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177_無駄なお仕事が必要。

 需要を予想して供給したはずの技術者や働き手を遊ばせるわけにはいかないのでとりあえずお仕事を与えておきましょう、という、泥棒を捕まえたので、それを縛っておくための縄を結い始めました、的な展開は、これは結構見られるような気がいたします。

 古いネタでありますが、とにかく社員を暇にさせないために、なんでもいいから仕事を与えておく会社、という笑の種がございましたが、結構これは真実をついているような気がいたします。特に技術職はその技術を衰えさせないためにも、次々に仕事を与えて鍛えていかないといけないという使命をなぜか持っている上司というか、上の方の意向というものが、ないとは言い切れない雰囲気があるように思えたりします。

 

 逆に、高いコストを支払わせて、免状なり免許なりを習得させたものの、その使い道がないという現実を習得者に悟らせないために、最初の方は仕事を斡旋してみたりするのでありますが、そもそも許可を出す過程で儲けるような仕組みの商売にしているので、その技術者は需要過多でありまして、早々に仕事にあぶれる未来が見えるのでありますが、そこは巧妙に、実力がいる世界ですから、とか言ってごまかして、納得させてしまっている、のかもしれません。


 どこで儲けを出そうかという観点から見ると、この免状を出すことで、もしくはその免状を所得するための学習をするところで、利益を得ようとする団体は、その技術を使用する業界全体のことをあまり考えてはいない可能性が高いわけでありまして、何故ならば、免状を得ようとする対象が多ければ多いほど利益が出るシステムであるように見えるからでありましょう。この手の意見は別に目新しいものでもなくて、何か確実にもうけようと思うなら、その直接的な対象ではなくて、それを手助けする何かを商売のネタにするのがよろしいでしょう、というロジックは太古の昔から存在するわけでありまして、手に職を持つとよろしいですよ、という甘言は、その技術がその後、安定した収入につながりますか、というところまで調べたりするあたりまで、セットにして乗ってみるとよろしいかと、思います。


 とはいえ、そのように歪な技術を持っていたがゆえに、失職している方々を放っておくとこれはこれで、問題がありまして、社会平和的にどうでしょう、という心配をされる方々がおられるわけであります。人間は暇になるとろくなことを考えないとか、働き口がないがゆえに、犯罪に走られても困るわけでありまして、であるなら、基本的な性能があれば、十分つとまるような仕事を、専門的な知識が要らない仕事を用意せねばならないとか、こう徴税する側の組織は発想するわけであります。


 でありますので、とりあえず仕事を作成するわけでありますように観察されるわけです、特に特殊な技能が必要ないとか、肉体が動けばまずなんとかなりそうなお仕事を依頼するわけですが、この場合、合理化して少人数で行うという考えは、より多くの人出を必要とするお仕事を創出するという考えから離れてしまいますので、無駄に見えるお仕事になるような方向へ進むように観察されるわけでありますね。


 つまるところ非合理なお仕事が少なくならない要因の一つには、世の中に必要とされる技能が急激に変わってきていることに教育機関やらが柔軟に対応できていなくて、個人の資質に任されるところが大きく、それに対応できない個人個人に対して、お仕事を斡旋するために、古いフォーマットのやり方で、お仕事を発注するしかない、という側面があると、予想するのですが、どのような感じでありましょうか。

 自己責任とかいうのは簡単ではありますし、時代についていけないのは、これはもう個人の資質やら努力不足ということもある、と見る考えもありそうではありますが、社会全体で考えると、そういう取り残される可能性のある人物群も必ず存在することを前提にして、動かしていかないといけないのでしょうね。

 ただ、古いやり方にこだわることも、利となる場合もあります。頑固な職人というのは、これはこれで魅力的に見えるというパターンも、よく見られるものであります。


「今更、多国語の資格を取る必要があると言われましてもね」

「いきなりすぎるのは確かに問題でございますな”ご主人様”」

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