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173_非常時には高くなる。

 災害などが発生した時に、平時より価格を高く設定していく方針というのはいかがなものかという意見が昔からあるようでありまして。感情的に考えてこれは致し方のないことでありましょうという意見と、経済というか市場の仕組みとしては仕方がないというよりは、自然で、論理的で、バランスのとれた結果に落ち着くのでむしろ推奨するべきでありましょうという意見とあるようです。


 人の弱みに付け込んで値段を高く設定するのはけしからんことである、であるからその値段は据え置くが良いということを、管理団体とか上位の権力を持っている方が強制する、これはまあ結構ありそうなことですし、実際に何度か行われたことではあるようです。非常時であるがゆえの物資調達にかかるコストの上昇分やら、急激に増えた需要に対して対応するために支払われたコストを、その権力を持つ団体が素早く補填してくれるのならば、これはもうそれほどの忌避感を感じることもなく協力はできるのでありましょうが、ここで普段、かなりの収益を上げて貯蓄しているのであるから無償で吐き出してもらおうとかいう観点で補償をないがしろにしてしまっていたり、フォローが遅れてしまっているようになると、これはもううんざりとしか思わないのではないかと、もしくは、気持ち的には困っている人を助けて満足してしまいますが、無理をしたためにその組織が継続出来なくなってしまって、災害の後、しばらくして撤退やら縮小やら、余儀されなくなってしまって、その地域が少し、もしくはかなり不便になるということは、どうもありそうな予想が立ちます。


 災害時の備えはもちろん大規模なものは権力を持つ、徴税権を持つ団体が行うことも必要ではありますが、ここの備えも大切であると、言われているようです。この辺りもう少し広く丁寧に講釈をしていた方が、広報とか備えの教育にコストを割いていく方が結果として災害対策全体のコストが低くなる、可能性もありそうです。

 非常時に日常と同じ価格を求めるのは、これはのちの生活環境を犠牲にする可能性があるということを認識させておいた方がよろしいかもしれません。労働基準、働きに対して、報酬が低いという遠因はもしかすると非常時に日常と同じ価格で販売しなければならなくなった、企業が、そのために試案やらをためておく、必要があるので、日常時の支払いが渋くなっている、という考えもありそうな気がします。


 特に災害の多い地域や、一度の災害で大きな被害が予想される地域に根ざしている企業群はその傾向が高い、のかもしれないですね。非常時に高い値段がつけられないのであれば、日常の値段にそれを埋め合わせておかなければならないという意識が、うっすらと意識の奥底に溜まっているので、しかし、安くないとその日常もうまく回せない問いう雰囲気があるので、削れるところは削っていくのでありましょう。


 非常時にものの値段が跳ね上がるのは、移送のコストを考えたり、販売する店員の安全を確保したりするためのコストに当てたりするので妥当な線でありましょう、ということと、購入意欲を削ぐことによって、買い占めを防ぐような、そのような効果も期待できそうな気がいたします、基本人間は自分のことしか考えない傾向がありまして、さらには災害によって弱者になった、助けらるべき存在であるという免罪符的な思考はそれを増長させる、可能性が高そうに思えます。

 で、あるのでありますと、下手に安い値段やら無料配布とかしてしまうと、短慮に飛びついて、混乱を助長する可能せはあります。また逆に値段が高くなる仕組みやら、構造を知らないと、足元を見られたと思いこんだ彼らに、いわれのない暴力を振るわれる対象になりかねないわけでありまして、そうなると、もう取り返しのつかない事態へと進む、パターンでございますね。


 とすると、大事なのは、相互の情報共有でありましょう、それができる雰囲気を普段から作っておくべきものだとは思うのです。そこにコストをかけずに、資本の大きさでどうにかしてきた経緯もありますので、一概にどちらがよろしいとは言い切れないのでありますが、もう少しあけすけに、商売というか経済活動とかできる世の中の方が、幸せになる方々が多くなるのかもしれないですね、とぼんやり思うゴブリンでございました。


「それで、何かカリカリしていませんか?」

「すいません、少々野菜の値段が高くなっておりまして”ご主人様”」

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