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157_集まると強く、愚かしい。

 船頭多くして船山を登るという意味合いでは少し違うわけでございますが、概ね人が集まりますとそれは力となりますが方向せいが定まらないとか、どうにもそちらに行ってしまうとよろしくないのではありますか、という方向へ爆進してしまうことがままあると、観察できますよね、と何者かに問いかけるていで話し始める今日のゴブリンでございます。


 意見を多数集めるとそれが通るという仕組みが、基本民主主義と呼ばれているわけでありますが、その集まった意見が間違っているかどうかという判断を、外部に委託していませんので、かなり怖い結果に陥ることがありそうな気がいたします。前提として正しい判断ができる方々が過半数を超えているという世界での政治体制でありまして、根底にはしっかりとした構成員に対する正しい、公平で科学的な教育の実施というものが必要であります、という意見が多いように観測されます。


 論理的ではありますが、では実際に正しいく教育がなされているのかというと、学習すること自体を囃し立てて否定するような文化がこうあるようでありまして、どうせそんなことをしても無駄であろうに、とか、将来何の役に立つのでしょうか、とか、そんなことより、若いのだから後先考えないで冒険しようぜ、とか、まあ、よく考えて行動することに対する忌避感などが空気としてあるように見受けられます。ある一定の地域とかカテゴリーされた集団とかに顕著であるようです。

 その部分も含めて、教えみちびいていかなければならないのですよ、という意見はあるようですが、その教え導く存在の質もまた落ち続けているようでありまして、長いこと報われていないように感じている職種でありまして、苦しくて当たり前、清貧で当たり前、もうけてはいけない、心清らかに、聖人であれ、滅私奉公に自己犠牲がデフォルト、などと言われ続けて、ちょっとでも規範を乱すと叩かれる精神的な圧力と、総体的に低い報酬という、もはや腐っていくしかないのではありませんかという外部的な要因が山盛りであるのではありませんか、とか朗々とたたみかけるような論調で、吠えている方々おられそうです。


 どこかのお国の教職の方々ですが、これは噂でありますが、サービス残業は当たり前で、休日でも連絡の取れるところにいなければならず、深夜にもかかわらず警察などから呼び出しがあったりして、暴力が日常的に振るわれていますが、安易に反撃もならず、逆に過剰な反応であると叱責を受けて、やる気がどんどんと失せていくとか、それはどんなブラックな職場なのですかという状況に陥っている末期的な立場に追い込まれているそうです。話半分だとしてもあんまりな、現状でありますね、とどなたかがつぶやいておりました。


 逆に閉鎖的な教育現場という環境において、その強権を発動して、無慈悲な対応を取っていたり、暴君として君臨している方々もたまにおられまして、それが表面化して新聞の3面記事としてお披露目されていたりするようです。この場合周囲の雰囲気として、ここまでやってもいいのですね、という外から見ると異常に見える範囲にまで踏み込むことが自然に思えてしまう、そのような環境が作られてしまっているということが、問題の本質ではありませんか、とかいう方もおられます。

 その場所で多数が示す正義は、もっと広い場所から見ると局所的な、本当に限られた例外的な世界であるのですよ、ということを、察せないのは、雰囲気に飲まれてしまっているからなのでしょうね、とか予想してみます。


 集団心理がどうのこうのというお話を、耳にすることが多いわけですが、なんとなく一つの方向へみんなが走り出してしまうというのは、群れが生き残るには原始的に有効な方法であったのだろうなと推測できるのでそれほど不思議はありませんが、それはそれとして、一体人間というものは、いつから文明的な、文化的な集団になるのでありましょうか、その瞬間を見逃さないように見物しなければなりませんね、とか決意を軽く新たにして、今日のお話はおしまいです。


「そろそろ長期休暇明けの教材の準備をしなければなりませんね」

「そういえば一応教職でございましたな”ご主人様”」

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