第36話命の対話、そして願いの果て
1日に6話も投稿してすみません。少し終わりが見えて、気が早くなっちゃったかな
第36話(if):命の対話、そして願いの果て
降り注ぐ光の柱のなかで、セレスは一歩を踏み出す。
彼女の背にはルカ、そしてクロウとエリスの姿。彼らは、ただ彼女を見つめていた。
「わたしの歌は……もう、誰かを傷つけたりしない。わたしは、歌を“救うため”に使いたいの」
セレスの声は震えていなかった。
むしろ、あまりに静かで、あまりに澄んでいた。
「この力は“理不尽”なんかじゃない。あなたが決めるものでも、世界が裁くものでもない。わたしが、選ぶの」
概念の霊は黙って空に浮かんでいた。
その視線は感情を持たないままだ。けれど、それでも、何かを考えているように見えた。
「たとえ、この身が滅びようと……私は、願う。未来が、誰かを拒まないものであるように」
セレスの身体が微かに光を放ちはじめる。
彼女の命そのものが、「力」として放出されていく――。
「だめだ、セレス!」
ルカが叫ぶ。
だが、彼女の足は、震えて動けない。
「いいの、ルカ。これは……わたしの“決意”だから」
静かに、微笑みながら振り返るセレス。
その眼差しは、過去の痛みと、現在の温もりと、未来への願いを宿していた。
「歌って、きたの。誰にも届かなくても。それでも、今日ここで――やっと、“誰かのため”に歌えるの」
静寂の中、セレスの歌が世界に響く。
それは――祈りのような旋律だった。
それは――命を慈しむ光だった。
それは――拒絶ではなく、受容を選ぶ“言葉”だった。
やがて、霊の輪郭がゆっくりと揺らぎ、霧のように崩れていく。
「……わたしたちは……ようやく……」
小さな声が風に溶けて消えた。
それは、あの霊的存在の“最後の言葉”だったのかもしれない。
セレスの身体が、光のなかで揺れる。
「セレス!!」
クロウが駆け寄ろうとする。
だが、次の瞬間――
「ピピピピピッ……!」
突如、空間に不自然な電子音が響いた。
まるで、目覚まし時計のような――それでいて、どこか懐かしい“音”。
「……もう、時間切れみたいだね」
その声は――彼だった。
主人公が、どこか笑っていた。
「ここで、終わらせないよ。君が死ぬなんて、俺が許さない」
彼が手をかざすと、光の奔流が逆流する。
セレスの身体が、砕けかけた命の粒子が、奇跡のように繋ぎ止められていく。
「無茶だよ、そんなの……!」
ルカが叫ぶ。けれど、涙は止まらなかった。
「チートなんだ、俺は。君たちを救うって、決めてるから」
彼はそう言って、少しだけ寂しそうに笑った。
そして、セレスは目を開ける。
「……夢、じゃないんだね」
その目に浮かぶ涙は、静かな安堵と、深い感謝に満ちていた。
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次回予告(第37話 if):
「歌のない世界、そして始まりの朝」
すべての戦いの果てに、彼らが選び取った未来とは――。
主人公ようやくきた〜〜




