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クインテット。ナイツ 日常編  作者: 恵/.
P―繋がる。ナイツ
20/36

本編終わって久々の更新


 ……翌日。


「おはよー」

「おはよー、闇代ちゃん」

 いつもの朝。闇代と上風のハイタッチ。そこから少し離れたところで、ぐったりしている狼。

「どうしたの?」

「疲れた……」

 その一言だけ返して、机に突っ伏す狼。すると闇代が頬を赤めて、

「狼君、昨日は激しかったから―――きゃっ!」

 直後、狼は突っ伏したまま右ストレートを闇代の鼻へ直撃させる。いい加減、学習すればいいのに。それとも、彼に殴られたいのだろうか?

「うぅ……ちょっとふざけただけなのにぃ~」

 因みに、昨日は格ゲーで遊んでいました。ええ、それはもう激しいボタン捌きでしたよ。まあ、最後は脱衣格ゲーに発展しそうになって、リアルに殴り合ってましたけど。そりゃ疲れるわ。

「……てか、今日も来てないんだな、天野」

 教室内を見回して、呟く狼。そういうの、よく把握出来るよな。お前、案外まめだろ。

「あんたって、昔からクラス内の欠席者を全部把握してたわよね。だから小学生のとき、先生みんな、出欠確認はあんたに聞くだけだったし」

 元々そういうタイプだったのか……。確かに、たまにいるよな、そういう奴。

「多分、一昨日から来てないと思うんだが」

「天野さんなら、紗佐が仲良くなかった?」

「そう思って昨日聞いたけど、知らないってさ」

「なら、先生にでも聞けば?」

 それが確実だ。彼もそう思ったのか、軽く頷く。

「昼休みにでも聞いてくる」

「そうしなさい」

 彼らの担任は、今日このクラスで授業をしないから、時間の空いた昼休みが一番都合がいいのだろう。

 そこで、始業を知らせるチャイムが鳴った。



  ◇



 ……昼休み。


「引き篭もり?」

「ああ」

 狼は、天野の欠席について聞きに、職員室に来ていた。そこで聞かされたのが、今の話。

「一応、家族に聞いてみたんだが、どうやら本人が部屋から出てこないらしい」

 それに面倒臭そうに答えるのは、彼らの担任である春山。この人、最後に出たのいつだろうか?

「なんでまた……」

「知るか。大体、引き篭もりなんて理由が分かってもどうにもならん。そいつが外に出たいと思わんことにはな」

「けど、理由が分かればどうにか出来るかもしれない」

「おいおい、お前は引き篭もりの世話でもする気か?」

 春山が、鼻で笑った。まあ、普通はそこまでしたくないだろうから、そう思うのも分かるが。

「やめとけ。あれは面倒、なんてもんじゃない。下手に関わるとろくなことにならないぜ」

「どういう意味だよ?」

 狼がそう尋ねたものの、春山に教える気はない様子。真面目に答えたりはしない。

「どうしても知りたければ、お前の仲間を頼れ。俺はそこまで親切じゃない」

 最後にはそう告げて、狼を手で払った。仕方がないので、彼は渋々引き下がることにする。

 退室の挨拶だけして、狼は職員室を出たのだった。



  ◇


 ……放課後。


「おい、氷室」

「んー? 何さうるっち」

 帰ろうとしていた氷室を、狼が呼び止めた。

「ちょっと、調べて欲しい奴がいるんだが」

「おぉっ! 久々に俺の出番か?」

 狼の頼みに、氷室が目を輝かせた。そういえば氷室って、情報担当だったっけ。完全に死に設定で忘れてたけど。

「んで、誰を?」

「天野」

 狼がそう答えると、氷室は一瞬硬直して、それから目を大きく見開いた。

「どうした?」

「……いや、何でうるっちが天野のことを?」

「あいつ、最近学校に来てなくてな。担任に聞いてもまともに答えないから」

 そう言うと、氷室は顎に手を当て少し考えてから、

「それって、何を、どのくらい調べんの? 学校に来ない理由? だったら引き篭もりじゃね?」

「その場合、引き篭もってる理由だな。それが無理なら、理由になりそうな話とか」

「……っても、天野だったら寧ろ、引き篭もらないほうが不自然だけどな」

「どういう意味だよ? ってか、お前、天野と親しいのか?」

 氷室の言葉を不審に思い、尋ねた狼。氷室は躊躇う素振りを見せるも、渋々といった感じでその問いに答えた。

「天野とは、小中と同じ学校だったんだ。だから、それなりに知ってる」

 そうだったのか……初耳だな。

「そんなら話は早い。色々教えてくれ」

「―――分かった。けど、ここだとちょっと……」

 あれ? 氷室が周囲を気にしている。一体どんな話をする気なのだろうか。

「分かった。なら、トイレでいいか?」

「何でトイレ?」

「闇代が入ってこないから」

 まあ、あの子なら平気で入ってきそうだけど。入りづらい場所を選ぶのはありかもだ。

「了解」

 というわけで、男二人で仲良くトイレへ行きましたとさ。

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