6.相談
「そんな事があったの!?」
「……はい。どうしたらいいですか?」
突然エリシャから難題を突きつけられたフランは、先輩演出家のライ・レパルスを次の日に昼食に誘い、相談にのってもらうことにした。
「面白い事になってきたね」
「面白がらないでください。僕は仕事は仕事で考えたいんです」
ライは劇団の中でも、フランの事情を知っている数少ない人物だった。ライはおおらかに笑う。彼の八重歯が印象的にキラリと見える。
「日々一緒に切磋琢磨する間柄になると、男同士だとしても恋仲になる事はある話だ」
「そうなんですか? この劇団では聞いた事なかったです」
「フラン君は今まで仕事で一生懸命だったから、そこまで気にしてなかっただけだよ」
ライは食後に出てきた珈琲を1口含む。
「まぁ、そんなに片意地はらないで、役者とプライベートで一緒に遊ぶと思えばいいんじゃないの?」
「そうでしょうか?」
「僕も仲のいい役者と遊ぶ事はあるよ。まぁ、この劇団は独身男性という条件はあるが、恋愛禁止という訳じゃない。そういう関係も否定しない」
「はぁ……」
「ただ、そういう関係が泥沼化して公演に響くのはダメだからね」
ライの眼光がキラリと光る。新人公演で恋愛が泥沼になってくると、当然、本公演にも響いてくる。面白がるが変な方向には行くなと遠回しに釘をさしたのだろう。
「……わかりました」
ライだけは敵に回したくない。フランは目を伏せがちに頷くしか出来なかった。




