第31話選ばれし者の問い
第31話(if):選ばれし者の問い
魂の扉を抜けた先は、どこまでも白く、静かな世界だった。空も地面も境界はなく、ただ光の粒が漂っているだけ。
セレスが小さく呟く。「ここが……試練の場?」
「気をつけろ。何か来る」主人公が言った瞬間、光の粒が渦を巻くように集まり、ひとつの人影を形作った。
それは“霊なる存在”とは異なる、穏やかな雰囲気を持った人物だった。長い白髪に、年齢も性別も感じさせない顔立ち。
「ようこそ、才能を持ちすぎた者たちよ。ここは魂が本質と向き合う場所。お前たち自身が問いを立て、答えを出すのだ」
「問い……?」ルカが首を傾げる。
人物は微笑むように言った。「お前たちは、才能ゆえに恐れられ、封じられ、否定されてきた。しかし、本当に問うべきは……その才能を、どう生きるかだ」
空間が揺らぎ、それぞれの足元に光の円が現れる。
「一人ずつ、内なる問いと対話せよ。それが、この試練の意味だ」
最初に選ばれたのは、セレスだった。
彼女の前に現れたのは、かつて彼女を迫害した村の人々の幻影。そして、母の姿。
「お前の声は、人を狂わせる。お前は災厄だ」
「どうして、そんなことを……!」セレスは震える。
だが、母の幻影が静かに問う。「それでも、歌いたいか?」
セレスは沈黙の中で、拳を握りしめる。そして、まっすぐに言葉を紡いだ。
「歌いたい。誰かを傷つけるのが怖くても、それでも私は……誰かの心を癒したい。あのとき、ルカのように」
光が弾け、幻影が溶けていく。
「……よく答えた」
穏やかな声が響く中、次に選ばれたのはクロウだった。
彼もまた、自らの過去と向き合うことになる。
──そして、全員が試練を越えたとき。
あの“霊なる存在”が再び姿を現す。
「お前たちは、選んだ。己の力と向き合い、それを生きることを」
その声に、主人公が問う。
「それでも、世界は僕たちを否定し続けるのか?」
霊は、ほんの少しだけ目を閉じると、こう答えた。
「世界は、変わることを恐れる。しかし、心ある者の選択は……変化の兆しとなる」
その言葉とともに、空間にひとつの“鍵”が出現する。
「これは、新たなる可能性への扉。その先は……お前たち自身が創る世界だ」
彼らは鍵を手に取り、扉の前に立つ。
誰もがもう迷っていなかった。
そして、旅は次なる章へ。
――世界を、否定から解放するために。




