表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実世界と魔法少女の交流  作者: 藤崎 紫
12/20

賛美歌に乗せた祈り

セレスとエーデル視点のお話です。


 人には多くの選択肢が存在する。その選択は自覚・無自覚関係なく選ばれる。

 だから選択に失敗したときに「あの時に戻れたら」と考えるのだろう。でもそれは間違いで仮に過去へ行けて間違いを直したとしても、それとは別の部分で本来起こらなかったはずの所で間違えてしまうだろう。

 昔から人は過ちを起こさぬようにと主に願うのだろう。



 時は賛美歌を歌う直後まで遡る。


 〈視点 セレス〉

 セレスは敬虔な信徒だ。毎日、自室で祈りを捧げてからリビングに出てくる。それは彼女の生い立ちによって形成されていったものだ。彼女の今の生活は満ち足りている。それは同居人との出会いが全てだった。彼女は小さい頃に両親を失っている。そのため協会所属の施設での暮らしが長かった。昔から笑顔が素敵な活発少女だったため、周りからの信頼も厚く常に人のお世話をするのが好きな少女だった。

 でもそれは表の顔であり、本当は誰かに寄りかかっていたかった。支えて欲しかった。それを心にしまい、いつものように笑ってごまかしていた。

 そんな彼女にも出会いが訪れる。それは施設から協会の学校に入り、日課の魔法の練習をするため訓練室に行った時だった。訓練室に入ると誰かが魔法の練習をしていた。セレスは驚いた。

 なぜならセレスの成績は常に上位だったが、それは隠れてやっていることが多く今日も誰もいない朝方を狙ってきていたのだ。(訓練室は常時開放されているが、基本放課後に練習となっていた。)

 その人物こそ、セレスより上位の成績だったエーデルだった。彼女の表情には疲労が見えて、汗も相当出ていた。エーデルはセレスが自分を見てる事など気にせず練習していた。その姿は普段、静かで近寄りがたい彼女とは程遠いものだった。数分後エーデルが訓練室から出てくる。セレスは彼女にタオルを渡す。

 そして「お疲れ様。エーデルワイスさん。朝早いんだね?」と声をかける。

 エーデルはそのタオルを使わずに返して、そのまま出て行ってしまった。

 これが彼女達2人のファーストコンタクトとなる。その後、講義や実技などでパーティを組むようになりお互いをセレス・エーデルと呼び合う仲までになった。

 そんな彼女たちにも事件が起こる。その事件によりセレスはふさぎ込んでしまった。それを立ち直らせたのがエーデルであり、当時人とうまく話せなかった彼女がセレスの衝動を全て受け止めた。

 それはセレスが一番欲しかったものだったのだ。これ以降彼女たちはこれまで以上に一緒に行動することが多くなり、そのことがエーデルの人見知りを解消するきっかけになったことはセレスは知らない。

 

 だから彼女はいつも賛美歌に乗せて祈る。この幸せが1秒でも続きますようにと。



〈視点 エーデル〉

 エーデルは主を信じてはいない。セレスのお供でよく礼拝に参加していたということで今も参加しているし今後も参加するだろう。エーデルにとってセレスは寡黙で人見知りだった自分を変えてくれた友達であり本心として、こちらでの生活は気に入っている。

 しかし、数日前からの同居人カノンを見ているとある人を思い出してしまう。それが彼女の中に今も魔法界への未練として残っている。

 そのある人とはカノンの師であり、自分達の同級生であったエリスのことである。

 エリス・セレス・エーデルの3人は同級生の中でも優秀で何かとよく組まされていた。

 活発で笑顔がまぶしいセレス,数百年の天才と呼ばれ教師ですら敵なしのエリス、研ぎ澄まされた魔力を持ち、魔法感知が高いエーデル。セレスとは魔法での差は変わらなかったがエリスについてはどんどん引き離されていく感じがして、自分でも惨めなくらい嫉妬した。今思うとそれが間違いだったと思う程に。

 学生生活最終課題で事件が起きた。それは誰も予測できないことだった。この事件でセレスは一時ふさぎ込み、エリスは協会から行為の全てを自分の責任として、その罰として魔法界を離れられなくなった。

 

 事件後の協会での取り調べでエリスは「エーデルもセレスも悪くは無いんです。全て私が起こしてしまった。セレスを怖がらせてしまい,エーデルにも深い傷を残してしまった。全て私の責任にしてください。お願いします。」涙ながらに訴えていたと自分の担任から聞いた。

 その話を聞いて部屋に戻ったエーデルはベットの中で泣き崩れた。彼女は私たちを助けてくれただけなのに。その彼女が責任を負い,私たちは負わないのかと。

 その時思い知らされる彼女が背負っていたものの大きさを。自分はなんて小さいことに嫉妬していたのだろうと。

 結局,エリスという最高の魔法使いを小間使い出来る事案として上層部は見て,エリスの要望通りとなった。その後、エーデル、セレスともにエリスには会わせて貰えなかった。

 唯一手紙をくれるが内容はいつも自分たちを心配することばかり。

 エーデルは彼女に深く感謝と罪悪感を抱いている。


 だから,そのエリスの弟子であるカノンには同じようになって欲しくないと祈る。

 そして賛美歌に乗せて祈るのはエリスへの因果が解除されることとセレス・エリスの2人が幸せに生きてくれることなのだ。



 こうして歌詞は同じであれど,祈る気持ちはそれぞれ違う。でも2人に共通することは今の自分を見据えていきていくという想いでありそれが変わることはないだろう。

 

 

 


 読んでいただき,ありがとうございます。今回のお話は最初の段階から考えていたものです。そしてお話として紡ぐか迷ったものでもあります。理由としては需要がないかもしれないと思ったからです。

 なので,読んでいて面白くなかったかもしれません。ごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ