味も少し上品な感じもするが美味い。
「私もいただいてよろしいですか?」
ミリアさんもどうぞと言うと給仕がグラスをもってくる。
グラスに注ぐと一杯にならないくらい、給仕に2,3本まとめて持ってくるように伝えとびっくりされた。
「安いお酒ではないんですよ?」
とミリアさんもびっくりしていた。
少し心配になり価格を聞くと1瓶で金貨1枚とのこと、そりゃびっくりもするかと納得したが・・・
食に絶望していた俺にとってはこのラガーはお値段以上な価値があった。
飲むだけ飲んでいい気持ちで宿まで戻った。明日は酒屋を探そう!
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