子供と魔女の家は大体森の中
おつかいクエスト。
大体のゲームはチュートリアル的な意味合いも兼ねておつかいクエストが用意されていることが多い。
ハイパーステラーにおいてもそれは例外では無いのだが、何故子供探しが序盤に必ず受けないクエストとされているかいうと、2番目の街である「トルミテ」の内政事情にある。
トルミテは厳格な国家であり、許可証を所有していないと入国ができないのだ。
しかし、門の近くにいるNPCは実はトルミテで商会を営む一家の者であり、孫を見つけ出したお礼として許可証を発行してくれるのだ。
ただ、孫は最初にストバニが大量にエネミーを狩った森の中のランダムな位置(もちろん森の手前エリアの比較的安全な場所。)に隠れているため、ちょっとだけ面倒くさい。
「お~い!!どこいるんだ~!」
大体この手のクエストはエネミーに襲われそうになって茂みの中や洞穴の中に逃げ込んでいるのがオチだ。
序盤の森とはいえ子供が一人でエネミーと戦って死んでいたらクエストとして破綻してしまうからな。
…………………いない。
シンプルに運がないストバニは、この手のクエストは理屈が分かっていても全然見つけられないのだ。
それでも声を出しながら森の中を探索すると、森の中にポツンと1件の小屋が見えてきた。
ノックして中を覗くと、いかにもなとんがり帽子を被った優しそうな老婆と子供がお茶をしている。
キッチンの横には大きな鍋。怪しい薬が入った小瓶とキノコや薬草らしき植物。
「この辺で男の子が迷子になったみたいで、探していたんですけど~……もしかしてその子だったりしないですよね…?」
「おやおや、もうお迎えが来てしまったのかい。私はこの森に住む魔女の【ラバー】だよ。決して怪しいものではない。」
魔女が男の子を家に連れ込んでいる時点で結構怪しいと思うのですが。。。
「おばあちゃんはね、まよってたぼくのことたすけてくれたんだよ!」
事実として、この魔女は本当にただの善意で孫を匿っていただけである。
ラバーという魔女は毎週水曜日のランダムな1時間にこの森でエンカウントすることのできる特殊NPCである。今回は何の悪戯か、孫と魔女が出会ってしまい、この家に招待されていたというレアケースだ。
運がなかったのか、運がありすぎたのか、なんとも言えない状況である。
ただ、ラバーは出会ったプレイヤーに対して調合術の基礎とユニークアイテムの作り方を教えてくれるNPCであるため、ここで早めに出会えたこと自体は幸運ともいえるだろう。
「せっかくだ、そこのお兄ちゃん。この私が直々に調合術の何たるかを叩き込んでやろう。」
「これって拒否権とかありますか?」
「どうせそこの子供の見たいと言っていたんだ、見ないことにはその子も帰りたくはないだろうよ。」
ほな見るしかあらへんかぁ~…
「基本的に用意するものは4つ。鍋・水・火・素材だ。大体は素材の良し悪しによって完成品の精度も変わる。しかし、だ。同じものを使っても本人の目利き次第でより良いものをつくることができる。」
確かに、俺が作ったものとラバーの作ったものでは同じ回復ポーションでも回復量に差がある。
同じタイミングで作り終えたはずだが何が違う?
「今のは何が違ったんだ?火の強さか?水の量か?」
「鋭いね、今回の場合は私の方が火力があった。だから私はいつもより早く上げたし、私と同じタイミングで火から上げたあなたのは完璧な出来ではなかった。いつでも安定した状況で錬金できるわけではないの。特に街の外ではね。これからも定期的に錬金を行うといいわ。あなたには知恵を授けるから。」
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錬金術Lv.1を習得しました。
ユニークアイテム「森の羊羹」の製作スキルを習得しました。
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「森の羊羹って何ですか?」
なんかのシャレか?これ。あんま面白くはないが……
「それをお土産として持ってってみな。喜んでもらえるよ。」
「はぁ……」
「おにいちゃんもおばあちゃんもすごい!ぼくなにしてるかぜんぜんわからなかったよ!」
そうだ。この小屋に来たのはこの子を探しに来たんだった。完全に忘れてたわ。
そんなこんなで帰り道は絶対に目を離さないように手を握り締めてハナイデへと帰る。
錬金術も森の羊羹もいつかは使う日が来るんだろうし、定期的になんか作ってレベルだけでも上げとくか。
「おばあちゃんごめんねー!」
「もうっ!心配したじゃないの!!」
無事祖母と孫の感動の再会?を見届ける。
「本当にありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、もし次の街トルミテに行くことがあったらこれを見せてください。入国許可証です。それと、私たちの家族がトルミテで商会をやっているので、ご入用でしたらお尋ねください。誠心誠意対応させていただきますので。」
これでようやくハナイデを出て冒険に出れるわけだ。
多分ほかのプレイヤーの数倍は時間かかってるだろうな…
でも確率は収束するし、ここから先の未来は明るいだろう。
俺の戦いはこれからだ!
俺の戦いはこれからだ!




