第28話霊なる声と、選ばれし者たち
第28話(if):霊なる声と、選ばれし者たち
歌が止んだあとの世界は、まるで深い海の底のように静まり返っていた。
セレスとルカの歌が闇を裂き、希望を灯したその瞬間。 空間がわずかにひずみ、空気の色が変わる。
「……来るよ」
ルカが震える声でそう告げた刹那、そこに“それ”は現れた。
人の形をしていながら、何も宿していない。 光も、闇も、意志さえも持たない存在――霊のようでいて、概念の塊のような“何か”。
「あなたたちは……この世界の理に触れすぎた」
音もなく語られるその声は、脳髄を震わせる。
クロウが剣を構えるも、刃は震えていた。 「こいつが……“あの存在”か……!」
セレスは一歩前へ出て、声を振り絞った。 「私たちは、世界を壊したいわけじゃない。才能が、人を傷つける理由にはならない!」
霊のような存在は、微かに首を傾げた。
「世界は、限界を超えた力を排除するよう設計されている。お前たちは、例外ではない」
その言葉にルカが叫ぶ。 「それでも、私は……生きたい!誰かの歌になりたい!」
静寂が走る。
しばしの沈黙ののち、“それ”はわずかに揺れ、何かを「感じ取った」ように見えた。
「……ならば、証明してみろ」
霊は空へと姿を消した。 ただしその場には、“ひとつの扉”が残されていた。
それは、魂の本質に触れるための試練の入口。 歌と意志、そして命の物語の扉。
主人公が、静かに言う。 「行こう。これは、希望を繋ぐための旅だ」
ルカ、セレス、クロウ、エリス。 それぞれが強く頷き、扉の向こうへと歩みを進める。
そして、物語は「対話」と「選択」へ――。
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次回:【第29話(if)】「魂の試練、響き合う真実」
希望と絶望の境界を越えて、彼らの想いが世界の命運を揺らし始める。




