表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3姉妹令嬢の婚約  作者: 白石 透


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/20

海へ

 クリストフは目を見張った。なんて広さだ。水平線の向こうは空しか見えない。気づくと水面がうなり砂浜に押し寄せる。なんて高い波だ。大胆で不規則で荒々しい。そして砂浜にも驚いた。この地面全てが砂であるという事が、信じられない。足元にある、岩場を削った階段を降りると砂浜に行けるらしい。クリストフはユリウスを見た。ユリウスも興奮した顔で頷いた。


 ユリウスは逸る気持ちを押さえながら、砂浜に足を踏み入れた。一歩一歩が重い。なんて歩きづらいのだろう。波打ち際までなかなか近づかない。息が上がる。先を行くクリストフとは離れてゆくばかりだ。ようやく砂の色が変わり普通に歩けるようになった頃には、クリストフは既に足を浸けていた。


 冷たいようで生暖かさも感じる。波が引くと足の指から砂が流れ、くすぐったい。時折、強い波がぶつかって波しぶきが顔にまで飛んでくる。確かにしょっぱい。波音の中に声が聞こえた気がして振り返ると、ユリウスがよろけていた。


 知識とはまるで違う。砂の上に伸びて来る波は泡立っていて、弾けるような音が聞こえる。届いてた波が、次には届かなくなる。少し近づいただけで波の衝撃が強くなる。クリストフが笑い声を上げた。うるさい。


 エリアーヌも笑った。大きな身体を揺らしてはしゃぐ二人を眺めているだけで楽しい。キャロラインは喜んでもらえて嬉しかった。あのユリウスでさえ声を上げて騒いでいる。エリアーヌと顔を見合わせて微笑んだ。クリストフもユリウスも年相応の青年に見えた。


 翌日、別邸の食堂にはキャロラインとフリージアの姿があった。

「お姉様、ごめんなさいね。助かったわ」

「馬車の故障なら仕方ないもの、気にしないで。それに、久しぶりにここへ来れて私も楽しかったわ」

 キャロラインはエリアーヌに誘われて貝殻探しをした。いつの間にかクリストフとユリウスも交ざって、おしゃべりをしながら歩き回った。最後は皆で夕暮れを眺めて、ようやく引き上げたのだ。

「それならよかったわ」

「二人共ずいぶん騒いでいたわよ。エリアーヌもはしゃいでいたし。今日はゆっくりすると思うわ」

「あらあら、ふふふ」

 フリージアは嬉しそうに微笑んだ。

 帰って直ぐに湯を浴びたのだが、キャロラインは眠気を我慢できなかった。他の三人も同じだろう。お昼だというのに、三人は部屋から出てくる気配がなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ