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156_十日に一度、夜がいい。

 夫婦の愛の営みのことではございません、理想的な雨のが降る頻度のことでございます。何方が言い出したことなのでしょうかというと、これはまた定かではないのですが、これはゴブリンの記憶の片隅にありまして、正確な文言ではないのかもしれませんから、特定できない可能性もございます。

 雨は、降らなければ困りますが、日中降ると外出が面倒臭くなりますし、雨具などを使用するのは煩わしいものである、という方が多いように観察できます。晴耕雨読という言葉がありまして、晴れたらば農業的なお仕事をされて、雨ならば、家の中で読書をしましょうという、つまりはスローライフの走りでありましょうか。雨がひどいので畑の様子を見てきますという何かのフラグ管理をしているのですかという行為をしそうになりましたら、思い出すとよろしいかもございません。


 ちょっと調べなおしてみますと、五風十雨という語句があるそうで、天候が順調でありますので、農作業が捗りますな、という意味合いだそうで、五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降るという頻度がよろしいのではございませんが、ということだそうです、転じて、世の中が平穏であることの意味もあるようでありますね。

 初出は論衡ろんこうという書物だそうで、書かれた時代は1世紀あたりで、作者は王充おうじゅうさんという方で、この方、お名前とか書籍名とかでわかる通りに中国のお方でございます。時代としては後漢でございますね。

 この王充さんというお方、webで斜め読みをした限りでは、現実主義というか、迷信とか占いとかそのようなことがお嫌いな方で、合理的と申しましょうか、世の中は科学的であらねばならない、という意味合いの立場をとるお方であったようでありまして、昔からの言い伝えを鵜呑みにするのではなくて、きっちり説明のつくものを集めて、解説してみよう、などといったことをしていたように読み取れます。

 そのような思想のもと、全30巻85編もの長編を書き記したそうでありまして、かなりの年月、おそらくは数十年ほどでしょうか、それらの長い時間をかけて、書かれた大作であります。

 その合理的な姿勢から、孔子とか孟子に批判的すぎるのではないかと、後で叩かれて省みられなくなったそうですが、逆にその鋭い指摘などが名著であるという評価を受けた思想書でもありそうでございます。

 本人としては、十分根拠のある、実用に足る書物であろうとしただけかもしれませんですが、何しろ宗教の教典並みに古い文章でございますので、それだけでもう十分希少な文章群であろうと、予想するわけですが、世間一般ではそれほど有名ではなさそうであります、と観察されます。


 孔子一族の論語とか孟子のまとめであるそのまま孟子という書物の方が有名すぎて、霞んでしまっているのかもしれません。確認し直している中で改めて思い出されたのですが、論語も孟子も紀元前の書物であるわけですね、基督の聖典より古い文献が、その出自を含めて正確に残っているということは、これはもうとてつもなく凄いことであると思うのですが、そのあたり、正当に評価されているのでありましょうか、現在の国家体制や国策などがこうあまりにもきな臭い感じかしている感触と、連綿と受け継がれてきた思想との印象、その乖離が甚だしいように感じる人も多いのかもしれません。


 偉大であるので、世界は我が国にひれ伏すべきである、という感じでいこうとしているならば、それはまあ、首尾一貫していますねと納得する次第であります。大きな組織というものは、一つ方向が定まって動き出すと、なかなか止まれないし、方向転換も難しいのであろうな、と予想して、それはそれで難儀なことでありますね、とか、お茶を飲みながら観測していく様相の、今日のゴブリンでございました。


「毎晩でも昼間でもよろしのではありませんか?」

「そちらのお話ではございませんよ”ご主人様”」

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