198_リスクをクロスカウンター。
なんでも保険をかけるとかどうでありましょうか?こう失敗保険というものです、そうですね、一月の間に、何か失敗するとそれに対して補償が出るような保険をかけるわけです、故意だといけませんね、審査とかは必要になりますが、需要はありそうな気はします。もう少し具体的に言うならば、食パンを落とした時にバターを塗っためんを下にして落としてしまった時に出る保険とかどうでしょうか。基本自己申告でありますが、四六時中自身をモニタできる環境にしておいてですね、映像で素早く判定するわけであります、このパンを落とした時の補償は、その時の食パンの代金の2倍くらいでしょうか?
バイタルまで自動的にチェックできるようになれば、もっと色々できそうでありますね。ストレス保険とかです。心ない対話とか対応とされてしまった時に、ストレスを緩和できる程度の金額が支払われるわけであります、こう、甘いものが少し購入できるチケットとか、ちょっといっぱいやれるクーポンとか、精神科への検診その割引チケットとかです。
精神的に強い方々は、保険料が安くなるわけですね、こう、体調とかストレスチェックとかを加入時にされて、等級が決まるわけです。で、バイタルデータの二次使用を許可するとさらに安くなるわけです、個人情報は厳守した上での予算と、それすら売りはらうランクとか、色々できそうでありますね。
何をしても動じない、元気で健康な成人だと、保険料はかなり安くなりそうですね、しかも、二次活用許可するとほとんどタダで入れる保険とかになるかもしれません。で、保険会社の方も、簡単にストレスとか故意でないミスをされてはたまらないので、生活習慣の見直しやら、ミスを防ぐアドバイスとかも並行して行ってしまうわけですね、それらのアドバイスも保険料に含まれるわけです、あまりこの仕事には向いていないようですよ?とかストレスを和らげるドラマとか漫画とか書籍とかを紹介したり、この相手に会うとストレスが軽減されるようです、逆にこの方と長く接すしているとストレスが上昇するようです、とか傾向が提示されるわけですね、そして、複数の方からストレスの原因となる個人が重なった場合、その旨が本人に伝えられて、改善を求められたり、人と接する仕事から遠ざけられるようになったりして、平和へと近づくわけです。
バイタルをチェックされて、ストレスを管理されて、嗜好を掴まれることに対してストレスを感じる方も一定数いるように予想されるわけですけれども、これはあくまで任意の商売でありますので、受け入れられない方々に強制されるものではないわけですから、気に入らなければ、保険に入らなければよろしいわけであります。
フィクションでは、この手の管理されていない個体は、ストレスで自滅することがなぜか多いとか、事故やら、事件やらに不自然なまでに巻き込まれてしまって、いつの間にか、いなくなってしまっているという方向へお話を進ませると、ちょっとしたディストピアものに、理想を追い求めすぎて、それとは真逆の性質になってしまった社会とか世界の物語になりそうで、面白そうです。
もっとも、管理されている方々が多数になれば、少数であるということ自体がストレスになる可能性もありますし、最低数そのような幸せ保険に入っている方が存在すれば、そちら側のアプローチで、保険に加入していない、ストレスの元になる人物をどうにかしてしまえる展開に持っていけるわけです、物理的にどうするということでもなく、思想とか嗜好を周囲の人々やら環境を変化させることによって制御するということですね。
なので、過渡期にはともかく、幸せ保険が、浸透した世界では、あまり凶悪な展開にはならない可能性がありそうですし、また逆に異常であることに気がつかない、歪んだ不気味な世界になっているというパターンもありそうではあります、が、誰も気がつかなければ幸せであることは確かなのでありましょうね、とか、端で見るゴブリンは呟いて、暗く笑うのであります。
「この彼への愛は私の本心から出たもので間違いないのです」
「そう思い込める心の強さが幸せにつながると予想できますね”ご主人様”」




