レオンの告白
レオン回です。
フレイブルグの空には星々がきらめき、漆黒とまではいかない紫の混じった黒色の空が覆っている。
普段の喫茶店ポニーは既に消灯されているのですが、今日に限ってはレオンとカノンがホールの机を借りてレオンが作ってくれたコーヒーを自分の手元にとサンドイッチを机の真ん中に置き、向かい合った状態で座っている。
ちなみにエーデルやシャルには相当反対された。いくら仕事仲間であっても異性と二人きりで夜にお茶会するとなると何か良からぬことが起こるかもしれないと思ったのだろう。
ギャギャわめく二人を説得したのは店長のユーリで、お店の新商品の開発のための食材を一緒に考えて欲しいというお願いに彼女ら2人はユーリのお家へと行くことになったのである。
話は戻り、レオンとカノンの会話は職場での仕事の指示とかで以外ならこれが初めてとなる。機会はあったのだが執拗にセレスやエーデルがカノンを離さなかった。必ずどちらかがいるという状況だったため、レオンは声が掛けにくかった。それを見ていたユーリはセレスが休む今日を狙ってみてはとアドバイスを送ったのだ。
結果、うまく事が運び、2人という状態になったわけで。
2人がコーヒーの入ったカップに口をつけるとレオンが口火を切った。
「カノンさん、最近どう?お店での仕事とかで悩みあったりする?」
「大丈夫です。皆さん親切に教えてくれますし、習得のコツや自分の経験談とか織り交ぜているので内容が実践的でとてもわかりやすいです。それよりもレオンさんの方に何かあるのでは?明日もありますし、本当に私でいいのならお聞きしますが。」
「そうですね。あまり焦らしていてもお話は進みませんから。お話の前に約束して貰えますか?この話誰にも言わないって。」
カノンは予想通りの流れだなと感じた。しかし、話を聞けば協力者にならなければならない可能性は大きい。でも答えはレオンに誘われた時点で決めていた。
「わかりました。内容によってはレオンさんの許可を貰って、協力者を増やす可能性がありますが、現状では誰にもお話するつもりはありません。」真剣な眼差しをレオンに向けた。
レオンは少し驚いた様子だが、すぐに立て直して「ありがとう」と深々と頭を下げた。
前提部分が終わった所でカノンはレオンに投げかける。
「どのようなお話なのでしょうか?そして何故私だったのでしょうか?」
レオンは言葉に出す前に一度息を吐いた。そして話始めた。
「私はセレスのことが好きなんです。誰にでも優しく、辛い時には手を差し伸べてくれる。料理についても私よりうまいですし、何より容姿がタイプだった。私がこのお店に就職したのも彼女と話せる機会を増やしたかったという理由なんです。結果としては仕事仲間としては認知して貰えているのかなという感じです。」レオンは彼女の良い所を挙げていった。
話が途中切れた所でカノンがレオンの目を見て、「セレスさんはこのことは知らないんですよね?」
と聞いた。レオンは頷いた。
しかしレオンは「ただ、何度かお茶に誘ったことはあります。とても幸せな時間でした。」と返す。
カノンはセレスの気持ちを一緒に住んでることでなんとなくだが理解している。彼女は間違いなく心に決めた相手はいないかもしれないが、その相手になるのは相当な所まで知らなければならない。
元・魔法使いの彼女は簡単に結婚することはできないのである。現実世界ではどうか知らないが魔法界は魔法使い同士の結婚が義務付けになり、才覚あふれるものはなお、望んだ結婚など出来はしない。
故にレオンの告白にカノンは何も返すことができない。それはセレスの正体を明かすことと同義語で別世界について話しただけでカノンの課題は中止となるレベルなのだから。
でも何か返さなくてはと思い、「どういう答えが返ってきても後悔しないのであれば今度告白してみればいいと思いますよ。」これがカノンの精一杯の気持ちだった。
レオンはカノンがうつむいてしまったことに不可解を抱きながら,ありがとうと答えた。
時計の針は夜の9時。2時間ほど話をしていたようだった。もっともカノンにはそれ以上に感じられたが。
レオンは片付けはこちらでやっておくので先に戻っていいよと言われた。
カノンはきれいな三日月を見ながら,あんな回答で良かったのかと自分のボキャブラリーと経験の無さを悔やんだ。
ここまでお読み頂きありがとうございます。セレス✖レオンは当初から考えていた構図です。まぁレオンが告白してないので正直どうなるかは今後の展開次第です。
一応予定としてはもう一つレオンのお話を書きたいと思っております。いつになるのやら。
毎回、この作品にお付き合い頂きありがとうございます。この作品を読んで少しでも良かったと思えたら幸いです。