16.てりょうり『3』
ますたーのお料理教室。
“結晶魔人の薬膳料理”
つまり、これから作られるのは結晶魔人にとって、栄養満点なおいしいレシピ。どんなふうに作るのか、むしろ完成品がどんなものになるのかドキドキハラハラ!
だって、石を使うんですよ!
めっずらしいごはんが食べられないなんてくやしすぎる! しかもマスターの手料理ですよ!!
うう、ちょっと恨めしい。
けど、けどね。ちょっぴりホッとしてます。
だって・・・さすがに石は消化できましぇん。ラーラもさすがに壊れちゃう!
うれしくない実感だなぁ。
こういうの、ふくざつなキモチっていうんですね!
まぁいっか。感想をシャルさんに聞けはきっとこたえてくれるから似たようなお料理、マスターか料理長におねだりしてみよう!
ふっふっふ! ラーラの計画はカンペキですよ! さすが最新作!
さてさて。
まず、ざいりょうをそろえます!
さっきひょいこらいろんなトコロからでてきたものから並べてみます。おっと、良い子が出遅れるわけにはいきません! おてつだいおてつだいっ。
~材料~
★『コルジェ』を3個(真っ赤な石。品質よければ宝石です)
★『セッシェ』を2個(水色の石。イロイロ使えます。魔法にも絵の具にも)
★『オルトの根っこ』1本(ふつーに使うと苦くって種族によっては毒です!)
★『マゼの実』5個(まろやかなやさしい味。これはよくいろんな階級・種族で食べられます)
★『セテルの実』3個(さっぱりとした水分たっぷりふくんだ実。生は生でしゃきしゃき美味しいですよ!)
★『レクル』6枚(肉厚の葉っぱ。癖のない栄養ある野菜です)
★『セロ』2個(オレンジ色の石。まぜたりいろいろ使うそうです)
★『謎の粉』各種、瓶。(結晶魔人の調味料。いろんな石の粉。人間には毒です)
ちなみにレシピは2人前。
余った分は加熱すればまたちょっと違った味わいでおいしくなるので良いのだそうです。冷凍もできるんだとか・・・べんりー。
というかホントに石使うんですか・・・? あっ! もしかして、石食べれるから結晶魔人っていうのかなぁ?
「さて、材料はひととおり用意できたわね」
にっこりマスターがそろったものを確認します。
満足そうに頷く。
でもその隣で、料理長はびみょーにあきれ顔。なんで?
「なんとも物騒なしなぞろえじゃのぅ」
「だれも食べられないから作ろうと思わないでしょうね。物騒だというのは昔の仕事柄アレをしってるあなたくらいじゃないかしら」
「まぁ、わしらのほかにあの毒の作り方を知っておるのは昔馴染みくらいじゃろうからなぁ。じきにその知識もなくなることになるじゃろぉが・・・」
「彼らにとっては毒と薬は紙一重、といったところじゃないかしらね。よくわからない一族でもあるし、今度来た時にちらっと聞いてみたらどうかしら。食事の関係もあるだろうから」
「そうじゃな。やれ、世間は広いわい」
ん?
「ますたー」
「なぁに?」
「この材料、なにかすっごく危険な毒もってるんですか?」
おかしいな。
そんな特別な毒もってるんだったらラーラの知識にのってるとおもうんだけどな。まちがってぱっくん食べちゃったら大問題だもん!
ラーラは毒なんて効かないんですが。そこはソレ気分ってもんですよ! ラーラがだいじょうぶでも他の人はダメですもんね。
セッシェをつんつんつつく。
うん。コロコロしててかわいい。
透明度が高くってキラキラしてるしとっても綺麗だ。
「ラーラ、ちゃんと知識確認したのにわかんないです」
「それはそうね。知識はまちがってないわよ。これら単体ではそんなにたいした毒ではないわ、あったとしてもお腹を壊すぐらいね。ただこの材料とちょっと特殊な材料を加えれば猛毒を作れるだけよ」
「ハッハッハ! なつかしいもんじゃなぁ、あの匙加減がわかればイケルんじゃがなかなかみんな作れなくてのぉ」
「なにごとも経験だもの。コツをつかむまでどうしても苦労するしかないわ。ああ、ラーラあなたには物騒なんでこの毒の作り方はデータにいれていないだけよ、世の中には悪いヤツもいるからね。解毒薬はつくりかた入れてあるから安心しなさい」
えーとぉ・・・。
どこに安心しろと・・・?
解毒薬はたしかにひととおりレシピばっちり揃ってますが。実践したことないし、作ることもこれからあるのかな。
「そろそろ調理にとりかからんと日が暮れるぞい」
「ああいけない。はじめましょう。ええと、まずこれね」
料理長のひとこえにマスターがコルジェを手に取る。
うーん。品質はちょっと良さげです。
ちょっとしたアクセサリーの材料にもなりそうなぐらい。宝石とまでは扱われなさそうだけど、しっとりとした赤がとってもきれい。
「トンカチで割るんですか?」
「いいえ。まず魔力を込めるの。ふんわり燐光を――――ああ、淡い光をおびるくらいの量がいいそうよ。こうやっって」
ふわり。
やわらかい魔力がコルジェに宿る。
キラキラと光りを増して、おお! ほんとにすこーしだけ光ってます!
「このくらいね。ラーラ、お勉強を兼ねてひとつ魔力こめてみる?」
「まりょく? ラーラ、もう魔法使えるんですか?」
おっと!
これはいきなり衝撃告白!!
魔法、つかえるようになったらいっぱいいろんなことができる。お空を飛んだり、お水の上を歩いたり、マスターのところへ瞬間移動できたりするんですよ!?
わあああ、楽しそう!
だってそしたらラーラどこでも行けるし、逆にピンチになってもマスターのもとへいつでも帰ってこれるっていうことですよねっ!! わーい!!
胸がドキドキします。
きたいを込めてじっとマスターを見つめる。これから使い放題!?
マスターはやさしく微笑む。おおお、これはやっぱりラーラの予想が正し・・・。
「まだダメ」
ガ――――――ンっ!!
「だめぇ!?」
「そうよ、魔力制御がうまくできているかまずチェックしなくてはね。ひとつひとつ、問題がないことが確認できたら順番に封じをはずしてあげるわ」
き、きびしくにゃいですか。
涙目になったら、するりとひとなでされた。
ご、ごまかされたりしないもんっ。
いくらナデナデ好きなラーラとはいえ、賢いんですよっ!
口をおさえて後ろを向いた料理人Aさん! 肩がふるえてるのマル見えですからね!?
ふわっとマスターが小首を傾げた。
「制御利かないのに魔法使ったらどんなことになるかわからないでしょう? そうねぇ・・・わかりやすいたとえ話を言うとね、私の友人がむかし練習させるということをすっぱり忘れてね、試作品の子に魔法を使わせたの。よりにもよって転移先が巨大虫の頭の上になっちゃってたらしくてね。頭の上にゴツンとおっこちて、怒った巨大虫たちに追いかけまわされてあやうく食べられそうになったんだそうよ。しかも巨大虫の巣だから、たいへん。まぁ愉快な話で済んでよかったけれど」
え。
巨大虫に追いかけられてあやうくおいしくいただかれそうになるっていう話は愉快な話ですむんですか。そうなの?
たしかデータには巨大虫ってニョロっとした長細いミミズをでっかくしたみたいな虫で、高さすくなくとも10メートル、長さ60メートルくらいという情報が・・・。うむ。マスターたちには楽勝レベルのお話なのかな。
冒険者10人チームで倒すとよいでしょうと説明にある。初心者のひと向けだし、ひとりで倒せる人もいるんでしょう、きっと。
「すべてがそうなるとは言わないけれど、さすがに勢い余って溶岩のなかに飛びこまれちゃったら私でも助けられないわよ?」
「てすとをうけてからにします!!」
溶岩。
別名、マグマ。
たしか、ぜ――――んぶどろっどろに焼き溶かしてしまうというエルト山のてっぺんにあるアレですよね!? そりゃマスターにも助けれないでしょう。すでに焼き溶かされた後のラーラだったらどうしようもないですもん。
素直にぶんぶん首を縦にうごかす。
ラーラ、痛いのも怖いのもついでに消滅するのもイヤだもん!! 良い子で賢い子は、『急がば回れ』という安全第一のよい言葉をしっているのです!!
マスターはにっこりと満足そうに微笑んで、よしと腰に手を当てる。
「よろしい。今すぐ使えないというだけで、ちゃんと魔法つかえるようになるからね?」
「はいっ!」
「じゃあ、そういうわけでこれにまず魔力をためてみてね。はじめてだから2個くらい目指しましょうか」
「はーいっ!!」
手渡されたコルジェとセッシェをぎゅっと握りしめる。
ラーラはやるのです!
そしてマスターのお墨付きをもらって転移魔法をまず習得します。そしたら逃げ放題遊び放題ですもんねっ。がんばりますよ!
「じゃあ残りはわしらが下処理するぞい。シア嬢、どうしたらよいかの」
「助かるわ。じゃあ料理長たちにはセロを魔力こめつつ削ってもらっていいかしら。あとこの粉をこれだけ混ぜて・・・」
「ふむ。なかなかに気を使うのぉ、腕がなるわい」
「爆発しないように気をつけてね」
「はっはっは、そうじゃな、気をつけねばボンっとなって黒焦げじゃな。ふむ、ものども、気合い入れてかかれよぃ! 焦げてもいいが器具と素材を炭にするんじゃないぞ!!」
「「「「「はいっ!」」」」」
・・・ら、ラーラの傍で爆発しないでくださいね?
黒焦げはちょっとヤです。
ま・・・まいど、すみません。
お越しいただいてありがとうございます(>w<;)!!
おまたせいたしましたスライディング土下座再び(汗)
またどうぞ、お暇ができましたら読んでやってくださいv 次回、気長におまちいただけるとうれしいです<(_ _;)>もうしわけない!




