10/10
9,電話
9時半。
朝ご飯の片づけ、洗濯を終えて、あたしは少しの間、休憩をしていた。
ベッドで横になり、適当にファッション雑誌を開いてみる。
秋冬に流行るものや、恋愛についてなどパラパラとページをめくっていく。
~~~♪ ~~~♪
突然、部屋の中に携帯の着信音が鳴り響いた。
「土曜のこんな朝に誰よ」
携帯のディスプレイには名前表記はなく、携帯番号だけが表示されていた。
・・・?
「・・・・もしもし?」
誰かが携帯番号を変えたのかもしれないと思い、通話ボタンを押してみる。
『あぁ、杏菜? 俺だけど』
聞こえてくるのは、やけに馴れ馴れしい男の人。
誰? 学校の人??
「えっと・・・あの・・・」
『今、何してた? って勉強か、受験だもんな』
あたしのとまどいはお構いなしに、電話の主はどんどん話しを進めてしまう。
何なんだ、この人。
『なぁ、今日さ・・・デートしない?』
「もしかして・・・宮田先輩?」
あたしがそう言うと、「今さら気づいたのかよ」と笑い声が聞こえた。
そして、改めて。
『杏菜、デートしようよ』
少し低めの優しいゆったりとした声音。
心臓がドキドキと早くなっていくのがわかる。