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現実世界と魔法少女の交流  作者: 藤崎 紫
17/20

カノン、初めての相談者現る

お待たせしました。前回の話と同じ軸での喫茶店での話です


 日曜礼拝の翌日、喫茶店ポニーの店内はいつものように活気に満ちていた。店内は自慢のコーヒーの香りがお客の心を躍らせる。そのコーヒーを飲みながら読書に耽る初老の紳士や書類をテーブルに広げながら、コーヒー片手に読んでいるサラリーマン、お店の人気であるケーキを食べながら楽しく談笑するカップルと世代は異なれど、店内の雰囲気に惹かれて訪れていることは容易にわかる。


 カノンは最近になってやっとお客の満足気の顔を見ながら働けるだけ、余裕や周りが見えるようになってきた。最初のうちはあたふたとした部分も多かった。(そのあどけなさがカノンの容姿とマッチングして来ているお客がいないわけでも無かったが)今はそんなこともなく、常連のお客と世間話をしながらちゃんと注文も取れるくらいの経験を得ていた。


 今日のポニーにセレスの姿はない。ちょっとした用事があってお休みを取っている。そのためカノンやエーデルのホールでの仕事はその分多い。このお店は元々、セレス・エーデルの容姿と店長やレオンの軽食類を売りにしているのと、彼女たちが気まぐれで始めたお悩み相談がうまく当たり、今では相談目当てのお客も多い。

最近はカノンが指名されることも多くなり、エーデルがお仕事が終わってからレクチャーしている。


 今日もカノンに相談の指名が入った。時間帯としては午後の3時。高校から直接来るシャルがカノンのサポートとしてホールで注文を取る。話を戻して今日の相談相手は20代後半の男性からだった。内容としては最近好きな女性が出来たのですが、どうアプローチすればいいかわからない。カノンちゃんならどういうアプローチされると嬉しい?という内容だった。

 

 カノンは「いきなり、声を掛けられても私なら困ってしまいますね。まずは知り合いになるところから始める。きっかけは何か共通の話題があればそれで一気に進むと思いますが、そうでなければその相手が困っているところにさりげなくフォローを入れたりして、相手に貴方の存在を認識させるということが重要ですね。」

 「えっとカノンちゃん、その部分は大丈夫で後は声をかけるタイミングだけなんだ。既に彼女が好きな映画のチケットとか用意できているし。」

 「ごめんなさい。それなら、それとなく誘ってみるのは?仕事帰りとかに夕食やお茶していきませんかとかテンプレみたいな誘い文句だけど、一番効果が出やすい気がするけど。」

 「その子、結構男性からモテる子でこちらがとりつく場所がなくて」男性は少ししょんぼりする。

 「挑戦したことあるんですか?お茶に誘ったこととかあるんですか?」男性の顔色を見ながら諭すようにカノンは聞いた。

 「勇気が出なくて、誘ったことないんです。」少し泣きそうな顔をして男性は答えた。

 「なら、どう転ぶかわからないじゃないですか?まずは誘ってみて、自分が想っていた彼女と同じか確認してからでも遅くはないですよ。彼女に気があればお茶くらいは一緒にしてくれると思いますよ。仮に断られてしまったら、その時はまた対策を考えましょう。」

 「それに私なら、誘ってもらえたら嬉しいと思ってしまいますから。」

 カノンは男性に勇気を与えるように微笑みを浮かべながら、男性の手を握った。


 その後、注文していたコーヒーとケーキのセットを食べて男性はお店を出た。

 お店を出たタイミングで珍しくレオンが声をかけてきた。

 「カノンさんも成長したよな?最初の頃、恋愛相談なんて来たら、すぐにセレスにバトン渡してたし。」

 「私もこのままではまずいと思って、日夜勉強しているんです。」

 「ただ、先輩として一言だが、最後のはやり過ぎだぞ。あれでは自分に気があると思われ兼ねない。あの場面ではな・・・。」

 レオンはカノンの右手を握り直角に腰を折り「自分に自信を持ってください」といった。

 カノンは一瞬ドッキリしたが、レオンはケロとしている。

 「このくらいじゃないといけ・・・」「それもダメだろうが」後ろからエーデルがパンフを丸めた棒でレオンの頭を叩いた。

 レオンは頭をさすりながら、何するんだこのやろうみたいな顔で睨んでいた。

 エーデルはカノンを自分に引き寄せて、まるでゴミを見るような目でレオンを見た。

 カノンはエーデルに抱かれながら店内を見渡す。店内には何人か人がいるので喧嘩になるのなら止めなくていけないのだが、その前に店長がチョコレートケーキを1ホール焼いて、厨房からホールに出てきて、今いるお客様に無料で提供という活きな働きによって喫茶店の空気は元に戻った。


 喫茶店の終業時刻となり、メンバーは黙々と片付けをしていく。ここでもカノンは自分の役割をしっかり全うしていた。その後、帰宅するため、ロッカールームに入り、普段着に着替え、エーデルを待っていると厨房にはレオンがいた。時より終業後も厨房で作業している姿を見るが、今日は一段と目が真剣だった。

 

 その姿に少し見とれていたカノンだが、レオンの言葉で意識を戻す。

 「カノンさん,お疲れ。あとさっきは悪かったな。」

 「いえ,気にしないでください。」

 「カノンさん,少し時間あるか?相談したいことがあるんだ。出来ればお店の皆には聞かれたくなくて。別にカノンさんを仲間と見てないわけではないが,喫茶店に勤めてまだ日が浅く,思慮もよい。出来たらお願いしたい。」レオンは頭を下げていた。それを断ることをカノンは出来なかった。

 


 

 

ここまでお読み戴きありがとうございました。いろいろ考えていたら,1週間になっていました。お待たせしてごめんなさい。(もし待っていた方がいらっしゃたら)とりあえずこの話の続きをそのまま投稿しますのでよろしければそちらもお読みいただけるとありがたいです。感想・評価などつけて頂ければ 頑張れますので。

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