任務1ー王子様を暗殺者から守れ3-
「最初から気づかれてたんですね・・・。」
なんかもう姿隠してるのもめんどくさくなってきた。
私はひょいっと植木の影から出た。
「ッ!」すると王子様が息を飲んだ。
「?・・・どうかしましたかー?」私は王子様にそんな反応される理由がわからず首をかしげる。
・・・はっ!!私がいきなり飛び出したから警戒されてしまったのか!!
「あっ、警戒しなくて大丈夫ですよ!!王子様に危害を加えようなんて思ってもないですから!!」
私、怖くないよ!!と手をぶんぶん振って何も持ってないよアピールをする。
「あっ、いや、警戒してる訳じゃない。お前が俺を暗殺するつもりなら、もうとっくに仕掛けてきてるだろ。三日間何もしてこなかった・・・いや、むしろ助けてくれてたのに今更疑える訳ない。」
ふぉ~、助けてたこともバレてましたか!!なんかこう、改めて言われると照れますなー。
「それで、お前は何で俺をつけてた?」
・・・えーと、それは・・・。
なんて説明しよう!!あなたを人間不信にさせない為にです!!なんて言っても、はぁ?と言われてしまうことでしょう。
うーん・・・
「そうだ!王子様、すごい情報知りたくないですか!!」
「すごい勢いで話題かえたな・・・。」
王子様が呆れたようにこっちを見てくる。
まぁまぁ、そんな些細な事気にしないで、これを見てくださいよ。
私は隠し持っていた紙の束を取り出す。
「ん?なんだ、それは?」
おっ!王子様興味持ってくれましたね!!
なんと、この紙束にはですね、
「これには、王子様の弟派貴族の不正の証拠が事細かに書いてあるんですよー!!」
「!!それは本当かっ!!」
本当ですよー。なんてったってこの私がこの三日間、夜に貴族の屋敷に忍び込んでゲットした情報ですからねー!!
「王子様!キャッチしてください!!」
ぽーいっと王子様に紙束を投げます。
私は一応不審者なのであんまり近づいちゃいけないかなーと思って。
でも、悲しいかな、能力のない私はただの女の子なのです。
能力を使わずに普通に投げた紙束は王子様の1メートル先に着地。
紙束は本みたいにまとめてあったから散らばりはしなかったが、パサッ・・・と地面に落ちる音が妙に寂しく響く。
「すまない、キャッチできなくて・・・。」
うぅ、そんな慰めしないでください・・・よけいへこむ・・。
私は恥ずかしさや、情けなさでその場で小さくなった。
「えっと、そう落ち込むな。」
いきなり近くで声が聞こえて、思わず顔を上げると目の前に王子様の綺麗な顔があった。
「うわぁっ!!私、一応不審者ですよ!!」近づかない方がいいよ!!と後ろに下がる。
ただでさえ綺麗な顔なのにこんな近くにあったら心臓に悪い!!
「えーとそうだな、・・・それで、こんな情報持ってきてお前は何をしたいんだ?」
王子様は少し距離を取りながら聞いてくる。
「何をしたいか?ですか?そうですねぇ・・・王子様の次の誕生日まで王子様が暗殺されないように護衛したいです!!ですから、その情報あげるので、不法侵入は見逃してください・・・。」
たしかゲームでは王子様が八歳の時に生死の境をさまよったはずだから次の誕生日までに王子様が暗殺されなければ設定がおかしくなる、つまり、バクの任務大成功になるわけです!!
その為に、なんとしても王子様を九歳まで守り抜いてみせます!!
「次の誕生日って・・・俺、四日前に八歳になったばっかりなんだが・・・一年そばにいるつもりか?」
「はいっ!!」もちろんですとも!!
「・・・そうか、まぁ、がんばれ。」
おぉ、これは護衛の許可が出たってことでいいですよね?!
「あっ、そうだ、王子様一つ聞いていいですかー?」
「なんだ?」
「王子様の名前ってなんですか?」
「しらなかったのかよっ!!」
えぇ、ゲーム知識はありますが人の名前覚えるのって苦手なんですよねー。
こんな感じで一年間、王子様、えっと名前はアル(もっと長い名前だったけどアルしか覚えれなかった)の護衛することが決まりましたー。パチパチ(拍手)
登場人物の名前は外国とか日本とか関係なく好きな名前つけてます。
でも舞台は王宮とかちょっとヨーロッパチックです。