エピローグ
初めて家族四人で母の故郷の伯爵領で夏休みを過ごした時だった。
アルキスは従姉妹達に連れられて入った、野生馬の棲む森の中で、北の前国王とバッタリ出会った。
従姉妹達は「仲良しの白馬を紹介してあげる」と言って走って行ってしまった。
年上の従姉妹達に追い付けなかった彼は一人だった。兄は赤い髪なのに野生馬は大丈夫なのだろうか?と少し心配になったが、今は目の前にいる北の前国王から目が離せなかった。
「やあアルキス、君は女神に会ったことはあるかい?」
「あるよ。母様に似てるんだ。夢によく出てくるよ」
「そうか。女神は君に何を話すんだい?」
「何も。でもいつもニコニコしていて、優しく頭を撫でてくれるんだ」
「そうか。アルキス、北に来ないかい?君が愛して、死に場所にも選んだ北の大地だよ。サオリも待っているよマスオ」
「…その呼び名は好きじゃないよ。サオリが迎えに来てくれるかな?」
「ああゴメン。ヤスオか?タツヤスか?サオリはきっと行くよ」
「タツヤスも大層な名前だからなぁ。今はアルキスだよ。この名前は気に入っている」
「それは良かったよ。西の王族に感謝だな。サオリは君がリリちゃんの最初の息子じゃなくて驚いたみたいだよ」
「それは悪かったな。でもサオリはもう、私以上に旅を楽しんだかな?広い世界を見たがっていたからなぁ。私は北の女神様の元に行けるのを楽しみにしているよ。それまでは両親と兄を大切にする」
「リリちゃんはきっとビックリするな〜。アルキス、私も君の両親とその親族達をとっても大事に思っているよ」
〜遠くで自分の名前を呼ぶ声がする。
「うん。じゃあ行くね」
「ああ。また北で」
アルキスは、彼の名を呼ぶ声のほうに駆け出しながら思う。
当時は自分の方が老人だったのに、逆転したな…
その後、北の女神の夫に選ばれたアルキスが、女神の神殿で麦わら帽子にタンクトップの姿で目撃されるようになる。そんな彼の部屋には、彼の家族と墨絵のサオリの絵が掛かっているそうだ。
約20数年前〜(前作336話より)
「お礼に何か願いを叶えるわ。何がいい?」
「お前は何かないの?」
「私はスネイプニルに乗りたい!」
「そんな事でいいの?」
北の女神様はサオリを呼んで、サオリに何かを伝えている。
『サオリ、あの子は将来マスオの父親になるわよ。だからお前たちに乗せてあげて』
サオリはザック殿下を見て首を傾げているが、納得したのか鼻を「ブルルッ」と鳴らした。
「だけど毎日バナナが欲しいそうよ」
バナナはマスオに逢えるまでの報酬だ。
〜END〜
読了ありがとうございました。こちらで完結とさせていただきます。




