番外2
マリア&キャサリン
本編とイメージが違います。
嫌な方は注意を。
マリアの婚約者はとても格好いい人だった。
無口で、ぶっきらぼうだけどちゃんと彼女を大切に見つめていて、彼女の暴走をフォローしている。
「全然笑わないし、話さないでしょ。だから周りからは結構怖がられてて。でもねいつも私をそっとフォローしてくれてて、側に居てくれるのが本当に自然なの」
マリアが頬を染めながら話す。本当に彼のことが大好きなんだってわかる。
今日は女子会だ。
「でも、本当は、金髪のキラキラ王子様に昔から憧れてたの、あの、ジェフリー様みたいな、ね」
「えっ!そうですの?
だってガブリオ様は黒髪よね?それに」
とても素敵な方だけど、キラキラ王子様とは180度違う。男らしい、そう、武士みたいな人なのだ。
マリアがひっそりと意味ありげに笑う。
「うん、そうなの。今はガブリンが一番格好いいし、大好きよ。でも、昔、昔ね。」
私は今日、マリアを「女子会しよう」と誘った。
あれから随分たって、親友のように仲良くなったから、
もしかして?と感じていたモヤモヤを、直接的ではなく、こちらにはない言葉で誘ってみたのだ。
マリアは目を見開いたが、すぐにニヤリとすると「恋ばなしよ!」と笑った。
「でも、ジェフリー様は結構ヘタレよね。だってキスもまだなんでしょ?」
「えっ?ジ、ジェフリー様はそんなんじゃないわよ。とても、とても繊細な方なの。私の嫌がることは、絶対されないわ」
「嫌なの?」
「…嫌…じゃない、けど」
「キャサリン様可愛い!真っ赤だよ~」
「でも、さ、」
急に真剣な声になってマリアが切り出しました。
「キャサリン様も、…転生者、なんだよ、ね?」
「そう、よ。マリア、貴方も」
もしかして?が、勘違いなら、頭がおかしいと言われかねない言葉をマリアから切り出してくれました。
本当に勇気のある人です。ありがとう。誘ったのは自分なのに、自分が恥ずかしい。
マリアの顔が歪みます。
「私、自分の頭がおかしくなっちゃったんじゃないかって、凄く悩んだ。夢かなって思ったし、でも現実で」
マリアの気持ちはそのまま私の気持ちと一緒でした。
「私も、私も一緒だよ。ずっと心細かった」
私達は暫く抱き合い、泣きながら話をしました。。
この世界で初めてこの話を出来る人に会えたから。
私の、私達の頭がおかしいんじゃない。本当の記憶なんだって。
「でもさ、なんか乙女ゲームか!って位イケメンの多い世界よね。私の髪もこんなだし」
マリアはピンクの髪を摘まみながら言います。
「……乙女ゲーム、だよ」
「!!本当に?!」
「マリアがヒロイン」
「!!!!!?」
マリアは口をパクパクさせて固まっていました。
こんな漫画みたいなリアクション初めて見たな、と冷静に観察してしまいました。ごめんね。
やっと立ち直ったマリアが
「通りで、イケメンとばかり知り合うな、と」
と、呟きました。
あなたがヒロインで、良かった。
「因みに私が悪役令嬢ですよ」
拙いお話を呼んでいただきありがとうございました。