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現実世界と魔法少女の交流  作者: 藤崎 紫
19/20

セレスの気持ちと覚悟

長らくお待たせしてしまいすみません。


 レオンから相談を受けたカノンが家に着いたときには既にエーデル・セレスが帰ってきていた。

 カノンが家の扉を開けるなり、心配してリビングから出てきた。その顔はまるで親が子供を心配するような顔だった。玄関で沈黙が流れる。しかしその沈黙は長くは続かず、セレス・エーデルの顔にゆとりが出てきてカノンをリビングに招き入れる。しかしカノンは「荷物を部屋に置かせて欲しい」といい、自室へと向かってしまった。このとき初めてカノンはエーデル・セレスの回答を待たずに動いたことに2人はまたもや動揺の顔を見せた。


 自室に入ったカノンは部屋の扉の鍵を閉めるとその場に座り込んでしまった。

 今、カノンが考えているのはレオンに対しての回答だった。普通の恋愛相談なら、互いをよく知っているのであればあの回答は間違いではなかっただろう。

 もちろんセレスとレオンも互いには自分以上にお互いをよく知っているのだろう。

 あのときはセレスを魔法使いの先輩として魔法界の掟で答えを導いてしまった。

 そのこと自体が間違いだったのではなかったのだろうか?現実世界にいる以上、魔法使いであろうと人であろうと同じなのでは無いだろうか?互いが好きなら、成立するのではとという解答が浮かんだところでカノンの部屋をノックする音が聞こえる。カノンは急いで荷物を片付けて、表情を明るくして鍵を開けて扉を開いた。


 扉の前に立っていたのはセレスだった。

 セレスは「夕食の支度をエーデルがしてくれているから、外の三日月が綺麗だから散歩しない?」とカノンを誘ってきた。カノンとしては気分では無かったが、その時のセレスの顔はいつもと違って悲しげでカノンの事が心配でしょうがないという顔をしていた。カノンは無言で頷いて、玄関を出た。その時にリビングにいるエーデルが「行ってらっしゃい。」と口が動いていたように見えた。


 セレスとカノンは家の近くにある丘まで来て、その丘の芝に腰を下ろした。

 2人に会話はない。お互いが夜の風景を見ていた。ただ違うのはセレスは何かちゃんとした意思があり、カノンには意思がなく揺れていたことだった。どのくらい時間が経っただろうかセレスがカノンに語りかけてきた。その顔は寂しげな感じを漂わせる。

 「今日のような夜を見てると昔を思い出すの。」

 カノンが「昔とはいつのことですか?」と聞く。

 「現実世界に初めて移り住んだ日の夜。魔法界を去り、現実世界で生きることが本当に正しいことだったのか?と悩んで、家から出てこの丘にいた。そして今のように月を見てた。でも悩んでいても仕方がないと思った。エーデルはそうではないかもしれないけど、私はエリスに感謝している。会えなくなってしまった今でも。だから私は私の周りだけは悲しい思いをさせたくないと思ってしまう。笑顔がいて欲しいと思ってしまう。」

 一呼吸空けて、セレスがカノンの顔をのぞき込む。

 「今日、レオンから相談を受けたってエーデルから聞いたけど、その内容について聞きだそうとは思っていない。といってもカノン、顔に出るタイプみたいだから、どうせ私かエーデルかの悩みなのでしょうけど。

そうでなければカノン、貴女はそんなに悩むような顔をしない。」

 カノンはバレていると思いながらも必死でしらばっくれようとする。

 その顔を見て、セレスは笑いながら「ほら、そうやって無理しようとしているとこがわかりやすいの。」

 カノンは少し泣きそうな顔をしてセレスを睨む。

 セレスは「ごめんね。でもちゃんとはっきりさせておかないといけなくて。」謝りながらも目は真剣な眼差しになっていた。

 「前から彼はどちらかに気があるんじゃないかなという素振りがあったの。でもそれを表に出して違ったら恥ずかしいから、知らない振りしていたの。」

 セレスはそう答えながら少し表情を固くする。

 カノンがセレスに不安そうに聞く。「もし、レオンさんが好きですといってきたらどうするのですか?」

 セレスはカノンを見て「そんな事聞いてどうするのという顔をする?」

 しかし、カノンの表情は真剣そのものだったためセレスは少し間を置いて答えることにした。

 「もし彼が私に好意があったとしても,今はお断りするかな。あくまで”今は”なんだけど。」

 カノンはすんなり答えてくれるとは思ってなかったので,驚いたがその言葉が嘘ではないと断言できるほどの説得力があると思った。

 セレスはカノンの表情を見てから「そろそろ夕食になりそうだから戻ろうと」立ち上がって手を差し伸べてくれた。このときだけはカノンはその手を取って握り,家に戻った。


 夕食後、カノンはすぐに自室で眠ってしまった。やはり身内の話の相談は彼女には早すぎたのだろう。


 そのカノンが眠ったことを確認してリビングではセレスとエーデルがルイボスティーを飲みながら、セレスが自分とカノンの丘の上での話の顛末をエーデルに話していた。

 聞き終えたエーデルは一言「直接本人に言ってくればいいのに」と少し不機嫌な顔をしていた。

 その顔を見たセレスは「仕方ないよ。直接言えないことって多いと思うよ。私達だってあるでしょう?」とエーデルをなだめた。

 「でも良かったじゃないかな?カノン自身でなかったことについては。それにいずれ決着は付くような気がするよ。」

 セレスは少し微笑みながらルイボスティーに口をつける。

 エーデルはその意味ありげな言葉を鵜呑みにしつつ、ルイボスティーを飲み干して、ティーカップをシンクに置いて自室に戻っていった。


 毎回のことながら、読んでいただきありがとうございます。最初の予定ではレオンつながりで書こうかなと思っていたのですが、レオンの気持ちを紡いでおいてセレスの気持ちを紡がないのはあんまり面白くないような気がしたので。(小説的には読者に考えさせる部分を与えてないからどうなんだろうと思うのですが)

 

更新の日時が伸びてごめんなさい。いろいろと私事があり、今後もお待たせする日々が続いてしまいますが、続けてはいくつもりですので、どうかよろしくお願いいたします。



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