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165_空腹時の悪食。

 お腹が空いている時には、食料品だけではなくて、その他商品を購入する時におけるリミッターがゆるくなってしまって、どうしてこのようなものを手に入れようと思ったのでしょうか、と疑問に思うような物品が手元に残ってしまう現象に陥りやすい、という噂をちらりと聞いたことを思い出しましている今日のゴブリンでございます。

 なるほど確かに、今日の夕餉の食材を仕入れに行ったはずですのに、気がつくとよく落ちる、こするだけでみるみるととかいう清掃用のスポンジを買ってしまう心理が説明されそうです。空腹であるので、食材を手に入れる方法を考えて、狩猟とか採取とかに意識がいってしまうと、もしかするとショットガンとか、戦利品を入れるカゴやら、軍手やらを購入してしまうという予想もできますが、それほど、直接的ではなくとも、何らかの連想で購入を決意してしまう商品もありそうでありますから、夕暮れ時の路上販売というのは、理にかなっているのかもしれないとか予想してみます。

 よく売れそうなのはやはり食品関連であるでしょうから、屋台など軒を連ねているような路地とかあったりするのでしょうか、昼日中から、ブラブラしている遊民さまがたの胃を掴むために、美味しそうな香りを振りまく屋台とか、確かにこれは空腹時にはたまらない感じかいたします。

 特にイベントとかなくともそのような屋台やらがありましたら、ふらりと寄ってしまう方々もいるかもしれません、そこで問題となるのが、お財布の中身と腹具合でありまして、あれもこれもと買って食べてしまうと、双方のリソースが尽きるわけであります。

 今日の私は何を欲しているのか、慌てるのではありません、私はお腹が空いているだけなのでありますから、という有名な一人ご飯のコミックがありましたが、のちに実写かされているようでありますが、まさしくその通りでございまして、自身の胃と相談をして、油ものは控えようか、とか、暖かいものが一番とか、麺類でするっととか、汁物がよろしいかな、とか冷たいものでとにかくこの汗を引かせようとか、ここはガツンと肉で攻めるべきであろうとか、ざっくりと屋台の並びを見て、メンバーを構成して、前衛にがっつりと肉で武装してもらって、後方支援として汁物、回復メインの穀物系列は、さて無発酵のパンで攻めてみるか、むしろ前衛を張れるくらいのボリュームがあるのでそこを中心に組み立てて、されど、あまり何件も回っていると食べるものが冷めてしまうのは興が醒めるわけでありますから、ここは買ってすぐ食べながら、次の店へと並ぶのがよろしいかなとか、いろいろと戦略を練るわけでございますね。

 補給線と言いいますが、お値段も要相談でございまして、自ら打ち立てた予算をこれまた第三者的に仮想立ち上げした大蔵省にお伺いを立てて、ええい、ご祝儀相場でありますからとか、あまり理由にならない理由を大仰にまくし立て仕りまして、理性という官僚主義の権化を勢いで駆逐しつつ、現実に懐の直接予算、金券を確認しつつここでこれを失ってしまっては、今月の生活が苦しくなるのは必定であるものの、食に対する欲求は止まることを知らず、むしろここで止めてしまっては、重大なストレスに襲いかかられて、それによる体調不良で別の予算が計上されてしまうことは必定でありまして、どうせ消費するのであるのならば、楽しげなことに使用するのが、この金銭というものに対する誠実さではありませんか、一時の快楽に溺れるのではなくて、これは今日を生きるための活力にいたす所存でありまして、この先客万来な味覚の強者による蹂躙を、この一身に受けて、倒れ伏し、恍惚の表情で衛生兵へと回収される所存であります、と、近い未来を夢想しつつ、フラフラとした足取りで、決然と、列の最後尾に並ぶ、只人であるのでしょう。


 そして、決然と大枚を支払い、食すべき時になるほどこの味の濃ゆい食料にはやはり喉を潤すものが必要であるな、と漫然と次の行動を予想しつつ、コップ売りの飲料を求めて、まるで、食料を求める深夜の動く死体のごとく、意味不明の感嘆と、うつろな目と恍惚なる表情なる仮面を、深くかぶりなおして、他の有象無象の列に紛れて行く訳でありましょう。

 結果として食べすぎとか、飲みすぎとか、どうしてこんなに帰りが遅くなったんですか、あなたとかいう同居人の的確で、メスのように鋭利な質問、決して怒っている訳ではありませんよ、心配していただけですから、という薄いセロファンのような好意に包まれた劇薬を飲まされてしまうので、そのまま前後不覚になったふりをして、寝所へとドロンを決め込む、ご老体というわけでありましょう。

 というイメージがいきなり沸いてきましたのですが、ともかく軽く腹ごしらえをしてから、買い物に行くのがよろしいのではないでしょうか、という結論を導き出して、今日はおしまいです。


「お祭りの雰囲気だと色々緩みますよね」

「付け込むならそこでしょうな”ご主人様”」

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